車種ごとに作戦がバラバラになるGT300クラスの500kmレース。
気づけばトップに立ったのはグッドスマイル 初音ミク Z4の谷口 信輝/片岡 龍也。
終盤GAINER DIXCEL SLSからの猛攻をしのぎ開幕2連勝を飾りました。
GT300での連勝は同じGSR 初音ミク BMWが昨年の富士、オートポリスで
記録して以来。しかしこの時は
「富士まではウエイトがポイント×2、オートポリスは等倍」という規則のために
ウエイトを減らしながら(富士44kg、オートポリス42kg)の記録。
ウエイトが増えた上での連勝はGT300では2004年、ARTA Garaiyaの新田 守男/高木 真一以来。
開幕からとしては2000年のシェルタイサンアドバンGT3R、福山 英郎/松田 秀士以来。
過去に開幕から連勝したドライバーはGT500、300とも必ずドライバータイトルを
手にしています。(2000年の松田はインディ500参戦のため1戦欠場して福山のみチャンピオン。
また1998年は第2戦が大事故で中止となり、1・3戦での連勝)
また片岡は2003年、スポットでドライブしたシグマダンロップセリカでも連勝しており、
自身3度目の連勝です。
◎勝負を分けたSC
レースは序盤に2度のセーフティーカー(SC)。2度目のSCはギリギリピットウインドウに
入っており、結果的にここで入った組が上位でフィニッシュ。
富士は異様にピットロードが長く、しかも給油とタイヤ交換が同時にできない
GTではウインドウに入っていれば多少タイヤの持ちに不安があってもやはり
入ったほうが断然お得に見えました。
プロ/アマ組でプロの加藤 寛規が長く走る必要のあったシンティアム・アップル・MP4-12Cは
ステイアウトやむなしだったとはいえ、なぜOGT Panasonic PRIUSは入らなかったのか、
テレ東の番組でその理由が放送されることを期待します。
◎無限を嫌う富士の女神
トヨタのホームコースだからというわけでもないでしょうが、また、MUGEN CR-Z GTは
勝利に見放されました。
昨年の500kmではトップ独走中、レース残りわずかで巨大なタイヤかすを拾い
緊急ピットイン。今年も燃費のよさを生かし気づいたらトップにいましたが、終盤
タイヤのグリップが低下し中山 友貴がスピン。長いスティントと気難しい車両特性、
そしてどうも映像で見る限りどこかで接触して左リアのディフューザーがけっこう
破損しており、これらの問題が終盤にこたえた模様。
3位で終えられたのは御の字だったかもしれません。
◎恐らく一番疲れた人たち
タラレバを言えば2位のGainer SLS。途中コカコーラコーナーでGT500にぶつけられて360°
きれーにスピンしていました。ここで深刻なダメージを受けず数秒のロスですんだのはある意味
幸運でしたが、予選からギアトラブルも抱えていたらしく、接触でバランスも狂った模様。
惜しいレースでした。
しかし延々と続いたビヨン ビルドハイムと片岡のバトルは間違いなく今レースの主役。
500km(正確にはGT300は465km)を1.061秒差。パートナーを含めた4名のドライバーに
拍手を送りたいです。
◎Z4旋風続く
もう1台タラレバがStudie BMW Z4。初めてスタートドライバーを務めた
ヨルグ ミューラーがスタート違反でドライブスルーペナルティー。
富士のピットは通過するだけで約40秒のロスタイムがあり、結局7秒差の4位で
フィニッシュしていますからこれがなければぶっちぎり、だったかもしれません。
また、裁定が出たのは2度目のSC明け後。裁定がもっと早く出て
2回目の前に消化していればかなりのロスを相殺できていたかもしれませんし、
紙一重、といった感じです。
Z4はGT3車両の中では比較的軽くて低パワーのテクニカル仕様。
富士テストでは初音ミクの谷口がブログか何かでストレートの遅さを嘆いていたそうですが、
タイヤが長持ちし燃費も比較的良好な特性は作戦の幅を広げ、
レース終盤まで安定したタイムを刻むことができます。
夏の300kmの富士は不利でしょうが、テクニカルコースと長距離なら競争力は
かなりのもの。しかも性能調整の基準となるブランパン耐久シリーズではZ4が
あんまり速くないらしく性能的に有利との情報も。
上記連勝の法則も含め、これは初音ミクに追い風か!?
◎必ずいなくなるGT-R
ポールスタートのB-MAX NDDP GT-R。ドライバーの星野 一樹/ルーカス オルドネスは
良い仕事をしたと思います。しかし、GT-R NISMO GT3はストレートスピードと引き換えに
燃費がかなりひどく、2回目のピットを終えるとずいぶん後ろに下がっていました。
レース距離にかかわらずこれはGT-Rの大きなネック。
昨年も必ずと言って良いほどピットを終えるといなくなっていました。
オルドネスは「タイヤ/燃料の消耗」を「なし」にしたくてしょうがないことでしょうw
ところでこのGT500、GT300という名前、元々おおよそ500馬力・300馬力だったことに
由来していますが、今はGT300でも例えば車の重いGT-Rは550馬力とか
特に重量の重いグループGT3車両ではかけ離れた数字。
GT500も550馬力以上とされています。
規則書での正式名称はそれぞれクラスⅠ、クラスⅡとなっており、今となっては
こちらの方が良いかなあと思うしだいです。
「じーてぃーさんびゃく」より「くらすつー」の方が言いやすいですしね。
(機種依存文字は書きづらいのでやめていただきたいですがw)
グランツーリスモで遊んでて「300馬力ちゃうやん」と詳しくない方は思ったでしょうし。
GTAさん、新時代に合わせてクラス名の再編、いかがですか?
レースとは関係ないお話でしたm(_ _)m