大阪しゃれ言葉 | シナリオ・センター大阪校 鳩子の日記

大阪しゃれ言葉

最近はテレビや新聞のニュースを見るのが嫌になるくらい、短絡的で残忍な事件が連日起きています。


いつからこんな世の中になってしまったのか、そしてそれらの原因は何なのかというようなことは識者に任せておいて、ただ言えることは言葉が暴力的になり、加害者・被害者共に想像力が欠如していることが多いということではないでしょうか?


また、些細な日常の其処此処に、加害者、被害者の双方になりかねない危険があるように思えます。
※「今そこにある危機」というハリソン・フォード主演の映画がかつてありましたね。
この映画で衣装デザインを担当したバーニー・ポラックとは前回ご紹介したシドニー・ポラックの実の妹さんなのですよ。


肩が触れただけで睨みつけて大声で怒鳴りつけるAと、それに負けじとくってかかる女性連れのB。


ちょっと詰めれば数人が座れる満員電車で、電車内で携帯や音楽に夢中で大股を開いて素知らぬ顔で座っているAと、それを腹立たしそうに注意するB。

注文した料理が遅いと大声で怒鳴るAと、マニュアル通りの対応しているのにこんな言い方をされるいわれは無いと切れかかるアルバイトのサービス係B。


AもBも想像力が欠如しているので、互いに発する言葉によってその後何が起きるか理解できないようです。

互いにもう少し婉曲的な表現ができれば、不愉快な思いをすることもないのにと思ってしまいます。
※もちろん何の理由も契機も無く、一方的に被害者にされてしまう不条理な事件が増えていることも事実ですが・・・。


そこで今回ご紹介したいのが、かつて大阪でよく使われていた「大阪しゃれ言葉」です。


そこには商業の中心地として永く栄えてきた大阪ならではの、相手を怒らせない、そして相手に一呼吸おかせて考えさせるための、なにわ商人ならではの知恵がたくさんあります。


例を挙げると、こんなもんがおまっせー。


あかごのしょんべん(赤子の小便) ⇒ ややこ(赤ん坊)しい(小便)
うさぎの逆立ち          ⇒ 耳が痛い
うしのおいど           ⇒ 物(もう)知り(尻)
竹屋の火事            ⇒ ポンポン言う
花火屋の火事           ⇒ ドンくさい(臭い
うどん屋の釜           ⇒ 言う(湯)ばっかり
夏の火鉢             ⇒ 人気がない(誰も手を出さない)
雪隠(トイレ)の火事       ⇒ やけくそ
やかんでゆでたタコ        ⇒ 手も足も出ない


いかがですか?こんなこと言われたら、ちょっと面食らってしまうかもしれませんが、頭の回転が速いAはその意味がわかるや拍子抜けしてしまうでしょうし、鈍いBも何か変なこという奴やから関わらない方が良いと退散することでしょう。


みなはん、どないでっか?


シナリオ習作にも、ぜひこんな表現を応用してみてください。


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