【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】風まち潮まちの港より | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】風まち潮まちの港より

 あけましておめでとうございます。


 お正月は岡山県備前市の日生(ひなせ)で過ごしました。
風まち潮まちの港にはさまざまな文化と風情が残されています。伊勢志摩でも、風まち風よけのため港に、「はしりがね」と呼ばれる遊女がいたそうです。
島国日本では今は少なくなりましたが、海、港、女が流行歌の三大要素であると作詞家の先生から伺ったことがあります。「シンデレラ・リバティ」という映画がありましたね。
定住することのない人との恋物語はせつないですね。


 日生にある加子浦歴史博物館へいきました。
正宗白鳥、牧野大誓、柴田錬三郎、池田万寿夫、井伏鱒二をはじめ日生ゆかりの文人や画伯が多いのに驚かされました。
ちょうど大人の隠れ家のような雰囲気が漂う港の風情が、多くの芸術作品の想念を生んだのでしょう。


 博物館で田淵屋甚九郎という魅力的な人物の資料とであいました。
江戸初期から中期にかけて突如日生にあらわれ、日生を根拠地に廻船業を営んでいた人で、海賊説もあり、 四十八隻の千石船を所有し、北海道から九州はもとより、フィリッピン、中国、東南アジアまで交易を広げ、藩公認の密貿易もしていたそうです。
ところが日生の寺社の再建や、熱病が流行した際には密貿易で得た巨万の私財をなげうち村民を救ったこともあり、日生の人にとってはなくてはならない大恩人だそうです。
この男性像からレッド・バトラーを連想しましたが、「むかしむかしのことじゃった、甚九郎さんがなぁ、」と始まる甚九郎ののんびりユーモラスな昔ばなしも多く残されています。
例えば、勢いこんだあまりに用意した船が大きすぎて日生港の湾へはいらなかった等、村人がこの恩人を心から敬愛していることがユーモアから伝わり、ユーモアとは愛であることをあらためて学びました。                
 


シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛 [DVD]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

¥3,990
Amazon.co.jp