たのクリEX13のレース後、レース運営責任者でありドライバーでもある
マッキーが緊急の記者会見を開いた。
そこで彼は、持病によりレース活動を継続することが難しいことを明らかにした。

「急に大きな発表をすることになってしまい申し訳ない。
実は次回のレースを終えた後は、運営を降りるか、あるいはレース距離を
短縮することになると思う。」

こう切り出したマッキーはその事情を説明した。

「実は『変形性関節症』という持病を指に抱えていて、長時間に渡って
走行を続けることが難しくなっているんだ。」

 変形性関節症とは、何らかの要因で関節の間にある軟骨がすり減り、
関節部分に腫れや痛みを引き起こす病気。一般的に高齢になるほど
発症しやすく、体重を支える膝や腰では生活に重大な影響を及ぼす事もある。

「半年ほど前から症状を抱えていたが、最近になって症状が悪化し始めた。
現在3本の指が悪い状態で、痛みによって指を曲げることが難しい。
最近は長時間の運転を避けている。今後も活動を続けることは正直言って
難しいと感じ始めていた。迷惑を掛けることも最近増えてきている。」

 減少した軟骨や変形した骨はもとに戻すことができないため、発症した
変形性関節症を完全に治すことはできない。症状の悪化を食い止め、
さらなる拡大を避ける事が現実的な対応策となる。マッキーも自身の状態について
「原因は不明。完治もできない。」と語っている。

「次回のレース後に引退レースを行い、それを最後に退こうかとも考えている。
レースを企画するにしても自分で様々なテストをする必要があるが、
この状態ではそれもままならず、企画をすることそのものに身が入らない状態だ。
この状況で活動を続けることはできないし、この面倒な役割を誰かに
任そうなどとは全く考えられない。」

「GT6車両でのシリーズ戦を開催できなかったのは心残りだ。
エントリーの少なさも理由の1つだが、この病気も実は大きな要因だった。
シリーズだとより綿密な運営が必要になるが、それが出来る状況ではないからね。
皆で支えてくれているのにこういった結果になってしまい本当に申し訳ない。」

 一方で彼はレースに対する熱意を完全には失っていない様子も見せた。
「ひとまず次のレースが区切りとなるかもしれないが、この場を去りがたいのも
また事実だ。体調と相談しながらになるが、やれるところまで企画を考えていこうか
とも思っている。不透明な状況で申し訳ないが、最後まで付き合ってもらえると
ありがたい。」

「引退レースはデルタのワン-メイクがいいかな。」

 重苦しい雰囲気に包まれた会見ではあったが、彼は最後にあくまで
「走る楽しみ」を掲げて切り上げた。