ヒュルケンベルグの事故から遡ること10周ほど前、テレビで放送された
ロズベルグの無線、話がややこしくなる始まりでした。
⑧ロズベルグが珍妙なことを言い出す
その無線、「ルイスは君より早いタイミングでプライムに乗り替えるよ」
という情報に対して「自分もプライムにする」と返答します。
イヤイヤイヤイヤ、普通に考えて、
「オプション→プライム→オプション」の作戦だったはずなのに、わざわざ
3つ目を遅い方のタイヤにして何の得があるんだ、という感想しか持ちません。
チームも当然これを否定、後に「そうしたいならこのタイヤでもっと
いいペースで走らないと」と付け加えます。
ロズベルグがどういう心理だったのか、レース後のインタビューからは
読み取れないので現状、推察するしか無いんですが、
恐らくロズベルグからすると、「ルイスが先に入る=アンダー カットされてしまう」
という考えに至ったのでしょう。
確かに、ハミルトンがプライムに乗り換えると、同じタイヤで既に使い古した
ロズベルグよりもいいペースで走ることができます。
ロズベルグはオプションで走り切ることができる周回数=残り20周前後まで
ピットには入れませんから、いざオプションに替えて出てみたらハミルトンの後ろ、
という可能性もありました。
だったら、遅いタイヤでもいいからもう俺も同時に入れて、同じ位置関係のまま
走らせてくれよ、ということだったんでしょう。
フェラーリを追う気ゼロ、とにかくあいつの邪魔さえできれば、そんな考えに
支配されていたんでしょうか?
ただこれはチームとしても全く得しないわけで、双方のドライバーに対してきちんと
情報を与え、仮にハミルトンが前だったとしても、今日はロズベルグを先に出す、
ロズベルグに対しては、「順位は保証するから、作戦通りやってフェラーリを
追い詰めなさい」と話す。これが必要だったと思います。
実際この後裏でどういうやりとりがあったのかは不明ですが、後の状況を見ると
どうもあまり真剣に対応してなかったんじゃないか、と思えてしまいます。
ただ、思い返せば昨年のこのレースで、状況は違いますが、本来ご法度だった
「双方でピット回数が違う作戦を取る」という状況が生じてしまい、それが
順位を譲る、譲らないの問題に発展。ロズベルグは「ルイスが裏切って
譲ってくれなかった」という記憶があります。仮にそういう話をされても
信用しなかった、かもしれませんが。この辺りの裏側、ぜひとも知りたいものです。
⑨ライコネン、車が壊れる
せっかく好調だったライコネンですが、どうもマクラーレンの車と仲良く
走ってるなあと思ったら案の定故障。MGU-Kが壊れてパワーがありません。
結局直らず、後にリタイア。引退の足音が・・・
⑨VSCがSCに
さて、ヒュルケンベルグの事故に時間を進めます。VSCが出たので各車
ピットになだれ込みます。ちょうどメルセデスは最終区間にいたので
真っ先にタイヤを替えます。この時点で残り27周。
その前の口論で結局ロズベルグが勝ったのか、単にちょっとオプションで走るには
距離が長かったのかは知りませんが、ロズベルグが履くのはプライム。
ハミルトンは義務を消化しないといけないので当然プライム。
どうせVSCだと差は詰まらないしまあ関係ないか、とフェラーリも1周して
ようやくタイヤを替えたところで、「本物SC」に変更。
コース上の破片が多すぎてピット レーンを通過しての隊列走行をするわけですが、
そこまでしなきゃいけない状況ならさっさと本物入れてよね・・・
まあできたばかりの制度で、VSCには「状況を見極めるためとりあえず全員に
ゆっくり走っていただく」という意味もあるようなので仕方ないんですが。
⑩唯一「弾」を持つリカルド
ここで上位陣のタイヤを見ると、⑦で書いたようにSC時に「弾」を持っているのは
ロズベルグとリカルドでしたが、ロズベルグはプライムを選択。
方やリカルドは、きっちりオプションに変えていました。
彼は元々タイヤのもちには自信がある人ですが、燃料の重い最初のスティントで
ロズベルグも21周したわけですから、27周、VSCの運用、もろもろ考えると、
オプションでよかったんじゃないでしょうか。
もし仮に最初からSCなら確実にそうしたでしょうが、VSC→SCの流れは
我々よりも現場の彼らのほうが実情を知っているとは思うんですが。
⑪リカルド ミサイル3発目
結局リスタートしたのは残り21周。完全にオプションで行けます。
リカルドはさっそくタイヤを有効活用、リスタートの最終コーナーで
抜群の脱出速度から、今回は外からハミルトンを料理しにかかります。
が、ハミルトンは残念ながら車が思った以上に曲がらず、外にいたリカルドと
当たってしまいました。結果的に痛かったのはハミルトンでウイングを壊してピットへ。
さすがにペナルティーまで食らいます。せっかく盛り返したのに、今日はダメな日ね。
それで終わると思っていました。
⑫リカルド ミサイル4発目
ベッテル、ロズベルグ、リカルドの三つ巴となった優勝争い。去年もなんか
似たようなレースを見た気がするぞw
同じタイヤではロズベルグはやはりベッテルよりちょっと遅い!
一方リカルドはタイヤのおかげもあって速いけど直線が死んでる!
