今回SC導入までの『前半戦』を盛り上げてくれたのは間違いなく
こちらのGT300。スタート順はARTA CR-Z GT、VivaC 86 MC、
TOYOTA PRIUS apr GT、UPGARAGE BANDOH 86と『非GT3』が並び、
接近戦を演じました。
SC導入後は無風となり、VivaC 86 MC(土屋 武士/松井 孝允)が優勝。
マザー シャーシにとって初優勝、土屋は1999年第6戦TI
(ザナヴィARTAシルビア)以来の優勝、松井は初優勝です。
今回はクール スーツありだったというPPのCR-Z。後ろにいるのが
直線の速いGT3車両ではないので多少は楽かと思いましたが、
72kgのハンデではそもそも苦しく、むしろ予選だけはなんとか結果を出せた、
というのが実情。
方やVivaCは後ろのプリウスの方が最高速が伸びるので前に詰まった状態での
レースは不利に働く場面でしたが、松井は冷静に対処して序盤の攻勢をしのぐと、
ズバッとARTAを抜いてみせてトップに浮上。MCは最低重量が軽く設定されているので
ブレーキ、タイヤ、旋回性能では非常に有利。SUGOではパワーの無さを
補って余りあるようです。
SC導入前の時点でVivaCとプリウスの差は3.8秒。CR-Zはなんとか
UPGARAGE 86を抑え続けるもトップから16秒差。
そのまま行くと完全に前2台の争い、それもピット戦略を含め展開が
面白くなってくるはずでした。
SC時のピットでどうやらVivaCは2輪交換だったらしく非常に速い作業で
ピットを出ていきます。
一方のプリウスは作業を終えてレーンに出た時点でGT300では1つ順位を落として
3位の位置。どうやらGT300はピットに入る段階でもう渋滞だったので
入る時点でロスがあり、VivaCはたまたまピットが一番後ろなので
その影響もあまり受けなかったようです。
さらにこのせいで出口の渋滞に巻き込まれてしまいます。GT300で
出口渋滞にかからなかったのはVivaCとマネパ ランボルギーニ GT3の2台のみでした。
映像から推定すると、何もなければVivaCとプリウスの出口でのタイム差は
7秒ほどでしたが、渋滞に巻き込まれて10秒を失い約17秒差に。
リスタート後最初に出た表示で両者の差は約12秒。もう勝負になりません。
UPGARAGE 86は作業に時間がかかったのかかなり後方にいて2回目の
大渋滞の餌食となり、周回遅れでポイントの権利すら失いました。
VivaCにとってはガヤルドが真後ろにきて、それはそれで厄介なことに
なりそうでしたが、ガヤルドはそこまでレースでの速さはなく、GT3勢では
そこそこの最高速の車なためじわじわと引き離していきました。
そもそもガヤルドはクラス5位でピットに入っていましたからタイヤ無交換で
勝負したのかもしれません。
後続を引き離したVivaCにとって怖いのはもう故障だけとなり、
最後まで無事に走りきりました。プリウスはガヤルドを抜いて2位、
そのガヤルドは終盤にGAINER TANAX SLSに抜かれて4位となりました。
選手権首位のGAINER TANAX GT-Rは100kgのウエイトで6位に入って
点数をしっかり稼ぎ、実質的に2位に25点差。あまりに点数を稼いでいるので
次戦でもまだ74kgのウエイトがあります^^;
今回もう1台惜しかったのがこれまたMCのシンティアム・アップル・ロータス。
このチーム、いつもは加藤 寛規が規定最大周回ギリギリまで走り、
のこりを高橋 一穂が担当するんですが、今回なんと高橋がスタートを担当。
私の印象では彼はSUGO、オートポリス、もてぎは比較的得意なコースで
他所と比べると良いタイムで走れています。
当然作戦は普段の逆を行くはず。スタート時から「実は後半面白くなるかも」
と読んでタイム差を注視していたんですが、高橋は順位をきちんと維持し続けて
走行しており、しかもそこにSCがちょうど1/3あたりで導入。
高橋での遅れがチャラになったところで加藤投入!となるわけですから
チームとすれば想定外のおみやげが付いてきたようなもの、と一瞬は
思ったでしょう。しかし無情にもピット渋滞。しかもレーン上では
プリウスの真後ろ、つまり実質的3位の真後ろだったんですが、一瞬
アクセルを開けるのが遅かったがために、レーンに出てきたBRZに道を阻まれ
ここから2度目の大渋滞。その後のペースは非常に良かったので惜しかったです。
まあ結局は故障で止まってしまったのでどのみちダメだったかもしれませんが、
色々振り返ると全部あの渋滞にたどり着くのでやはりまだ納得行かない部分が
多々あります。
さて、次戦オートポリスもMCが有利に戦える可能性があるレイアウトと
予想されます。徐々に仕上がり始めたUPGARAGE 86は未だ0点=ハンデ無し、
エヴォーラも10kgなので次は彼らに頑張ってもらいましょう。