めりはり
女性誌に「めりはりのあるお洒落をしましょう」との記事。「めりはりのあるお洒落」とは、ポイントを決めたお洒落であり、調和と変化を計算したお洒落のことのようです。全身の映る姿見を見て、全体像がうまく調和するようにポイントを要所要所で計算。至る処ゴテゴテはダメ。ポイントのないのもなんとなくヴィヴィッドでなくてダメ。そんなことのようです。
辞書より。
○めりはり(滅張・乙張)「ゆるむことと張ること。特に邦楽で音の抑揚をいう」
○抑揚「或いは抑え、或いは揚げることの相互関係。高低。音楽の調子、文勢などにいう」
さて、シナリオでめりはりは計算されているでしょうか?
よく長篇を読ませていただいていて、シーンシーンは魅力があるのに、「めりはり」がないために全体として損をされていると思うことがあります。同じ調子で続くシナリオです。その反論として、小津作品を「淡々と」ととらえ、「敢えて淡々と…を狙いました」との意見をゼミで耳にします。しかし小津作品では、表面化しなくとも内にある心情のめりはりがいかに計算し尽くされているかをよぉく観てください。安易に「淡々と」と云うのはどうなのかな…と思います。
決してテクニシャンにと云う意味でなく、謙虚に「めりはり」を意識してみましょう。テンポ、日常・非日常、感情の起伏、セリフの抑揚、キャラクターの対比、シーン展開、ロケ・セット…シナリオでのめりはりの表現方法はたくさんあります。
シナリオが全身映る姿見を、作者の視線の部屋に置いてみてはいかがでしょう?