83回目の24 Heures du Mans=ル マン24時間レース。
私はスタートの1時間ぐらいとゴール前3分だけ見ましたが、
今年はこのカテゴリー復帰2年目・ポルシェ919ハイブリッドの19号車
(ニコ ヒュルケンベルグ、アール バンバー、ニック タンディー)が優勝。
1998年以来の総合優勝で、ポルシェは自身が持つメーカー別の勝利数記録を
17に更新。総走行距離5383.46 kmは2010年のアウディーに次ぐ歴代2位。
ヒュルケンベルグは現役F1ドライバーとしては1991年マツダの
ジョニー ハーバート以来24年ぶりの勝利。
2010年以降5連勝中だったアウディーは相変わらず強かったものの、
わずかな綻びと、ポルシェの速さに屈しましたが激しい闘いだったようです。
まあ同じフォルクスワーゲン内のブランド同士なので、親玉とすれば
どっちが勝っても文句なしでしょう。
方やトヨタは完全にスピード不足。最上位は6位でした。
昨年、大して見ていない私は「規則的にも有利な位置で、まだポルシェが
完成していない今年が最大のチャンスだったから取り逃がした魚は大きい」
的な話を書いたと思うんですが、まさにその通りで、今年のTS040ハイブリッドには
決定的に速さが不足しており、勝てる要素がありませんでした。
今年のWEC参戦車両はポルシェがモノコックから完全新設計、アウディーも
モノコックはそのままながら、見た目から分かる通りほぼ新車。
それに対してトヨタは結構横滑りです。
「見えないところで着実に進化していますよ。昨年速かったからこれで十分です」
とでも言いたい感じでしたが、WEC開幕からの2戦でも劣っている印象は拭えず、
大一番でそれがはっきりとしてしまいました。
トヨタは来年完全新車に移行する模様なので、資源を来年に振り分けているという
側面もあるんでしょうが、本当に勝ちたいのであれば、予算が少ないことは、
最初から勝負を捨てているのに近いものがあります。
もしこれで勝てる算段で開発していたならそれはそれで大失態です。
「低予算の割によく頑張った」とお客さんは思ってくれません。
「ああ、やっぱトヨタってそこそこの性能の車しか作れないんだな」と
思われることでしょう。プロモーション上明らかにマイナスです。
2台しかいない、冒険できない、でもそれで結果を出す。そんな虫のいい話、
たまたま昨年あっただけで、そんなまぐれそうそう巡っては来ません。
(なおかつそれでも勝てなかったわけですから)
正直、手術して無理やり怪我を回復させた中嶋 一貴、勝てもしない車のために
人生を棒に振るリスクを追う必要全くなかったと思っています。
トヨタはWRCにも参戦するわけで、予算山分けみたいになってしまったら
どっちも雑魚になるんじゃないかと危惧します。WEC辞めるんでしょうか?
日産に関しては、開始1時間半ぐらいで解説に現れた由良 拓也が最初に、かなり
痛烈に切り捨てていました。詳しい言い回しまで記憶していませんが
「今年はデータ集めと行っているが、こんな予選を通らないような車で走っても
何のデータも取れない。もっとちゃんと走れるようになってから参加すべき。
他の3メーカーに失礼」といった話でした。
確かに一理ありますが、契約やらなんやらで、たとえ時速30km/hでしか
走行できなくても出ないとまずいという大人の事情もたぶんあるでしょうね^^;
失礼、という感覚が他社にあるかどうかは分かりませんし、今年は
お客さんいっぱいだったらしいので、シリーズを盛り上げて、レース的には
全く自分たちの脅威にならない「金づる」がいてくれることはむしろ
喜ばしいと思ったかもしれません。
何にせよ、参戦計画があまりに楽観的だったのは見るからに明らかで、
目標としていた性能の車を作ることすらできなかったわけですから、
ちゃんと動くように、レースに出ずにどこかのサーキットにこもって
得るデータのほうが多そうだと素人でも感じるところです。
FFの欠点は映像からもはっきりしており、一番低速のアルナージュで
一度抜いたポルシェに抜き返されていました。え?優勝した車なんだから
当たり前だって?やだなあGTクラスの911ですよ(´・ω・`)
日産はほっとくとして、昨年ほぼ勝っていたトヨタが全くの空気に
なったというあたりが、日本メーカーのモータースポーツに対する取り組み方の
限界を示しているような気がしました。
そういう点でいくと、ホンダさん、、、どうなんでしょうw