【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】棄てる神ありゃ…
「わたし、嫁はんに棄てられました」と儚んでいる世の男の人、めげないで。
棄てる神ありゃ、ひろう神ありで、世の中はめぐりあい。
棄てる神「つまらん男。あほらし、さいなら」
ひろう神「や、こんなん捨てたぁる。めちゃ、ええやんか。ひろとこ。あたしがピカピカに磨いてあげるわ」と、ひろった神が愛を尽くすと、凹んでいた心も、やる気満々に変身。
ひろう神はドラマティックに限らず、町のおばちゃんであったり、食堂のおっちゃんであったり、思いがけない処にいます。
また、凹んでいる人の心の疵をそっと磨く、ひろう神のはしくれにもなりたいものです。
このところ創立祭のおかげで、さまざまな方との出会いに恵まれています。
そんななかで、わたしは失敗談のできる人をすごく尊敬します。
それも聞いている人が楽しくなる失敗談。
ぺぃぺぃ時代の失敗談や、懸命に生きたのに関わらず結果的に失敗したおはなし。
単におはなしがおもしろいのではなくて、それを楽しく語れるその人の心のゆとりに、幸せな気持ちにさせていただいていることに気づきます。
尊敬する宇野千代さんは九十歳も越えられたころ、「わたし、一日に二回は自慢するんです」とおっしゃっていましたが、これもまたステキなエピソードと思いました。
この年齢の、この方だから通用するような。
自伝的小説「生きていくわたし」をむかしずいぶんと凹んでいたときに読んで、勇気をいっぱいいただきました。
「あんた、恋にケチはダメよ」と云うのも宇野千代さんの名言。恰好よくて、きっぷがよくて、まぁ、女としての貫録というか… ものを創ることとは、他の人がなりたくてもなれない個を確立していこうとする、果てしなくむずかしくも魅力的な旅なのかもしれません。
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