NASCAR スプリント カップ シリーズ 第20戦
Crown Royal Presents the Jeff Kyle 400 at the Brickyard。
インディアナポリス モーター スピードウェイでの160周のレースです。
インディアナポリスは言わずと知れた四角形のトラックで、NASCARが
開催されたのは1994年から。
バンク角が低くて並走できないので抜きどころがなく、かつ1周が長いため、
レースはどちらかというと戦略を重視したレースになります。
コース上で順位を争えるのはせいぜいリスタート後2周までで、すぐに
1列になります。だってラインが1本しかないもの。
そうした退屈な展開をいじりたかったのか、NASCARはまたも空力規則を
いじりました。ケンタッキーではDFを下げるように仕向けましたが、今回は
逆にリアのフラップを6インチから9インチに拡大するなどDFを増加。
見るからにフラップがデカイです。これによって空気抵抗を増やし、
ドラフティングの効きを良くしたり、あるいはターンで外ラインを使えるように
目論んだのかもしれません。
レースはやはり序盤から戦略的な動きが目立ちます。
あまり燃料が残っていないのにコーション時にピットに入らず、
リスタート後数周で入る、という「ロード コース ストラテジー(現地解説の言葉より)」
が複数回見られ、とにかくフィニッシュから逆算して、燃費を稼いで・・・
という動きになります。でも、このレースは頭だけでは成り立ちません。
その作戦がいいか悪いかは、最終的には運が決めるからです。
そしてそんな頭脳戦で勝ったのはなんとカイル ブッシュ
(Joe Gibbs Racing/Skittlesトヨタ カムリ)。これでなんとシリーズ3連勝。
前日のXfinity シリーズでも勝っており週末を連覇。
トヨタにとってはカップ戦でインディアナポリス初勝利となりました。
レースは前述のとおり作戦が分かれて誰が有利なのかよく分からない展開、
でしたが、120周目に発生したコーションでほとんどリセットされます。
航続距離は最大で35周前後で残りは40周、となるととりあえずここで
入っておいてあとは何とかするのが定石で、賭けに出た4台を除いて
全員ピットへ。
この時点で実質的なトップ争いはケビン ハービック、カール エドワーズ、
そしてカイル。
そのままグリーンで走り続けたら燃費がかなり怪しいところでしたが、
ここから141周目、148周目と続けてコーション。
153周目のリスタートでカイルがトップに出ます。ハービックはどうも
リスタートでトラクションが得られません。
さらに155周目にもコーション。残り2周のリスタートもカイルが制し、
これで逃げ切りかと思ったら後方でアクシデントが発生し、レースはとうとう
グリーン-ホワイト-チェッカーに。
カイルとジョーイ ロガーノの並びで迎えたリスタート。出足はロガーノが
伸びるかと思われましたが、ここでカイルの後ろにいた
マーティン トゥルーエックス ジュニアが押してカイルが加速。
チームは来季トヨタへの変更を検討していると噂されていますから、
ささやかなプレゼントでしょうかw
(マイケル ウォルトリップ レーシングのガレージに78号車に塗られた
車が置いてあるとされる画像が出ているが真偽は不明。ていうか今の時期に
わざわざペイントするか?怪しすぎる・・・)
方やロガーノの後ろはハービックでやはり加速しないので押してもらえず。
これで前に出たカイル。ターン3の入り口にかけて詰め寄られてものの、
ここさえ抑えてしまえば後は簡単でした。
実はカイルは最後のピットで左2本のみの交換で、右のタイヤはそれより
10周以上古いものだったんですが、やはり先頭でクリーン エアーを
浴びることのほうがはるかに重要だったと言えます。
規則のいろいろな変更は「追い抜きの少なさに真摯に対応しているんだぞ」
という意思表示であり、来季への試験であり、そして恐らく観客や
視聴率に陰りが見えていて焦りがあるんだと思います。
今回は集団走行でルースを訴える人がたくさんいました。
恐らくフラップの大型化で後ろのDFの寄与度が増え、かつ前の車が空気を
全部跳ね上げてしまうからでしょう。
後ろに付けないんじゃあいくらドラフティングが効くって言ったって
後ろにいないんだから効果なしです。
エンジン出力を元に戻して乗りづらくするほうがまだいくらか
マシじゃないでしょうか。あんまりいじり倒すのは私は反対です。