3週間のご無沙汰なF1はスペインから再始動。
第5戦 GRAN PREMIO DE ESPAÑA PIRELLIを制したのは
ニコ ロズベルグでした。
 抜けないカタルーニャ サーキットでポール ポジションを得た時点で
半分勝っていたロズベルグ。スタートでルイス ハミルトンに抜かれないことが
最も大事でしたが、ハミルトンはホイール スピンが多く、逆に
セバスチャン ベッテルに抜かれてしまい3位に後退。
この時点でもうロズベルグは何かを気にする必要は全く無くなりました。

 ハミルトンはベッテルに前に出られたためにレースが全く違うものに変容。
2ストップでは抜けないので作戦を3ストップに変更したものの、肝心の
最初のピットで左後輪の交換に手間取り、さらに手間取ったせいで
パストール マルドナードの後ろを、わずかな時間とはいえ走ることとなり
3秒以上損をしてアンダー カットに失敗してしまいました。
 結局はベッテルの遥か前でレースを終えるわけですが、ここで前に出ていれば、
彼はロズベルグを追うつもりだったでしょうから、さぞかしストレスが
溜まったことでしょう。

 しかし、チームからすると、本来は「ストップ回数を変えて競わせる」というのは
メルセデス的にはご法度であり、3ストップのハミルトンが、予定通り2ストップの
ロズベルグを追い詰めるのはまずい事態。
そうすると、3のつもりの人を2には戻せませんから、用もないのにロズベルグも
3に変更するとか、余分な気を回す必要があったかもしれないので、チームの首脳は
「タイヤ交換マンGJ!」と心の中で思ったかもしれません。
我々はそういう戦いを見たいので残念なんですけどね。

 そして今回も安定の3位なベッテルではありましたが、フェラーリが
ハード タイヤを全く使えないことが、素人目にもよく分かりました。
 ロズベルグとベッテルは両者とも最終スティントにハードを使用しましたが、
ベッテルが2回目のピットに入った時点で両者のタイム差は、離れていたとはいえ
14~15秒ぐらい(この頃テロップがタイム差表示じゃなかったので分かりませんでした)
ロズベルグがハードに乗り換えた時点でも17秒ほどでした。
スタートから46周でこの差です。
 ところが、ここからチェッカーまでの20周で、この差は45秒になりました。
46周で17秒しか差がつかなかったのに、最後の20周で28秒も開いてしまいました。
 最後にちらっと映ったベッテルの車載映像は、とんでもなくよれよれの動きで
全くグリップ感が伝わってきませんでした。

 もちろんこれは、メルセデスがハードでも異様に速い、というのもありますし、
それは即ちタイヤへの負荷が大きく、フェラーリはその逆である、という
意味でもあるわけですが、それにしても、現状間違いなく最速の車と、それを唯一
追えそうな車の間にある差としてはかなり大きいと感じました。
 ミディアム/ハードの組み合わせ=フェラーリに勝ち目なし、と先入観を持って
見ても外れないんじゃないかという気すらしました。


 地元スペインのドライバーは明暗が分かれ、初めての母国イベント、
カルロス サインツはなんと予選で5位。決勝では最後に接触がありましたが、
お咎め無しとなって9位に入りました。
 一方でフェルナンド アロンソはブレーキ ダクトに捨てバイザーが詰まったようで、
ブレーキが壊れてしまい、最後はピットで止まりきれずに危うくクルーを
はねるところでした。
このレース、昨年は小林 可夢偉がリアのブレーキ ディスクが割れるという
信じがたい問題で怖い目に遭い、そしてオフのテストでアロンソはまさしく
ここで不可解な事故により脳震盪に襲われたわけですが、何事も無くて
良かったです。

 次回はモナコ、ロズベルグお得意の地ですが、反転攻勢は続くでしょうか。
ところでフォーミュラーEもこの土曜日に行われ、日本時間だと初めての
夜の時間帯の開催でしたが、やっぱりテレビ朝日は地上波ではやりませんでしたね。
ハイライトを今週末の深夜にやるようですが、う~ん、当初の意気込みだと
全戦地上波生中継とも取れるような言い方だったのに、ずいぶんと
後退した感が否めません。