【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】みなとまち わたしさがし
画家であり風俗研究家でもある岩田準一(明治33年~昭和20年)の記念館、「鳥羽みなとまち文学館」へ行きました。
同氏は竹久夢二と江戸川乱歩の二人の巨匠を魅了した鳥羽の奇才と呼ばれている人です。大変な美貌の青年だそうで、両巨匠を魅了したと知り、とても興味を抱きました。
竹久夢二、江戸川乱歩、二人の大好きな芸術家の接点が同氏と知り、これはなにをさておきと焦燥感に駈られ、鳥羽へ向かったのでした。といっても、ほんのささやかな「わたしさがしの旅」に過ぎないので恐縮します…。
鳥羽駅の裏路地にある記念館は想像を超えて、世界観への憧れを膨らませてくれました。
向かうにあたり、今一度むかし読んだ「孤島の鬼」を読み返しました。乱歩が岩田氏から影響を大いに受けたと呼ばれている小説です。
「孤島の鬼」には三重の島は登場しますが、土地のみならず、多くの感性のインスピレーションを受けて生まれた小説であると感じることができました。むかし読んだときには、そのおどろおどろしさにショックを受けたのですが、今回読み直し、鳥羽へ行き、驚かすことがテーマではなかったことを発見できました。今、ホラーは人気のジャンルですが、さすが乱歩先生! と感銘あらためて。
巨匠ピカソも女性を変えるたびに新たな芸術を生んでいますが、環境に新風を送ることにより、新たな世界観を生みだしてゆくことは、多くの芸術家がチャレンジし、営んできたことだろうと思います。
乱歩であれ、夢二であれ、岩田準一からの影響は否めないと思いました。
といって、ピカソのように風を求めるがごとく恋を求めて生きる覚悟は、凡人になかなかできることではありませんね。
でも、「人間好き」であることは、作る人にはものすごくたいせつなことだと思います。<鳩子>
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