【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】ハイビスカスの花
石垣島、西表島へショートシネマの撮影旅行に行ってきました。
素晴らしい築三百年の民家や、夕日の海岸へロケハンにご案内くださった方に、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ちょうどかさねて先日、「男はつらいよ寅次郎 ハイビスカスの花」をBSで観ました。旅の思い出もあいまり、ハイビスカスが切に幸せを願う女心の象徴と、感慨ひとしお。
そのときどきの人生観により、伝わることがかわります。小説も、映画も… そんなことを感じました。
寅さんはてきや稼業。リリーはキャバレーの歌手。ともに旅生活をつづけています。
それが、心の底では平凡に男女仲よく、ひとっ処で暮らしたいと願っています。
かたぎの女のように、ちょっとした軽い寅さんの浮気癖を妬むリリー。寅さんはそんな女心がわからずに的はずれなうけ応え。リリーは傷つき、口論から二人は喧嘩別れします。
のちに柴又で再会し、とらやの居間でリリーが沖縄民謡を口ずさみます。
歌声に寅さんは思わず、「世帯をもとうか」といってしまいます。
沖縄民謡が「人、本来のあるべき想い」をめんめんと伝えていて、しみじみと表現されていました。説明なくして描く… たいせつですね。
山の中で暮らし、野菜を手作りし、料理されているおばぁさんの番組をみました。
菜の花を炒めているだけの料理なのに、菜の花を愛おしみ炒めていらっしゃる姿に感動しました。
水分の飛ばし方、青みの美しさ。素材を愛することはたいせつです。
さてシナリオの一番たいせつな素材は、人間です。
時代に「ウケル」モチーフよりも、一番たいせつな素材は人間です。
お話を考えるときのヒントに「三題噺」がありますが、寅次郎とリリーとハイビスカスとかけて、なんととく? どの素材もみごとに描かれていました。
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