【シナリオを書いているあなたへのお手紙 for you】チョコレート
「B・ワイルダーさんは皮肉屋だった。『彼の心はかみそりだらけだ』(W・ホールデン)。ワイルダーさんは『人々を退屈させるのは罪だ。何か大切なことを言いたいのなら、それをチョコレートにくるみなさい』と。」(朝日新聞・天声人語より)
チョコレートというのが洒落た表現ですね。やさしくて美味しくて、お客さんに思いやりやトキメキをプレゼントする表現です。もし、かみそりだらけの皮肉、風刺、怒り哀しみを剥き出しにしたら、お客さんはどうでしょう?
よく自分の悩みを思いやりもなく友達や家族に吐きたいだけ吐く人がいます。それは人の心をゴミ箱にしているのと同じで、大事な人を失ってしまいます。
作者が吐き出してスッキリしたくて書いているシナリオも同様、大事なお客さんを失ってしまいます。
倉田先生が添削のあと、つくづくと、
「シナリオ云うのは思いやりやなぁ」
とおっしゃっていたことがありました。
このことがどれくらい難しいことなのか…言うは易し作品にするは遠し。だって、心の叫びを感じさせるシナリオは観客・読み手の心に届くのです。ここが難しいところです。
「離見の見」が技にともなってゆくために、私達の勉強は繰り返されます。
とびっきりのチョコレートの技が腕につくことを目標に!<鳩子>