【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】うぬぼれ鏡 | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】うぬぼれ鏡

 あけましておめでとうございます!

 昨年、友だちから萌えるような楓色のギターをプレゼントしてもらい、わたしの宝物になりました。ギターの練習をして過ごすうちに、シャンソンの言葉と心に惹かれ、シャンソンのことを調べていました。そしてあいまに越路吹雪さんの残された日記やエッセイを綴った本を読みました。パリへシャンソンの勉強に逗留された、お若いころの日記集です。エディット・ピアフのステージにうちのめされ、自信とうぬぼれのはざまで、ご自分だけの歌唱を創造していこうと悩み苦しみ、たちむかわれた強い志に、心をうたれました。ギターの教則本に、こうありました。

「なにごとにおいても自信を失ったが最後、成功はおさめられなくなってしまう。しかし、うぬぼれ、すなわち慢心は芸を滅ぼす。自信とうぬぼれ、これは紙一重のものであり、その紙一重がわからぬものは大成できない」

 と厳しいお叱り。これは初心の精神にもつながることで、自分が初めたときからどのあたりへ到達しているのかを正しく計ることの大切さですね。自信とは自分の能力や価値を確信すること。うぬぼれとは自分を実際以上にすぐれていると思うこと。でも、自信だけのシナリオは面白くないと、ついへそまがり。たとえうぬぼれが滑稽であろうと、敢えて挑んでいるシナリオは面白い、と堂々巡りしてしまうのは、お正月のワインの呑みすぎでしょうか?

 むかしアンティーク家具屋さんでヨーロッパのうぬぼれ鏡をみつけたことがあります。等身大の、見えるか見えないかの、ボォッと霞んだ鏡。玄関に飾って、でかけるまえにこの鏡に自分を映すと、一日中しあわせの錯覚に酔っていられるかもしれない、そんな気持ちになりましたが、けれど現実が…

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