NASCAR スプリント カップ シリーズで2台のトヨタ カムリを
出走させているマイケル ウォルトリップ レーシング(MWR)が、来季は
フル参戦しないことが発表されました。

 この話は少し前にG+の放送で日本側のコメンタリーからも出ていたのですが、
チームの共同オーナー、ロブ カウフマンが7月末になって
シボレーを使うチップ ガナッシ レーシング(CGR)に興味を示していると
報じられ、ほどなくして彼が実際に出資したことが明らかになりました。
 MWRはマイケル ウォルトリップとカウフマンが半分ずつを出資するチームで
(カウフマンは2007年秋ごろから出資)、彼が他所に手を出すということはMWRから
手を引くことを意味します。
MWRの今後に注目が集まっていましたが、ブリストルでのレースを前に、
MWRが今季一杯は戦うものの、来季はフル参戦せず、ドライバーの
クリント ボイヤーに付いては拘束をしない、FAになる、と発表しました。

 カウフマンはフォートレス インベストメント グループ、という
世界でも最大規模の投資会社の設立者で、

 MWRは2002年に1台体制でカップ戦デビュー、2007年にトヨタと契約して
3台の車を出走させ始め、2012年にはボイヤーが年間2位に入ります。
 しかし2013年、チェイス進出を巡って自分たちが有利になるように、
レース中に意図的にコーションを発生させる不正行為によって罰則を受け
(F1シンガポールでルノーがやったのと同じこと)これが引き金となって
大口スポンサーのNAPAがすぐさま撤退を発表、これによって3台体制を維持できず、
2014年から2台+αに。しかしチーム力そのものも低迷してしまい、
2012年を最後に勝利から遠ざかり、昨年もチェイスには2台とも進めませんでした。

 恐らくこれを機に実業家のカウフマンは引き際を探りだした、あるいは
ウォルトリップと亀裂が入ったのではないでしょうか。
 そもそもカウフマンが2007年に出資した要因は、この年のデイトナで
MWRの車に不正があって多くの罰則とスポンサー撤退を余儀なくされ
窮地に立たされたからだそうなので、「もう今度は知らん」といったところでしょうか。

 実際、カウフマンは最近の記者会見で、この判断について
「ビジネス面で意味がないと判断した。トップ10の予算もないし、
トップ10のリソースもないし、トップ10の持続性もない」と極めて厳しい
言葉を並べました。
 出資を受けるCGRについては、早速『来季は3台体制になるのでは?』
という噂もあるようですが、CGRの共同オーナーである
フェリックス サベーツは「3台が2台よりいいというわけではない」と
コメントしています。

 方やMWRの方は、ノースカロライナ州コーネリアスにあるショップが
売りに出されているという話で、実際のところ来季の出場はスポットでも
ないんじゃないか、という見方もあるようです。

 ボイヤーの方はそれなりに評価されているドライバーで、5-hour Energyという
大きなスポンサーもあるので、来季はそのまま『CGRの3台目』におさまるか、
あるいは、こちらも2台体制化&トヨタへの変更が噂されている
ファニチャー ロウ レーシング(FRR)の2台目に入るのでは、と書かれていましたが、
最新の情報で、どうやらCGRには行かない模様です。

 それにしても、私はNASCARの体制云々の細かい話にはあまり詳しくありませんが、
出資者が見切りをつけて他所のチームをいきなり買ってしまい、
それで1チーム消えてしまうってあまり無いことのような気がします。
 また、完全にビジネスと割り切ったカウフマンの行動、どうも
あまり歓迎されていない雰囲気があります。
果たして来季のCGRはどうなるでしょうか。