NASCAR スプリント カップ シリーズ第16戦 Toyota - Save Mart 350。
セイブ マートはカリフォルニア州北部あたりに地盤を持つスーパー マーケットの
ようです。西武百貨店じゃないですよw

 舞台はソノマ レースウェイ。年間2戦しか無いロード コース戦です。
ソノマはGT4のインフィニオン レースウェイ(ストックカー レイアウト)にあたります。
110周、350kmのレースは普段のオーバルから見ると短いんですが、
こんな扱いづらい車で350kmを1人で走り切るのってかなり過酷です。


 ロード戦はオーバルといくつか違う点があり、総走行距離が短く抜きづらいので
予めストップ回数を決めておき、どちらかというと序盤は早め早めに
ピットに入ってコース上の順位を重視、後半は通せんぼしながら燃費の
つじつまを合わせるのが一般的な戦い方になります。
 これがコーションが出る度にピットに入るので、何回ピットかなんて誰もわからない
オーバルとの違いで、オーバルだとコーション前にピットに入ると
周回遅れになるので損ですが、ロードだとそうならないので、逆に
コーション前のほうが得することが多くなります。オーバルばかり見ている
人からすると変なレースですが、我々日本人が目にするレースとしては
こっちのほうが普通ですね。
 とはいえ、右に曲がるのが下手な人も多く、車の左右の視界も悪く、
台数も多くて車も鈍重。そしてコーションが割と簡単に出るので、日欧のレースの
ようにほとんどSCなしで進行するレースとは異なり、故にどちらの作戦が
正解なのかは理論よりも運だったりします。

 そしてその運を掴んだのがカイル ブッシュ
(Joe Gibbs Racing/M&M's Crispyトヨタ カムリ)。
 2月、デイトナ500の前日のXfinity seriesのレースで両足を骨折し、以後11戦を欠場。
ブレーキも使うロード戦は厳しい戦いのはずでしたが、思わぬ勝利が
転がり込みました。


 レースは序盤カート ブッシュとA J アルメンディンガーが引っ張る形となります。
アルメンディンガーはチームはどちらかというと弱小ですが、彼がロード戦を
得意としているので、なんとしても取りたい1戦。
しかし残念ながら燃料計の故障で脱落してしまいました。
 代わって顔を出したのはジミー ジョンソン。
 コーションの時期も相まって3ストップとなったカートに対し、ジョンソンは
引っ張り引っ張りの2ストップ。それでいてペースはカートとあまり変わらず、
単純に走り続ければほぼ1ストップ分の時間リードを稼ぐ圧倒的な展開に。

 しかし簡単に終わらせてもらえないのがこのレース。残り12周。
ケイシー メアーズの車の左後輪がシャフトから折れたらしく脱輪。
あんな鋭利な棒が生えたものが転がって相当危険でしたが、幸いフェンスに
当たって止まりました。
 これでリードを失ったジョンソン。彼が入ったら後ろは入らないので彼には
ステイの選択肢しかありません。
 それでも、後ろの人達とて、自分だけ入って後ろに下がるのは嫌なもの、、、
のはずなんですが、結構こぞってピットのなだれ込んでしまい、
ステイ アウトしたのはたったジョンソンを含めて5台。
 30周近く使ったタイヤで、新品タイヤの人たちを抑えるのに、
壁となってくれるのが4台しかいないなんとも心もとないリスタート。

 タイヤ交換組のトップはクリント ボイヤーでしたが、ボイヤーはリスタート直後
抜こうとしたマット ケンゼスと絡んでしまい、その脇をすり抜けてカイルが浮上。
残り5周でトップに立ちました。
 カイルの車は、というか彼自身のスタイルが、出足が速くてその後ズルズル
落ちるので、さらなる交換組が押し寄せてくるかとも思われましたが、
ボイヤーとカートが争って、しかもそれが長引いたためにカイルは
脅威にさらされること無く最終周へ。ここでとうとうカートが2位になりますが、
弟の復活勝利を無下に破壊するほど非常な兄ではないので、それほど
無理をする様子もなく、兄弟でチェッカーを受けました。

 カイルにとっては、まずタイヤが落ちやすく早めにピットを行っていたことが
コーションのタイミングとうまく噛み合い、順位が維持できたこと。
 それによって最後の分かれ道のコーションで2番目にピットに入ったこと。
 前で同じ作戦のボイヤーが自滅して道が空いたこと。
 タイヤの性能がガクッと落ちるほどの周回数がなかったこと。
といったいくつかの幸運が作用したと思います。

 ブッシュ兄弟にとってはカップで初の兄弟ワン-ツー。
1999年のジェフ バートン、ワード バートン以来の記録ですが、なんと
カップ戦では兄弟ワン-ツーが26度も記録されているそうです。

 まだ足が痛むというカイル。チェイス進出のためには、1勝+ポイント30位以内が
条件で、通常フル参戦していれば勝てる人はまあよほど事故病でなければ
同時に達成可能なんですが、怪我で11戦欠場しているカイルはポイントで
まだ30位に遠く及ばないのでこの後も安定した成績が必要です。
(通常はフル参戦していないといけないが、怪我のため特例で許可)

 そして今年のFOXの放送はこのレースまで。次戦からNBCになります。
解説者に昨年までデイル アーンハート ジュニアのクルー チーフだった
スティーブ レターテがいる、はずです。