春の横顔
今年の桜のおとずれは早かったようですね。あわただしい天候のうつろいに体調もくずしがちです。どうぞみなさん、ご自愛くださいね。
今年は少し変わったお花見を二回しました。
一回目は、雨の降る日の大川遊覧船から、天満、都島、大阪城へ、船のガラス窓越しにうすぼんやり雨に濡れる満開の桜のゲートを見ました。お天気の日の満開の桜とまたことなり風情のある景色でした。
それからもう一回は、棲んでいるマンションの裏手の小さな公園で、ひとときの夜桜見物をしました。枝から枝へ連なっているぼんぼりに灯が燈っていて、だれもいない公園の、見てくれる人もいない桜から、春の空気が静かにただよっていました。
満開の桜のしたにシートを敷いて、たくさんの料理にお酒を並べた会社の人たちの大宴会。名所にてライトアップされた樹齢ウン年を誇る桜の大木。テレビでそんな光景を映していましたが、こんな風変わりな春の横顔もまた風流と思いつつ、こんな状況でどんなラブストーリーが描けるのかしらと思いをめぐらせました。取るものも取りあえずギターだけ掴んで家出してきた主婦が、だれもいない夜桜公園でギターを爪弾いていたら、これもまた風変わりな男がギターの音色に惹かれて公園へ… そんなラブストーリーが浮かんできました。その主婦は昔の映画「フォロー・ミー」のミア・ファーローのようなタイプの女性かな?
真正面と横顔とが全然ことなる女優さんがいると聞いたことがありますが、人間を描くのにも、真正面と横顔はちがいますね。物書きには人間観察眼がたいせつ。
いつも人を観察していて気が許せないと、周囲から嫌がられるのは物書きの宿命です。嫌がられてちょっと淋しいけれども、その分ステキな人物を描いてみましょう。そこで真正面からではなくて横顔を観察してみるのも、一味ちがうかしらと思いました。
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