【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】人生の四季
節電、台風と、なにかと心配ごとの多かった今夏も終わりを告げつつありますが、残暑きびしきおり、くれぐれもご自愛ください。
今年の災害を思うと、自然のきびしさを痛感します。しかしやはり日本に暮らしていると四季おりおりのやさしい自然に出会えます。若いときはさほど思わなかったのですが、この処は四季の変化を享受できます。今年の初夏に、わたしは生まれてはじめて掌のなかに、蛍をつつむことができました。とても可愛らしい輝きを放っていました。
草花や木々に四季があるように、人生にも四季があると、この処、思うようになりました。春夏秋冬、悲喜こもごも。もし一生ずっと春の人がいれば、おめでたい人なのかもしれません。そうして考えると、今、或る人が人生の春を謳歌していても、すぐそばにいる他の人は、つらい冬を乗り越えようとされているのかもしれません。自分の春を思いのたけ謳歌することはたいせつですが、隣人の冬を思いやることもたいせつです。そして冬も一定の概念だけではなくて、たとえば暖炉のまえで愛を感じられたなら、冬ほどすてきな季節はありません。愛といっても恋愛に限らず、暖炉の薪をくべる手が、愛する人の手なら、なんてあたたかいことでしょう。
先日、読書をしていますと、「毒払い」ということが書かれていました。たとえば物理学者のアインシュタインは、論文を書く前に哲学者バートランド・ラッセルの文章を読んでから書いたそうです。これは文章を真似るという意味ではなくて、「毒払い」なのだそうです。世の中に氾濫している思慮に欠ける言葉は、知らず知らずに人の心に沈殿しており、それを毒払いするために、衿の正せる文章を読むことは必要…、そのようなことが書かれていました。
自分だけの、そうした一冊は欲しいものです。そしてドラマのお客さまには、春夏秋冬さまざまな人生を今、生きている人がいます。思いやりのあるドラマを…。<鳩子>
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