【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】たそがれまえ | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】たそがれまえ

水やり三年五年、というほど植物の水やりはむずかしいそうです。

草花ごとにちがい、あわせての水やり。日に一度なら朝。どばどばやってはダメだそうで、二度目やるならたそがれまえ。日中、陽をうけて蒸した土を、そっと鎮めて夜を迎えるためだそうです。テレビ番組のベランダー、面白いですね。変なおじさんがベランダの草花にはまっている様子。可愛らしくて、ちょっと気色わるくて…
 
 部屋で添削をする日には、気分転換にベランダで草いじりをします。

枯れた葉や花びらを摘みながら、アスファルトの熱を冷やすような風をのんびりうけていると、心のなかにも、さわさわ爽やかな風がながれます。草花も手をいれすぎると、もうごめん、と喋りかけてくるようなので、たそがれまえには草花のみに夢中にならず、気もそぞろにさまざまなことに想いをはせます。


 朝はていねいに水をやり、たそがれまえには蒸した土の熱を冷まし… これは人とのおつきあいとも似ているのかもしれません。

相手にあわせてていねいに、陽をうけたなら咲きほこり、たそがれまえには蒸した心をそっと冷やし… そんな女の人に出会えるのなら、男に生まれ変わりたいものですが、たいてい夕方から夜になるほどヒートアップする、怖い女の人が多いようですね。

深夜にはアルコールですっかり眼が坐り… わたしのことかもしれません。草花に学びましょ。


 先日、或るお歳を召した婦人の句を描きためた和紙の手帳をみせていただきました。

常ひごろ、なにかと自然に触れるにつけ、詩情をあらわすたしなみというのは、すばらしいものと思いました。そこからはゆとりあるやさしさが育まれます。

自然から詩情をたしなむ心もまた、作家に求められて然るべきものとあらためて…


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