ワールドベースボールクラシック準決勝ゲーム1は、ご存知のとおり
プエルトリコが日本を破り、決勝進出を果たしました。
まあ采配やら走塁云々はいやというほど書いているので、私が見てて
感じた点は2点。
1つ目はプエルトリコのキャッチャー、ヤディアー・モリーナの存在感。
彼は日本の阿部慎之介と同様に「捕手・4番・チームの柱」としてここまでチームを
引っ張ってきましたが、実際に試合を見てその存在の大きさに感心しました。
要求どおりの球でアウトをとればミットを突き出してピッチャーを鼓舞。
野手陣に対して大きなジェスチャーで守備位置の指示を送り、
さらには明らかな状況判断ミスで単打を3塁打にしたセンターの
アンヘル・パガーンに対してはイニング終了後即座に説教。
(パガーンもメジャーリーガーなんですけどね・・・)
「とにかく俺がこのチームを引っ張るんだ」という気迫にあふれていました。
一方日本。野手陣は淡白な攻撃でアウトを重ねましたが、明らかに構え遅れて
いたことが要因だと思いました。
走者のいない場面では1球1球おまじないのようにあれやこれやをやってから
投げる日本人とは対照的に、とにかくテンポの速いプエルトリコ投手陣。
投手同様色々ルーティーンの動きをしないと落ち着かない日本選手は
極端な話「心の準備が整わないうちにもう投げられている」ような感じでした。
象徴的なのは6回、井端弘和はカウント0-1からの2球目にタイムを要求しましたが
成立せず、打席の後ろに立つ中でど真ん中にストライクを取られました。
これを、ストライクゾーンのばらつき等とまとめてとらえて「タイムを聞く技量すらない
クソ審判」みたいな見方をする方もいるようですが、ピッチャーのホセ・デ・ラ・トーリは
その前からキャッチャーから返球を受けるとほとんど間をおかず投球していました。
井端がタイムをかけた場面でも、井端の右手がかかげられた時点ではすでに
デ・ラ・トーリは投球動作に入っており、審判の判断に落ち度はないように思います。
むしろその後、ふてくされたように外角の完全にボールになるスライダーを
空振りしてアウトになった行為は見ていて気持ちの良いものではありませんでした。
終盤に試合はもつれ、例のシーンへと進むわけですが、集中力を切らさず最後まで
試合を行ったプエルトリコに対し、日本は「何か違うな。何か合わないな」と
ボールではなく「見えない何か」に気をとられすぎて集中できていなかったことが
勝敗を分けたのではないでしょうか。
最後に一つ。地上波放送、特にテレビ朝日の放送陣。実況解説ではなく
あれはただ叫んでいるだけです。Qさまと同じトーンで実況するのやめてください。
古田は「ウオー」「オッシャ」以外に何の解説をしていたのか覚えていません。
挙句の果てに日本が決勝に出ていなければ決勝の放送は深夜枠へ移動。
国際大会というのは自国の応援だけでなくトップレベルの戦いを楽しむものであると私は思います。
日本人だけ映すなら、オリンピックの陸上でボルトは映さないんですか?
日本人が全員予選落ちしたらゴルフ中継は金曜まででやめますか?
こういう偏った編成が、長い目で見て顧客を減らし、自分たちの発信する
コンテンツの価値を自ら下げていることにもう少し気づくべきだと、これは他の競技でも
いつも感じます。