海外メディアの情報によると、ケータハムの小林 可夢偉がシーズン中に
解雇される可能性が浮上しているそうです。
 
 レッドブルの育成ドライバー、カルロス サインツ ジュニアがケータハムと
交渉を行い、シーズン中にシートを得る可能性がある。代わりに外れるのは、
資金を持ち込んでいるマーカス エリクソンではなく小林ではないか、という情報でした。
 
 レッドブルは以前にもダニエル リカルドをHRTのシートに「レンタル」する形で
F1を経験させ、そこからトロロッソ→レッドブルと「ステップアップ」して来ました。
今年、セバスチャン ベッテルを凌駕しているのはご存知のとおりです。
 今回も同じ要領で、お金を持ち込んでケータハムのシートを1つ買い、F1の
経験を積ませる算段のようです。
 今年マルシャに初ポイントをもたらしたジュール ビアンキもフェラーリの
育成ドライバーで同じケースと言えるでしょう。
 
 しかしこういった話を見ると、下位チームのシートの価値って何なんだろうな、と
考えさせられます。
個人的にはまず下位チームでキャリアを始め、決して速いとはいえない車で車への
対応力や高速でレースしながらの判断力、1発の速さ、安定感といった様々な要素をアピールし、
ライバルのお眼鏡に適えばステップアップ、というのが理想だと感じています。
 しかし最近のF1を見ていると、特にGP2という非常に高速のカテゴリーが
登場したこともあり、GP2やフォーミュラールノーV6 3.5といったところから、
直接「即戦力」として上位クラスのチームに入ることが増えたように思います。
 
 そこにはもちろん、ニコ ロズベルグ、ルイス ハミルトンとGP2王者がいきなりF1で
通用した成功例があったからだと思いますが、どうも最近の混戦でやたらぶつける
人たちを見ていると、お金の少ないチームで大事に車を使ってレースをしながら
自らをアピールする、という過程を経ていないために発想がGP2の延長上で、
がちゃがちゃぶつけながら前に出るやり方しかしらない、という風に見えてしまいます。
 
 一方下位チームは「ドラフト1位」な逸材には見向きもされないので、
持参金重視でドライバーを選ぶしかなく、そうすると似たり寄ったりなドライバーが
集まり、ある程度枠の固まった上位勢にステップアップするような逸材は現れず、
また解雇しては次のお金ドライバーを雇う、の繰り返し。
ドライバーの方もF1から転げ落ちて他カテゴリーへ行くのみ、といった感じです。
 車が遅いことも相まって、特に新興組といわれるチームとそれ以外とでは大きな
壁があり、ドライバーの流通経路が全く成立していないのが極めて残念なところです。
 
 今回レッドブルの売り込みで小林が蹴落とされるかもしれないとあって
日本のファンからすると「レッドブルどこまで強欲なんだコノヤロウ」といいたい方は
多いかと思います。実力で考えれば小林の方が上なのは間違いないであろう中
お金のあるエリクソンが残るだろう、というのが悲しい現実を物語っています。
 
 しかし一方で、ここまでステップアップの流れが起きない今のF1の状況を見ると、
小林がいくらがんばってもどこか上位勢が拾ってくれる期待は薄いように感じられ、
それならまだお金と実力がある程度備わっている人に、事故魔にならずに
ちゃんと経験を積んでもらう時間を作ることはF1界全体としてはまだマシな話なのかな、
という気もしています。
 リカルドが階段を1段ずつ登って非常に素晴らしい才能を見せている姿を見ると
余計にそういった考えが浮かびます。
 もちろんあまり健全な形とは言い難く、サインツ ジュニアが小林より良いドライバーか
どうかすら分かりませんし、リカルドがいきなりレッドブルからスタートしても
同じ結果が出せたのかもしれません。 
 できれば小林×サインツ ジュニアの組み合わせが一番見てみたい気がしますし、
3人でローテーションでうまくまわすようなやり方とかできないものかと野球の国の人は
主張してみます。
 いずれにしても、「下位のシートがお金だけの場ではだめだ」と思いながら、
現実にはお金のあるレッドブルに買ってもらった方がいくらか面白いかもしれない
という自己矛盾に陥っており、解決の糸口を示せないのが情けないところ。
 
 トップチームの育成の場となるのか、目利きのトップが思いがけない才能を
発掘してくる場なのか、それともただ文字通り「運転資金」を取り入れるための場なのか。
F1界にとって価値のあるシートであり続けてほしいものです。

追記:ちょうど最新の情報で
「サインツ ジュニアのケータハム入りは当面なし。
フォーミュラールノーV6 3.5でのタイトル獲得を優先」との
情報があったようです。
しかし今後もどうなることやら。