いよいよF1は最終局面、第17戦アメリカGP(UNITED STATES GRAND PRIX)。
ケータハム、マルシァの2チームが破綻、少なくともアメリカ、ブラジルに
出場し無いこととなり、9チーム18台でのレースとなりました。
ノックアウト予選もQ1、Q2で各4台脱落と台数に合わせて微妙に変更しましたが、
元々ビリのチームなので、実態への影響は軽微です。
予選ではニコ ロズベルグがルイス ハミルトンに0.4秒近い差をつけて
ポールポジションを獲得。ハミルトン、不利な奇数グリッドからのスタートで、
まずは3位のバルテッリ ボッタスに先行されないようにすることが
最初の課題と予想されました。
しかし蓋を開けてみると、今回なぜか偶数列組みは全体的に普通のスタート。
そしてボッタスは逆にスタートに失敗。ハミルトンは最初から
ロズベルグ追走に全力を注ぎます。
オプション(ソフト)タイヤの第1スティントは様子見と言った感じ。
プライム(ミディアム)タイヤに換えた第2スティントで一気に距離を縮めると、
24周目のバックストレートエンドで思い切ってインに飛び込みロズベルグを抜きます。
「昨日とはコンディションが全く違っていたため、リズムを見つけるのに
かなり時間がかかった」というロズベルグを尻目に、トップに立ったハミルトンは
2秒程度のリードを奪うと、ようやくペースを上げてきたロズベルグに
完全に合わせこんでそのまま逃げ切り。あまりに無風だったので抜いた後は
ほとんどテレビに映りませんでしたw
◎際どかったオーバーテイク
ハミルトンがロズベルグを抜いたシーン、見ていると接触するのではないかと
ヒヤッとしました。DRSを使っていたとはいえまだ距離がある段階で
ハミルトンはインに飛び込み、ロズベルグはそれに反応してひときわ
インに車を振ってけん制をかけました。
ラインが非常に窮屈なハミルトンはクリーンにインベタで回って外にラインを
残すはずもなく、ロズベルグは外に逃げながら結局行き場をなくして
アクセルを戻し失速。ベルギーでの一件から考えると、ハミルトンはもっと
ピッタリと背後について、進入する段階で少なくとも横に並んだ状態に
持ち込んで勝負するのがセオリーだったのではないかと私は感じました。
ただロズベルグとしては、バトルのやり方として、あそこは寄せるよりも
外に振りながら早めにブレーキをかけ、クロスラインを狙った方が
反撃できたのも事実でしょう。
意表を突かれたとはいえ、ムキになって寄せに行くあたりに、彼の
追い詰められた心境が見て取れたような気がします。
◎マジック点灯
シリーズは残り2戦で、この勝利によりハミルトンとロズベルグの得点差は24。
最終戦がポイント2倍とはいえ、ロズベルグの自力チャンピオンが消滅し、
ハミルトンに優勝マジック51が点灯しました。
普通に走ればいくらロズベルグが圧倒してもハミルトンはほぼ間違いなく2位に
いるわけですから、ロズベルグはもう波乱を待たざるを得ない状況まで
追い込まれたと言えます。
裏を返せば、ロズベルグは普通なら崖っぷちなはずが、2倍のおかげで次戦
リタイア+ハミルトン優勝でも、最終戦で逆のことが起きると1点差で
チャンピオンになれてしまうということでもあります。
やってもやっても勝てない中で焦りが募るロズベルグ、いかに
前向きな心境で望めるかが鍵となるでしょう。
次のブラジルは天候によって大荒れになるケースも多いので、
互いに気の抜けない戦いは続きます。
◎「馬鹿げた規則」から挽回
今回セバスチャン ベッテルは予選をたった1アタックしただけの17番手で終えました。
というのも、彼はレース前からピットレーンスタートが決まっていたからです。
規則で年間に使えるパワーユニットは5基と定められていますが、ベッテルは
トラブルが多くて使い果たしてしまい、今回6基目を投入。この場合ペナルティで
ピットレーンスタートと定められているため、107%ルールさえクリアすれば
予選に出る意味が全く無いのです。
ベッテルは
「この規則は本当にばかげている。そのせいで、テレビをつけた視聴者は、
ドライバーが何もせずに突っ立っているところを見る羽目になるわけだ」と
批判したと伝えられており、もうかなり前から「予選には出ない」と
予想されていました。
決勝はプライムスタート、1周目にセーフティーカーが出たため
一旦オプションに換え、義務だけ消化してすぐまたプライムに戻す
「実質1ピット作戦」に賭けます。結局タイヤが落ちてきたこともあり、最後の最後に
またオプションに交換しましたが、新品タイヤとペラペラウイングで
中古タイヤのライバル勢を気分よく抜きまくり7位でフィニッシュ。
ベッテルって今年乗れてない割に、タイヤの不安が無く、リカルドと遠く離れている
ような場面では切れ味の鋭さが戻るときがあります。
ひょっとすると、昨年までの自分、対メルセデス、対リカルドといった
「他」を意識しすぎている精神面が、「自分」のドライビングを
見失わせている一因ではないか、と考えてしまいます。
チームメイトのダニエル リカルドも予選5位からおなじみタイヤ長持ちドライブで
ウィリアムズを出し抜いて3位表彰台。
レッドブルとしては最大限の仕事は果たしました。
◎グロージャン落ち着けww
最近は何かあるたびにパニック無線が放送されてなんだかキャラが
小暮化しているロマン グロージャン。
今回も決勝の終盤、ジャン エリック ベルニューに接触されてしまい無線炸裂。
そして、接触でウイングの翼端板が外れてダウンフォースが減っているのに
なんとか集団についていこうとするもんだからあっちこっちでコースオフ。
飛び出したせいでウイングを縁石に当ててさらに部品が飛び、さらに
飛び出す大暴れ。
結局ベルニューには5秒のペナルティーが課せられますが、グロージャンの
順位は変動無く11位。レース後もお怒りだったであろうことは容易に想像できます。
次戦はブラジル。インテルラゴスサーキットこと
アウトドローモ ホセ カルロス パーチェは今年路面が改修され、
来年に向けてピットやパドックが最新鋭の設備に改修される予定です。
某ライコネンさん、間違って変な道にエスケープしないよう
ちゃんと下見に行ってくださいw
(ライコネンは2012年のレースでコースオフした際、なぜかコース外側の変な
エスケープロードへと車を進め、その先のゲートが閉まっていたためUターン。
「昔は行けた」と釈明する歴史的珍事を起こした)