気づけばAUTOBACKS SUPER GT第7戦BURIRAM UNITED SUPER GT RACEが
目の前になりました。日付がF1日本GPとどっかぶりなのが難点ですが(^ ^;)
 このレース、チャンピオン争いとは別の点で興味を引いているのが
マザーシャーシを使用したトヨタ86のレースカー、arto-MC86。
 
 
 シェイクダウンはこんな感じで、見た目はウルトラマンですw
 
 マザーシャーシは簡単に言うと、レースカーを作りたい人がGTAから童夢製の
モノコックを購入して、ここに中心に好みのボディを被せてGT300車両に仕立てる、
というようなものです。いや、実際に作るのは大変ですけどね。
 現在GT300クラスはGT3車両が大半を占め、JAF GT車両はBRZ、CR-Z、プリウスの
3車種のみとなっています。
 JAF GTは改造範囲が広く、ハイブリッドにしたり、ミッドシップに換えたり、
HSVのウイングを流用したりwと開発の自由度がある一方で、1台限りの車に
多額の費用をかけるため、よほどの資金と技術がないと作成すら出来なくなっています。
BRZもCR-Zもメーカーのワークス体制と言えます。
 一方GT3は約4000万円で買ったらそのまま使え
(記事作成当時。2017年現在、価格は6000万円程度、メーカーによって
取り扱いは異なるが、保守用部品等の購入で総額8000万円程度に
高騰していると言われる)開発が全く出来ないため、
ただメンテナンスするだけ。ぶっちゃけJAF GTでいくら速い車を作っても
性能調整で良い勝負にされるわけですから、お金をかける意義って
プライベーターでは全くと言っていいほどなくなっています。
 
 このマザーシャーシは、車の骨格であるモノコックを汎用の販売型とし、
サスペンション、エンジン、さらに86型ならボディも購入可能だそうで
(GTAの最新情報での修飾語の意味するところがイマイチ不明瞭なため、
エンジンも絶対買わないといけないのか、それとも自由なのかよくわかりませんでした)

追記:エンジンはGTA V8のみ使用可能でエンジンに手を加えることは不可。
  

自由に作れるJAF GTと販売車両のGT3の良いとこ取りを目指しています。
 現在の案では、マザーシャーシの場合エンジン搭載位置はベース車に準拠、
ハイブリッドや4WD禁止、となるようで、ある程度の縛りの中で、
あとは自由に作ってね、となる方向性のようです。
 
 初期の段階では国内のいくつかのエントラントの他、韓国のエントラントが
ヒュンダイ ジェネシスで作る話がある、とか、タイのエントラントから話がある、
と色々と話は出ていましたが、とりあえず、2年前まで紫電、昨年から
マクラーレンMP4-12C GT3を使うCars Tokai Dream28が興味を示しているそうで、
「恐らくミッドシップ」と妙に具体的に名を上げられていました。
このチームのメンテナンスを担当するのは由良 拓也でおなじみの
ムーンクラフトなので、何か面白いものでも作る気でしょうか?

追記:ロータス エヴォーラを作成し参戦
 
 興味があるエントラントがいくつかあるのは事実だと私も思います。
かなり何でもアリ化していたGT300を、GT3とJAF GTに絞り込むと決めた当時、
有力ないくつかのエントラントには「ただ買って走らせるだけのGT3に魅力はない」
「ただの『メンテナンス』業では面白くない」といった声があったようです。
 例えば老舗のチームタイサンは以前、元は国際的に共通のポルシェ911 GT3Rに
特認車両扱い(プロトタイプカーとかと同じような扱いになり性能調整されやすい)
にしてでも手を加え、「世界最速の996型911」とか呼ばれていました。
 そういう人たちにすれば、4000万とまではいかなくとも、従来より安く
車が自由開発できるなら興味を示すのは自然と言えます。
 またGT3は海外のカテゴリーの性能調整値が基準で、その調整も完璧ではないので
毎年何かしらアタリハズレが出てしまいます。
ハズレを買ってしまうとシーズン通してあんまり戦闘力のない車で
何も手を出せず走らせる羽目になるため、力のあるチームほど
「くっそ、ここを変えればちょっとはマシになるのにっっ」的な思いが募ります。
 
 とはいえ実際やれるかは別問題。景気も良くありませんし、そう簡単に
お手軽カーを捨てて新車を作る決断は出来ません。
何より、実際マザーシャーシにどのぐらい手を入れたらとりあえず戦えるのか、
というある程度の見積もりができないと、買うかどうかの判断ができません。
そういう点で、今回のテスト参戦は決して単なる顔見せではなく、商談の
場とも考えられます。
 レースは地元チームのTOYOTA TEAM THAILANDが行い、開発している
土屋 武士と地元タイの、ナッターウッド・シャロエンスクハワタナが
ドライバーを務めます。

追記:2017年にナッターウッド ジャルーンスルカワッタナ、と表記されている人です。
   タイの方って発音難しいね。ってこれどっかでも書いたなw

 岡山テストでのタイムはまだまだノロノロ運転でクラス最後尾レベルでしたが、
どこまでタイムを詰めてこれるでしょうか?
 
 なおこの車は本当に作成ベースの試験車なので、エンジンもGTAが
販売予定のエンジンを搭載しています。
そのスペックは4.5L V8としか公表されていませんが、一部では
かつてGT500、後にル マンのLMP2クラスを席巻した日産VK45DEエンジンでは
ないか、ということです。
いずれにしても86とは特に縁のない大排気量エンジンですねw