【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】仲よし小道 | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】仲よし小道

 「仲よし小道はどこの道 いつも学校へみよちゃんと ランドセル背負って元気よく お歌をうたって通う道」とテレビから童謡が。小学校の頃、いつも帰り道、手をつないで一緒に帰った幸ちゃんと云う男の子を思い出しました。


幸ちゃんと私は家が近かったので、いつも一緒に帰りました。幸ちゃんはとても破天荒な発想の男の子で、女の子のパンツを覗くのに、直径10センチはありそうな大きな虫眼鏡を家から持ってきたり、一時はキッス魔になり、さっと逃げるように駆け抜けたかに見せかけては、女の子の肩にキッスしたり、本当に風変わりで破天荒な男の子でした。夏だったのでしょうが、女の子のノースリーブからちょこんと出ている肩にキッス、なんとも粋な発想です。ある時、小学校からの帰路でのこと、私がいくら話しかけても答えない幸ちゃんは、いきなり、口元からお昼にいただいた給食を田圃の畦道に戻しました。残さずに食べなさいと鬼のように怒る先生も先生だけれど、帰宅時まで、一所懸命、口の中に残している幸ちゃも幸ちゃんです。ずっと辛抱している気持ちが、とても昔気質で可愛いと思います。幸ちゃんの家は連れ込み旅館でした。今から外出と云う時に準備されるお父さんが、浴衣を脱がれ、お母さんが真っ白なワイシャツを間髪入れずに這おわされ、その隙に一瞬ですが、しっかり視つめてしまった、お父さんの背中一面の刺青。あまりの美しい光景に子ども心に息を呑みました。旅館の布団の山を飛び廻ってやった隠れん坊。子どもは、大人のセクシーな生活が雑然と残る空気を共有し、生き生きスクスク育っていたと思います。

 今の時代はユーモアやゆとりや粋さ加減がないことが、悲しいと思います。悲しむことさえ失せてしまいそうな事件。パソコンのチャット上での口論のあげく、友達を殺してしまった小学生のニュース。どのようなフィクションをと推考する速度より、何千倍も早い速度で現実は遥か彼方へ<鳩子>