【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】女の楽屋 心の楽屋 | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】女の楽屋 心の楽屋

 知人に、若き日イタリアで修行してこられたエステティシャンがいます。


 彼女曰く、日本とイタリアでは、エステについて、とらえ方に大差があるそうです。


 日本人は、しわやしみをとるため…と、現実的な目的でエステを訪れ、反して本場ヨーロッパでは、身心をやさしくいたわるリラックスタイムとして、エステを訪れるそうです。しみ、しわ対策のみを目的とする日本人の場合、高いお金を払ったのに、すぐさまの効力がないと、「嘘つき!」「詐欺商法!」と喰ってかかる人もいるとのこと。現実的な目的意識に基づいていると云うのに、魔法使いに全ての悩みを救われるとでも信じこんでいるかのように、突如豹変するアンバランス性。西洋文化に浅いゆえとは云うものの、悲しい国民性だと彼女は嘆いていました。

 わたしの大好きなデザイナーのおばあさんは、90歳。彼女も若い頃にフランスで修行されました。「おぉ、パリの空~!」と、シャンソンを歌いながら仮縫いされる姿は、夢見続ける少女のようで、仮縫いしていただくこちらも、どんな仕上がりの服を着て、どんなステキなときを過ごせるのかしらと、夢身心地になります。彼女はウエストまで届きそうなたわわな長い髪を三つ編みに結われ、いつもチャーミングなシフォンのリボンをつけていらっしゃいます。絶対にご自分では洗髪をなさらなくて、必ず美容院へ行かれるそうです。「シャンプー材の質が違うのですか?」と、つい情けないかな、無粋な質問をしてしまいました。しかし却ってきた答は、「人さまにやさしく洗ってもらうと云う心地が、髪をすくすく、いたわってくれるのよ」と。

 かつて日本人は、日本文化に於いて裏に息吹くこだわりの精神を分かち合えていたのでしょうが、西洋文化に対しては、未だに無粋であり、アイデンティティー不在の迷い子状態。本当に惚れた男意外に女の楽屋は見せてはダメ。これは女のマナーですが、果たして電車の中でフルメイクしている若い女性がいるような現代とは?<鳩子>