【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】ハルカスのじゃりん子ちゃん | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】ハルカスのじゃりん子ちゃん

 或る夕暮れどき、天王寺動物園から古い商店街を阿倍野まで散歩しました。商店街ではお孫さんづれの真っ赤なほっぺをしたお爺ちゃんが、カラオケ酒場のカウンターでおなかの底から大声で歌っていました。この「カラオケ酒場」というのがこの周辺では人気のようです。大声をだすのは健康的だし、お孫さんもマイクをお爺ちゃんから奪いとって歌うなんて、なんてほのぼのとした下町なのだろうと思いました。そして阿倍野へ。ハルカスがそびえて新しい街にさま変わりしたかのようでも、やはり昔ながらの下町風情がいたるところに残っていました。ずいぶんの距離を歩いたので喉を潤しにちいさなバーへはいりました。そこにもいたのです、じゃりん子ちゃんが。カウンターで水割りやカクテルのグラスを傾ける大人たちにまじって並び、すんなりおさまりきっている、五、六歳の女の子。若いホステスさんのお客さんが、
「うち、はよ帰らな、あかんねん、こども、おるし」
 というと、じゃりん子ちゃんはすかさず、
「ほぉ、こども、おんの? しらんかったわ、何歳や?」
 とボケとつっこみのような絶妙の返しをその後、連発。ちかぢか、必ずや吉本からスカウトされると、周囲の大人たちみんなが笑ってしまいました。こどもが、「ほぉ、こども、おんの」というのが可笑しいし、浪花のおっちゃんの口癖のようで、一杯呑みながらホステスさんの悩みでもいっちょ聴いたろやないか、という態度もそのまま浪花のおっちゃん。浪花のおっちゃんとは、横柄でも、やさしい。それを的確に真似る、さすが、じゃりん子チエのふるさと周辺。たのもしさを感じました。
 これから創造されていく次世代のために、人情や言葉へのこだわりを持ちたいものです。


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