【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】べんがらの古里
先日、べんがらの古里、吹屋へ行きました。
べんがらとは染料の名称で、ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、時代劇にでてくる、べんがら格子の色です。
茶をおびた褪せた煉瓦色のような桃色を連想してみてください。
吹屋の町は岡山の真ん中、山の奥にあり、冬は雪化粧で覆われるような寒い処にあります。高梁市に位置するのですが、高梁の街中からはずいぶんと山の奥へ入った処にあります。ちなみに高梁は寅さんの妹、さくらのご主人の古里で、寅さんのロケ地になったこともあります。
高梁ものどかで、小粋な町で、わたしのお気に入りです。高梁には、文化人がよく宿泊したというインテリジェンスを漂わせる宿もあります。
さて、吹屋は岡山でも一番のわたしのお気に入りです。山の奥深い処に、べんがら色の小さな一区画が、まるでメルヘンの国のように、ひっそり佇んでいます。土壁も、屋根も、全てべんがら色です。
ここに訪れる多くの外国人観光客たちは、京都等では味わえない一風赴きの異なったジャパネクスを感じられるようです。吹矢の町には「犬神家の一族」のロケに使われた大邸宅が、今も残ります。江戸時代から栄えていた銅山で財を成した人の邸宅です。過去の隆盛の名残さえもがものがなしく、べんがらの古里を侘しい味わいへと誘います。
日本の色彩には味わいがありますね。昔、着物を洋服にリフォームする仕事をしていたのですが、着物をほどくとき、さまざまな色の糸や布を手に取り、さまざまなことを感じ、思いを馳せました。
どんな色の女性を描いてみようかしら…とあれこれ創作してみてもいいかもしれません。
ベビーピンクの女性と、べんがら色の女性は、おのずと異なることでしょう。<鳩子>
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