20日はSUPER GT第4戦、SUGO GT 300km RACEが行われます。
「魔物が棲む」でおなじみスポーツランド菅生。
予選が視界不良で決勝日の朝になり、早速やらかしてくれました。
 ここでのレースは狭い道幅、変わりやすい天候、適度にウエイトが乗った車両、などが
作用して毎年のように何か起きるわけですが、そんな中で、あまり
「過去のSUGO」とかいう映像で出てこない、というか出したくなさそうだったのが
2005年のレースでした。
 
 事件が起きたのはレース序盤、最終コーナーで突如立ち上る火柱。
GT300クラスのJLOCムルシエRG-1がGT500の車両に接触されてコースオフし、
アウト側のガードレールに激突。ドライバーのWADA-Qは脱出したものの、
ムルシエラゴはほぼ全焼、もちろんレースは赤旗となります。
この映像はよく使われているんですが、この時もう1つ事件が起きたのがピットロード。
 
 ちょうどこのタイミングでピットに入ってきたのが、直前までGT300のトップだった
EBBRO M-TEC NSX。コース上の破片を踏んでタイヤがパンクし、スロー走行から
ピットに入ってきたところでちょうど最終コーナーから火柱が上がりました。
 すると驚いたオフィシャルのスタッフがガレージ側からピットウォール側へ
安全確認をせずピットロードを横断。この人がNSXのリアウイングに接触してしまい
ウイングが取れてしまいます。
 オフィシャルの不手際での破損に怒ったのがチーム監督の熊倉淳一。
この後別のオフィシャルが落ちたウイングをピットに持ってきたものの、
怒りで我を忘れた熊倉はこのオフィシャルをウイング破損の犯人と思い込み殴打。
オフィシャルは怪我を負いました。
この事件はレース当日中継を見ている限りでは分からず、後日知ることになります。
 さらに、赤旗で車に触ることができないためなおも怒りが爆発。
「オフィシャルが飛び出さなければ壊れなかったんだから直させろ」という
熊倉と「規則でできない」というオフィシャルの押し問答。
これにはライバルチームであるはずのARTAの土屋圭一も加わって抗議し、
その様子は後日放送された番組で公開されました。
 
 なおもGT300の混乱は続きます。
規則でレースは赤旗前までを第1パートとして完結、残りを第2パートとし、
両レース合計の消化周回数>パート2での順位、という方法で順位を決めることになり
これがまた話をややこしくします。
 GT300では、赤旗前にGT500の先頭に抜かれて周回遅れになっていた車とまだ抜かれて
いない車が混在しており、それがクラス6位のところで分かれていました。
それがために、完結したパート1のリザルト上では7位以下の周回遅れにされた組の人は
実際には前と数秒の差しかなかったにもかかわらず1周遅れの扱いとなってしまい
第2パートでは最初から周回遅れの扱いでスタートさせられることになったのです。
確かどこかのチームの人が当時
「オフィシャルが来ていきなり『あなたたちから後は1周遅れだ』と言われた」と
コメントしていました。
 さっきまで争っていた車といきなり1周差になり、事実上勝負権が無くなる。今でも
何でこうなったのかイマイチ腑に落ちないままです。
そしてちょうど緊急ピットになったNSXもこの1周遅れ組になってしまい、熊倉さん
怒りが収まる気配がありません。
 
 その後レースはなんだか良く分からない空気のまま進み、GT500ではトップ争いをしていた
RAYBRIG NSXにTAKATA童夢がぶつかって同士討ちになる悲劇も発生。
しかもTAKATAの小暮卓史はリアが大破しエンジンが露出した車でなぜか
ピットに入らずレースを続行する珍プレーを見せます。
 GT500はDYNACITY TOM'S SUPRAが優勝。チームトムスにとっては4年ぶりの勝利で、
後にF1に行く山本左近と現在は初音ミクBMWでおなじみ片岡龍也が優勝を挙げます。
余談ですがこのレースの少し前にスポンサーのダイナシティの創業者が
覚せい剤所持で逮捕される事件があり、このレース限りでダイナシティの名前は消え、
次のレースは「TOM'S SUPRA」という名前でエントリーしていました(^ ^;)
 GT300は「吉兆宝山」のロゴがシブい吉兆宝山MR-Sが優勝。こちらも後に
F1にいく中嶋 一貴が、レーシングスクールの先生でもある田中 実とのコンビで
初優勝を挙げます。中嶋は現在トムスでGT500を闘っています。
 
 そしてレース後に熊倉の行為は審議にかけられ、結局EBBRO NSXは
2位でフィニッシュしたものの、ポイント剥奪の処分を受けることになります。
「レース除外」ならゼロで済んだのですが、「ポイント剥奪」となったことで
2位フィニッシュのウエイトハンデだけをもらい、ポイントがないという
ある意味GTらしい厳しい処分となり、熊倉は事件の責任をとって解任。
チームもチャンピオンを取れませんでした。
 
 正直ウイングの件はまずオフィシャルから協議長に特例を出せないか
判断を仰ぐべきだったのではないかと後々思いました。
実際他チームからもこの件に関しては同情的な意見が多かったそうです。
そもそも規則に想定されていないであろう事態ですから、これを
「書いてないからダメ」ととるか「想定外だからとりあえず特例」とするかを
赤旗中断中でしたしもう少し考えてみるべきだったかと思います。
 分かりにくい赤旗再開ルール、オフィシャルの不手際、危険な最終コーナーのレイアウト・・・
非常に課題の残るレースでしたが、こうした細かい内容は普段伝わることは無く、
最近のファンの方はきっと知らないことでしょう。
SUGOのコースの外にもいた魔物。2005年の出来事でした。