ヤスさんのコメント見て、そう言われてみればそうだよなあと
思った「今年のF1の見所」。
月並みですがわかりやすいもの、マニアックなもの、いくつか挙げてみます。

◎王者争い第2幕
 単純に考えて今年もルイス ハミルトンとニコ ロズベルグの争いにしか
ならないわけで、今年もまた彼らがガチでやりあうところを見るのが
王道といえるでしょう。とはいえ、もうちょっとロズベルグが頑張らないと、
7:3でハミルトンが勝っていてはおもしろみも何もありません。

◎跳ね馬と王者の復権
 フェラーリは今年PU(パワー ユニット)が明らかに改善されました。
オーストラリアでの快走は、彼らが劣悪な燃費と出力不足から開放され、
速さを取り戻したことを示していました。
それはザウバーの怪走からも証明されています。ただしオーストラリアでは空力
特性までは素人にはわからないんですが。
 とにかく、セバスチャン ベッテル好きの人には朗報、キミ ライコネン好きの
人には、、、、どうだろう^^;

◎マクラーレン ホンダ
 私はあまり日本人、メーカーに対してワイワイ言わないのでホンダであろうと
フォルクス ワーゲンであろうと構わないんですが、日本のメディアの
関心をつなぎとめる重要な要素には違いありません。
 完走するのが奇跡、そもそもグリッドにすらたどり着かねえ、な車ですので、
活躍で話題を提供することはないでしょう。
 ある面、ただ完走、ただQ2進出、そんな1歩がよく見えますので、
我が子を見るように、成長を見守っていくと面白いかもしれません。
1点取れた日にはなにかお祝いでもしてあげましょうw

◎中位集団のごちゃごちゃ
 先頭をメルセデス、その後ろをウイリアムズとフェラーリ、レッド ブルは
うーんPUが妨げになっているのか、な状態で、その後ろの集団は
トロ ロッソ、フォース インディア、ザウバー、ロータス、が混戦模様。
フェラーリの復活、ルノーの不振、そこにロータスがメルセデスに
移行したことで、結構いい感じに勝負になっており、この位置の争いが
面白いんじゃないでしょうか。実際開幕戦もカメラに映ったのはだいたい
ここらの争いでした。ひょっとしたらレッド ブルもこっち側に飲まれるかも
しれませんから、ここに予選で失敗したり、タイヤを付けそこねた上位の車が
まざってくれたら、結構ごちゃごちゃして楽しそうです。
メルセデスは、なんか「Fゼロ」クラスに2台だけエントリーしてると思って
気にしないでおきましょう。

◎PU開発
 で、「今年の」という点で一番当てはまりそうなのはこれです。
話を整理しても結構長いです。

 F1にはPU開発凍結規約があり、開幕すると「信頼性の向上」「低コスト化」
といった理由以外での改造ができません。
(もちろんこれは具体的基準がないため、ちょっとずついいものに変えていく、という
ことになり、数年経つと元の部品なんて1つも残っちゃあいません)
しかし今年はシーズン中も堂々とPU開発ができてしまいます。
 
 規則では各PUは開幕段階でホモロゲーション(型式認証)が行われて、
ここで凍結、となるはずが、今年の規則にはホモロゲーションの期日が
明記されていませんでした。
 FIAは、別の規則の条文に「1年を通じて同じ仕様であること」が
明記されているので、規則の基礎は揺るがないとしていましたが、
結局規則に矛盾があることに配慮して、「じゃあ今年は凍結しなくていいや」
となりました。
(これに関しては、オート スポーツ誌では「規則の穴」というよりも、
万一どこかが性能で圧倒してしまって戦力図が偏った場合に、
規則を曲げることなく、拡大解釈で開発緩和を実行できるよう(実際そうなった)
「あえて解釈の余地を残した」と解説されています)

◎「トークン」の使い道
 とはいえ無制限に開発できるわけではなく、PU開発は「トークン システム」
というものに縛られています。
 トークン、というとわかりづらいんですが、例えばテレビ ゲームで
レベルが上がった時とか、ロボットを改造するときなんかに、
ポイントを振り分けて能力を上げることがあると思います。
MPや攻撃力は重要だからたくさんポイントを使うけど、機動性は少なくてすむ、
といった感じに。これと同じような考えが持ち込まれています。
これは、無尽蔵に開発してお金が費やされるのを防ぐための仕組み、ということに
なってはいるんですが、個人的には全くの新技術にいきなり必要だったのか
少々疑問です。

 PUは様々な部品で構成されていますが、規則はこれらに重要度に合わせて
1~3の点数を割り振ってあります。この点数のことを「トークン」と
名づけているだけで、「ポイント」とか読んでも同じ意味です。
 PUのトークンを合計すると66になります。全部完全に作り変えるには
66トークンを消費しなければなりません。
 しかし規則では、2014年の終了~2015年開幕までに使えるトークンは
「32」と定められています。言い換えれば、各陣営は32の開発ポイント、
つまり全体の半分ぐらいしか変えることができない制約下で、
その割り振りを考えて開発をしなければなりません。
 1しか消費しないものをたくさん替えるのか、2や3消費する部品を
少数精鋭で開発するのか、という開発戦略が試されます。
 
