【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】楽屋 | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】楽屋

 女の楽屋が化ける楽屋なら男の楽屋も化ける楽屋。どんな風に化けたいのでしょう?


 なにごとも気にしていなくて、爽やかに、微笑んで生きている人に化けたい。その点では、男も女も同じなのでしょうね。女から男を見て、「ちょっと違うな」と思うのは、「強い弱い」と云うことを気にしていて、強い男であろうとしているところです。

 ある女流作家が、「女は、強い男よりも弱い男を好きになり、弱い男の心の窪みを愛おしく思う」と書かれていました。同感です。なのに強さを魅力と信じて、強さを誇示する男が多いのはなぜでしょう? 女には若い頃から、可哀想なムードをかもしだす翳りがあって、悪くて不良っぽい男を好きになる性癖があるようです。「私がついていてあげないと…」と思ってしまう母性本能。絶対大丈夫と云う男にはワクワクしません。危険だけどワクワクしたい。恋では女は冒険者なのでしょう。

 先日、テレビで30代の杉良太郎の、舞台と楽屋裏のドキュメントを再放送していました。大正昭和生まれのおばちゃんたちの憧れのスター、杉良太郎。一世を風靡した男の色気の秘密とは? 


「名門の出でもありません。歌舞伎の御曹司でもありません。鉄の卵です。一所懸命、磨いていかないと、錆びてしまいます。錆びないためには、みなさまのお力が必要です」


お芝居の後の歌謡ショーで、杉さまがいつも云われる決めゼリフだそうです。新国劇や大衆剣劇のセリフには、自分を一旦おとしめて、その後で志や決意、願いを表現するセリフがありますが、「弱い男でござんす」と堂々と云える男の方が、「こんな強い男なんだぜ、バカにするなよ」と誇示する男より、ワクワクするし、反して、信用してもいいような気分にもなります。<鳩子>