アメリカ携帯通信第3位のスプリントは、2016年を最後に
NASCARのタイトルスポンサーから撤退すると発表しました。
NASCARは1971年から2003年まで、タバコメーカーのR J レイノルズが
有名銘柄であるウインストンの名を使ってスポンサード。
2004年から通信会社のネクステルがこれに変わってスポンサーとなり、
その後スプリントと経営統合して2008年から現在のスプリント カップ シリーズと
なっていました。
そのスプリントは2013年、日本の大手IT企業で通信会社も手がける
ソフトバンクに買収されました。
スプリントはアメリカで3位の規模とはいえ、最大手のベライゾン ワイアレス、
(ベライゾンは2014年からインディー カー シリーズのスポンサー)
2位のAT&Tに引き離され、顧客の流出による赤字体質に苦しんでいました。
買収による規模拡大で合理化、価格競争力、あるいは業界共通の目玉商品である
アップル社の製品販売におけるアップルとの交渉力という点での強化が
期待されていましたが、直近の4半期決算でも投資増と11期連続の
契約者流出で赤字幅が前年同季から拡大。
業界4位転落の日が近いとも言われるほど、見通しの立たない状況が続いています。
もちろん「お金がないから下ります」なんて発表はしないわけですが、
これ以上、投資に見合った宣伝効果が無いと判断されたのは言うまでも無いでしょう。
正直私も、ソフトバンクが買収した段階で「切られるんじゃないか」と
思っていたので、「やっぱりなあ」という印象です。
実際、買収前のネクステルから10年スポンサーやってて、赤字決算を
続けているということは、この方法が収益確保に適切でないと判断されるのは
妥当な考えでしょう。
多少なりとも利益が出ているなら、利用法を考えるなどやることもあるでしょうが、
現状それよりもそのお金を遅れが出ているLTE網の拡充や顧客確保のための
営業費用の原資に振り分け、赤字を止めることが重要だと考えるのは自然です。
個人的にはせっかく日本企業が親玉になったんだから、ゴリ押しで日本にも
NASCARを売り込み、日本での感心を集める→日本企業からNASCAR本体・チームへの
スポンサード→NASCAR潤う→その分タイトルスポンサー料値切る、
ぐらいの大胆な戦略をやってもらいたかったものですが、たぶん
経営陣がそもそもNASCARの意味を分かっていないでしょうから無理でしたねw
景気が回復基調といわれるアメリカ経済とはいえ、それが一部に偏重しているのは
どこも同じ。観客動員が思わしくないイベントがあり、トップチームの車でも
年間をいくつかのスポンサー企業で割り振っているところがあるぐらい。
下位チームにいたってはボディー色そのまんまのベースモデル状態です。
次のスポンサーはどこが手を上げるのか、その額はいくらになるのか、
といったところが注目になりそうです。
そして、ソフトバンクはこの大博打に失敗すると、あの錬金術みたいな
巨額の借り入れに頼ったビジネスモデルが破綻する恐れもあります。
スプリントの業績にも注目が集まります。