フォーミュラーE第5戦 マイアミePRIXがアメリカのマイアミ(フロリダ州)
で開催され、ニコラ プロストが優勝しました。
開幕戦、最終周、最終コーナーで、故意かどうかはさておきニック ハイドフェルドに
幅寄せをして相手を吹き飛ばしてしまい、世界から批判された男が、
ようやく勝利を手にしました。

 今回のコースは、マイアミのビスケイン ベイという地区が舞台。
直角コーナーばかりの2.17kmのコースで、高速道路の下をくぐり
NBAマイアミ ヒートの本拠地、アメリカン エアラインズ アリーナの
脇を通ります。
 道幅は狭いし、直角しかないし、やたら跳ねるし、「これ面白いんか?」
というのが第1印象でした。
 しかも、設営が遅れて練習と予選の時間が圧縮。頼むよアメリカ人・・・

 しかしレースは意外と濃い内容で面白くなりました。
決勝はジャン エリック ベルニュー、プロスト、サム バードの順でスタート。
プロストはいきなりベルニューを物理的につついてしまいますが大きな影響はなく、
後続も驚くことに事故なく進行します。
 序盤イケイケだったのはバードで、プロストを抜くとベルニューを
追い立てます。無理に仕掛けるというより、逃げさせて電池切れを誘うような
走り方で、実際ベルニューは後続より速く残量が減少。ペースを抑えざるを得ず、
結果後続が数珠つなぎ、という展開に。
 19周目、「もう耐えれん」といった感じで速度が落ちてバードが1位になり、
ベルニューはピットへ。しかしバードの見せ場はここまで。
彼ももう電池が残っていないのに、無線の故障でピットに入りそこねてしまい、
もうゆっくり走るしかなくなってしまいました。

 各者車を乗り換えると顔ぶれがえらく変わっていて、トップはダニエル アプト。
プロストは2位で、その後ろにはルーカス ディ グラッシ、ベルニュー、
母国選手で今回が初参戦のスコット スピードと続いていきます。まだ混戦です。
 アプトは明らかに電力の使いすぎで、テレビ中継で残量は全員に筒抜けなので、
プロストはとにかくついていって最後勝負といった構え。
 
 すると後ろから、スピードがすごいスピードで追い抜きをかけてプロストの
後ろ、3位まで追い上げてきてしまいます。しかもそれでいて一番
電池残量が多いのです。
 勝負は最終局面、残り2周でプロストはとうとう抜きにかかり、
トップに立つものの、コーナーの脱出で左後輪を少し壁に当ててしまい、
どうも車が直進しなくなってしまった模様。
スピードも続いて2位に上がり、プロストを追いかけます。
 ふらつきながらも何とか逃げるプロスト。アンチから
「また最後はぶつけるんじゃねえの!?」と野次られたことは間違いないでしょうが、
勝負どころで黄旗が振られていたことにも助けられ、そのまま逃げ切りました。
 元トロ ロッソでF1経験のあるスピード、初参戦ながら見事なレースでした。
急に決まったのかヘルメットが真っ白で、GT6の初期装備みたいでしたw

 なんと今回、シリーズで初めてセーフティー カーが入りませんでした。
どうせ入るだろうと思って電力を使いまくって失敗した人もいたでしょう。
全体的に車にも、エネルギーの使い方にも慣れて、むりくり仕掛けることも
減ってきたのではないでしょうか。
 基本的には電力は後に取っておいて、後半に仕掛けるのがセオリーでしょう。

 入場料金等どういう管理なのか分かりませんが、結構お客さんがいました。
海沿いのリゾート地ということで、映像では屋上にプールの付いた建物から
眺める人が映っていました。熱心に応援しに!というよりも、
「バカンスに来たら、なんかイベントをやってたからせっかくだからバカンスの
傍ら観戦した」みたいな感じの気軽な感じの人が多いんじゃないかと
想像します。いかにも市街地、いかにも音があまりないFEの世界です。
面白い世界観だと改めて感じました。

 また、まだ出来たてで、しかもよそがオフの時期の競技なため、今回もまた
新顔が何人か参加していました。
 元F1のシャルル ピック、スピード。さらに昨年は日本にいた
ビタントニオ リウッツィーも、本当かどうか分かりませんが、現地で
バカンスしていたら呼ばれたとかで参戦。
スピード、リウッツィー、ベルニュー、セバスチャン ブエミ、
なんか元レッド ブル(トロ ロッソ)系また増えたな^^;
 また、日本でフォーミュラー・GT双方の王者を経験し、ル マン王者でもある
ロイック デュバルも参戦し、予選では振るわなかったものの、決勝では
抜きまくって国際映像にもよく映り、7位でフィニッシュしました。
やっぱこの人速いわ。

 次戦もアメリカ、今度は突貫工事ではなく、伝統の地、ロング ビーチです。