親孝行
あいつぎ日本人からノーベル賞受賞者が発表されました。暗いニュースがつづくなかでの明るいできごとでした。特にご高齢の方の受賞は、たくさんの人に希望の光を投げたことでしょうね。
ところで、受賞された方はご高齢なので、栄えある受賞を喜んでもらうご両親も、おそらくこの世にはいらっしゃらないことでしょう…と、不思議な感じにとらわれました。なぜならいつも一所懸命シナリオを勉強されている生徒さんがデビューされると、一番にその方のお母さんに喜んでいただけるかなと思うからです。わたしもむかしラジオドラマのデビュー作品がオンエアされたとき、母と一緒にラジオを聴きました。最後にわたしの名前が読まれると、母は拍手して喜んでくれました。そのときの母の笑顔が忘れられません。
親孝行とはでもなぜ、栄えある報告のときにいうのでしょう。けっして裕福ではなくても、なんとか元気に暮らしてるということが、本当は一番の親孝行なのですが…。
むかしわたしが生徒だったころの課題に、「人情」という課題がありました。書くのに困り周囲のいろいろな人に「どんなときに人情を感じますか?」と聞きました。
すると、高齢の或る婦人は、「嬉しいことを一緒に喜んでもらえたとき」と仰っていました。意味深でむずかしいお返事だと思いました。嬉しいことを心からともに喜んでもらえる人は、もしかするとこの世に親をおいて他にないのかも知れません。哀しいかな他人の心のなかには、妬みが生じます。だから栄えあることの喜びは親とわかちあうべきなのでしょうね。
でもきっとあなたの家族は、近くにいる人は、シナリオを勉強している生き生きしたあなたの姿を、本当はなによりも喜んでいらっしゃいますよ。
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