そして運命の64周目、リカルドが再び突撃。やはり2車身以上空いた距離から、
ロズベルグのブレーキ動作を見た後インに動いて
超絶ウルトラスーパーレイトブレーキング!
どう見ても止まらんと思ったら、リカルドはコース内できちっと止まって、
立ち上がります。が、その前を塞ぐようにロズベルグ。
そして、ロズベルグの左後輪が、リカルドのウイングを踏んでしまいました。
哀れロズベルグ、パンクで万事休す。大きく順位を落としました。
リカルドはウイングを破損。ダニール クビアトが2位に上がりますが、
後方と大差が付いており、ロズベルグが消えたので、結局数字だけ見れば元通りの
3位のままウイングを修復出来ました。
⑬ロズベルグの甘すぎる言い分
レース後のロズベルグのコメントは
「僕は理想的なラインにいて、彼はブレーキングを遅らせすぎてワイドになった。
僕はレーシングラインをキープしていた。あれは僕のコーナーだったんだ。
でも彼のフロントウイングが当たり、僕のタイヤがパンクした。」
「でもFIAがアクションを取らないと決めたのだから、
誰にも過失がなかったということなのだろう」
しかし映像を見る限り、上にも書いたようにリカルドは思いっきり突っ込んだものの、
ちゃんとコース内で向きを変えて、コース内で真っ直ぐ立ち上がっています。
完全にコース外まで行って、そこから戻ってくる最中に当たったのなら
話はわかりますが、ラインはむちゃくちゃでもちゃんとコース内を走って、
一時的とはいえ前に出ていた相手に対してその前を塞いで
「お前突っ込み過ぎてるからダメ。下がれ」と言うのは道理が通っていない気がします。
お互いのPUの性能差を考えれば、あれだけ失速した車、いくらリカルドに
DRSがあったといってもアウトに2台分空けてても十分加速で勝てますよ。
ましてや自分はポイントが必要で、しかも言っちゃ悪いですが
フェラーリを追う気なんて全くなくて、ハミルトンより前で、3位で十分だと
自分からレースを捨てるようなこと言ったに等しいドライバーが、
何を意地になって道を塞いでるんでしょうか?
たまたまライコネンがいないから2位なだけで、元々3位で満足だったんだから、
とっとと前に出してやればよかっただけの話では?
ちょっと今日のロズベルグ、予選の時から無線でエンジニアに噛み付いて、
決勝でもちょっと黙れ的な返答をして、態度があまりにひどいと感じます。
そして返す返すも、オプションを履いていれば、こんなことにはならなかったんです。
最後の決断がだれで、判断理由が何だったのかは分かりませんが、
これは、ドライバーをきちんと扱えず、状況判断できなかったチーム
全体のミスでもあります。
曖昧な記憶で申し訳ないですが、その昔、川上 哲治率いる読売ジャイアンツは、
日本シリーズで、相手がどこか忘れましたが、相手チームが審判に抗議している姿を
冷静に見ながら「我々が彼らに負けるはずがない」と言ったそうです。
勝つべきものは態度・振る舞いをわきまえ、常に敬意を表して望んでいる、
という意味合いだったんだと思います。今のロズベルグに向けるアドバイスです。
⑭いいかげんにしろマルドナード
流れとはおよそ無関係でしたが、パストール マルドナードはペナルティーの嵐。
セルジオ ペレスと接触してペナルティーをもらったのは「ああ、いつもの二人ね」
な感じでしたが、その後もピット速度違反、SC中速度違反、と謎の行動で
さらに2度ペナルティー。サッカーならイエロー2枚で退場ですよ?
3枚もらったら次戦出場停止ですよ?決まりは守りましょう。
⑮ホンダボロ儲け
本業は全然儲かっていませんが、レースが荒れたためにマクラーレンは
2台とも入賞。フェルナンド アロンソが5位。あのまともに動かない車が
5位ですよ!いかに荒れていたかを示しています。
⑯ハミルトンは殊勝な態度
最後にハミルトン。レース中も、さすがにリカルドにぶつけたのは
明らかに自分が悪いと感じていたと見え、チームに謝罪している無線が
ありました。結果的にロズベルグより前で終えられたわけですが、レース後も
「僕にできるのはチームに謝って、次のレースでこの埋め合わせをすることだけだ」
1周目の砂場ダイブについては
「ニコとタイトな戦いになり、僕はロックアップしてコースオフした」
リカルドとの接触は
「故意にしたわけじゃないけど、僕のミスだ。彼はアウト側からタイトなラインを取り、
僕はグリップを失って、行き場を失い、彼を避けられなかった」
ややもすると審判批判にも聞こえるロズベルグと違って冷静に
ものを見れている感じがあります。
⑰さて夏休みですが?
夏休み前ということでコメントもそういう締めくくりをした2人ですが
ロズベルグ「今の段階ではサマーブレークを楽しみにするような心境じゃない。
明日にでもマシンに乗ってレースをしたい」
ハミルトン「何かポジティブな要素を見つけてサマーブレークに入り、
スパで挽回しなければならない」
ずいぶんと違いが見受けられます。
去年もはやりモヤモヤのまま休みに入り、いきなりスパでぶつかりましたが、
今年はどうなるでしょうか。
1つ間違いないのは、休み前最後のレースが予想外になると、ファンは
次のレースを楽しみに待てる、ということです。