AUTOBACS SUPER GT 第6戦 SUGO GT 300km RACE。
 先に書いたとおりレースはSC導入後のピットで大混乱が起きてしまって
展開が分断されてしまったわけですが、GT500クラスのトップ争いは
予選順位の段階から一貫してS Road MOLA GT-Rと
RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの一騎打ちの展開で、結局
RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本 尚貴/伊沢 拓也)が優勝しました。
 NSXにとっては今季の初勝利、昨年NSXが初めて表彰台に上がったのも
ここSUGOでした。一方日産は、過去ここで2度しか勝ったことがないという
ジンクスが結果的に今年も出た形となりました。

 レースはスタート段階でなぜか妙に車がバラけてしまい、
S RoadがRAYBRIGを着実に引き離していき、独走態勢でテレビに映らないモードに
入っていきます。
 しかしちょうどレースが1/3に差し掛かる26周目、ハイポイント~レインボーの
区間で9位を走行していたMOTUL AUTECH GT-Rがスピン。
現時点でその理由が分かりませんが、これを避けたKEIHIN NSX CONCEPT-GTが
片輪をコース外に落としてしまい、ZENT CERUMO RC Fが接近。
裏ストレートへの立ち上がりで詰まる形となり、そこにさらに後ろにいた
DENSO KOBELCO SARD RC Fが連鎖的に接近。そして結果的に
後ろから抜きに出たDENSOをZENTがブロックしようと寄せていって
DENSOは芝まで押し出されて制御不能→クラッシュに至りました。
 私の目から見ればZENT立川 祐路の動きは見ていない、あるいは寄せれば
相手が引くだろうという考えに見え、フェアだとは思えませんでした。
既に横に来てしまっている車に対する動きではありません。
実は同箇所ではその前に逆のような出来事があり、縁石の外にはみ出した
DENSO平手 晃平が復帰後によろよろと立川に寄って行って軽く接触がありました。
仕返しに見えなくもありませんでした。

 この件についてはSUPER GT公式サイトに当事者2人のコメントが
記載されており、要約するとクラッシュした平手は

『それ以前に自分が飛び出して戻った時にふらついて当たったことはあった。
それは申し訳なく思うが不可抗力の部分もある。半分ぐらい並んでいたのに
寄せられて、引いてもどのみち芝に落ちる状況だった。自分の接触は
それほど強くなかったし、ましてや相手は昨年まで組んでいた立川だから
何でだ?という気持ち。体より気持ちがしんどい』
と、故意に寄せられた、仕返しされた、との思いが頭にある様子。

 一方の立川は
『見たままが全て。あそこまで来るとは思わなかった。感覚としては
横ではなく後ろにいた感じ。寄せたら引くと思った。芝に出てまで並んでくるとは
思わなかった』
とどちらかというと『平手が無理してでも並んできたから事故になった』というような
言い方をしたようです。
 結果的にZENTにドライブスルー ペナルティーがくだされましたが、
平手からすると「え?それだけ?」という思いでしょう。

 望遠のカメラ映像では実際の位置関係は把握しづらいですが、
 立川の主張には基本的に問題があり
「後ろにいたから寄せてアクセルを戻させるつもり」で実際に横にいたなら
それは完全に見切りの失敗、自身の判断ミスのはず、それでいて
「芝に出てまで並んでくるとは」というのは矛盾しています。
これでは立川がラインを変えてから平手が好んで芝の上を走って抜きにかかった
ことになりますが、それは「見たまま」の話ではありません。
後ろにいると思ったドライバーが寄せたら横にいる、という時点で
非があると思います。
 その前の接触も、平手が芝を踏んでふらついたにしては妙に寄せ過ぎなので
立川が苛ついていた可能性は考えられますし、あれも一歩間違えれば同じ
結果を招きかねないものでしたから、双方が各問題について謝罪をし
早めに解決すべきです。

 さて、どこかで聞いたような遺恨にスペースを割いてしまいましたが、
このSCで大損したのはトップのS Road。直前の表示でRAYBRIGに
16秒差を付けていたのにリセットされてしまいました。
 GTのSC規則は隊列と無関係にピット開放の翌周にリスタート、
つまりピットを出た時に差があると、その差が詰まることなく再開されることが
多く、今回RAYBRIGは斜めピットのせいもあってピットを出るのに
手間取ったため、再開直後は3秒以上の差がありました。
 それでも直前の16秒差より遥かに小さく、しかも通常なら給油時間は
GT-Rの方が早いのでさらにピット後に差が広がった可能性が大。
RAYBRIGにとっては恵み以外の何物でもありませんでした。
 36周目の最終コーナーの脱出速度で一気に差を詰めて追いぬくと、
その後は5秒程度の差を維持し続けました。
 恐らく予定よりも早い時期のピットだったので、双方とも
望んでいたタイヤと違うものを選んだ、あるいはタイヤは予定通りだが
ライフに不安ができた、というようなことが起こったはず。
結果的に後半に終始安定したのはRAYBRIGで、S Roadはタイヤの発熱に
苦労して前に出られたことが最後まで響いた印象です。

 選手権では今回そこそこ点を持っている人が上位に入り、一方たくさん
持っている人はみんなグダグダだったのでえらく接近してしまい、
8点差に6車12人が入りました。次戦オートポリスを燃料流量制限で
望むのは首位に立つカルソニック IMPUL GT-Rの1台のみでウエイトは1kgのみ。
他は軒並み40kg台のかなり重いウエイトを積むこととなり、
これはかなり影響が出そうな気がします。