【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】のんびり猫ちゃん事件?
なににも遭遇しないなぁ…と思っていたら、或る事件?が。
散歩道に狭い路地があります。その路地の長屋の一軒家にのんびり屋さんの太った猫が棲んでいました。人なつっこくて大らかな性格で、路地のど真ん中でひっくり返って寝そべっていました。自動車が近づいてこようが、へいっちゃらです。大らかそうでものすごく太ったお婆ちゃんが飼い主でした。お婆ちゃんはお爺ちゃんと二人棲まいでした。その家の玄関の前には素朴な植木鉢が処狭しと並んでいて、のどかな空気が満喫していました。
ところが或る日、植木の群れが姿を消し、のんびり猫ちゃんと太ったお婆ちゃんの姿も消え、どうされたのかしらと思っていると数ヵ月後のこと、いたのです、のんびり猫ちゃんが。あいかわらずのんびり近づいてきたのですが、よぉく見ると片眼がつぶれていて、にゃあ、となにか訴えるように鳴きました。
それからまたのんびり猫ちゃんの姿も、植木の群れもないままの日々がつづいた数ヶ月後、子猫が長屋の前にいたのです。猫にもDNAがあると見え、先代の猫ちゃんと同じ性格。にゃあ、やら、ふにゃあ、やら、人なつっこくすり寄ってきます。
ところが子猫ちゃんにも逢えないなぁと思う数ヶ月かがまた過ぎ、その間にはぽちぽちと植木も飾られるようになってゆきました。
つい先日のこと、ひさしぶりに子猫ちゃんが長屋の玄関の隙間からにゃあと出てきました。「いてたねぇ」と話しかけようとすると、つづいて小奇麗な小さなお婆ちゃんが玄関から出てきました。小奇麗なお婆ちゃんのお化粧が濃いいので、私は少し戸惑いました。
お爺ちゃんは新しいお婆ちゃんと棲みはじめたのかしら。それも勝手だけれど…。先代ののんびり猫ちゃんの片眼はなぜつぶされたのかしら…など、さまざまに想像してしまう物語好きなんて、本当に勝手なお世話ですね。<鳩子>
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