 で、これを本来はオフにしかできないはずでしたが、上記理由により
今季はシーズン中でも開発が可能になりました。
開発=トークンの使用、という意味合いです。
「別に最初からつぎ込めばいいんじゃね?」と思いますが、短い時間に
全部いっぺんに作るとうまくいかないこともありますし、実戦データも
反映できるので、各陣営多少残してきています。具体的には開幕時点で
メルセデス=残7  フェラーリ=残10  ルノー=残12
となっています。逃げているメルセデスはもうあまり余地がなく、不振の
ルノーはそれより5トークン多く残っています。5あるとMGU-Hか
MGU-Kをまるまる交換できる数字です、ピンときませんがw
 ですから、ルノーが巻き返しをどこかで図ってくるかもしれません。
 そして、これを使い切ると、そこで本当に開発終了で、また今季の終了を待ちつつ、
信頼性と口にした小規模改良を行うことになります。

 ホンダは、新規参戦で、開幕直前(正確には2月28日)までは一切の
制限がない代わりに、この「抜け穴」の恩恵は受けられない決まりでしたが、
(他社はあくまで2014~2015に割り当てられた32トークンをシーズン中に
持ち越せるだけなので、元々割り当てのないホンダには適用のしようがない)
割と世論が批判的だったのもあってか、「他の3社の残りの平均だけは
使ってもいいよ」という答えを引き出し、9トークンだけ開発の余地をもらいました。
 ひょっとしたらあまりにテストが無様だったので同情されたのかもしれません^^;

 というわけで、2015年限定!シーズン中のPU開発競争(メーカー差あり)
が今年の見所と言えそうです。それで本当に差が埋まるかは難しいですが。

 
 開幕を終えて、レッド ブルの偉い人が現行のF1を批判し、撤退を示唆したと
報道がありました。簡単に言うと、
「自分たちは苦戦しているのに、カネがない上に裁判で車を差し押さえられかけて、
フリー走行すら全部走ってない雑魚のザウバーの新人が我々より上位だった。
つまりレースはPUの性能に支配されている。やってられるか、と
本社のボスがやる気を無くしかねないぞ。あ、これは別に自分たちが
遅いから言ってるんじゃないからね。スポーツとしておかしいってこと。
俺達が勝ってた時はあれこれ規制してきたくせに、メルセデスは何も
制限されてねえ。おかしくね?」
といった感じ。実際は彼らは撤退しない代わりに、全レースビリでも
100億円単位の収益分配金がもらえる契約を結んでいるし、違法なフロアの
使用が発覚した際には、ポイント剥奪や出場停止になっても不思議でないところを
「以後気をつけるように」で済まされたりもしたので、言ってることが
全うだとは思っちゃいませんが。

 
 私は、自動車メーカーが参戦する動機付けに、動力機関の性能争いが
あるのは正常だと思っていますし、それを横並びにしたいなら、別に
F1である必要がないと思う派ですが、確かに一人勝ちしてしまうと
これっぽっちもおもしろみを感じないという意見があるのもまた正常でしょう。
 ホンダ無双、ルノー無双の時代、フェラーリ好きは苦しみ続けましたが、
それでも熱心に応援して、やがて次の黄金時代を迎えました。
今は娯楽が多様化して、「熱心に何かを応援し続ける」という機会が
減っている、という社会的背景もひょっとしたらあるかもしれません。

 問題は、そうした意見に対して、逆に面白さをPRする方法を持たず、
やれ火花を出せだの馬力を増やせだのと全く見当違いなことばかり議論し、
挙句の果てに導入した制度を自分から否定して、さも自分は無関係のように
振る舞う運営者のエライさん共の資質にあると思います。
まあ、これじゃあ離れるのも無理は無いですw

 昨年のオーストリアGPでウイリアムズのフェリペ マッサが予選で
大逆転の1位になった時、解説の森脇 基泰は確かこう口にしました。

「これだから、応援し続けなくちゃダメなんですよ~」

 たぶん名門チームの久々の快走に対する話だったと思うんですが、
聞きようによっては「一人勝ちになったからって、つまらんと見るのをやめたら
こういう名場面に立ち会えないんですよ」という風にも聞こえました。
 見どころがないので見ようと思わない、というのは私もスーパー フォーミュラー
等で行っている行為ですから、ごく当たり前の話で、別に
無理して見る必要はどこにもないわけですが、たま~~に結果とかを見て
「そんな劇的ならちょっとみてればよかった!」と思うこともあります。
1回離れると、どうもそうそう戻ろうという気になれないものです。
 面白みの原石ってけっこう散らばってるもので、原石どころか
もうきれいに磨かれてたり、そうとう磨かないとどうしようもなかったり
するわけですが、何か1つ、興味をもつ対象があって、たとえ結果だけ調べる、
ハイライトを見る、Youtubeでゴニョゴニョ探す、でもいいので
見つけてくれればなあと、これはF1に限らず、モーター スポーツ全てにおいて、
思う次第です。
 
 と、こんな感じですがヤスさんいかがでしょう、、、
ってあ~忙しいからって寝ないで~~。