▼ニューヨークタイムズ 「アメリカのいないところでアジアの指導者、共通の利害を模索」
日本と中国は話をしなかった。ロシアは皆に向かって話していた。オーストラリアはメディアの攻撃をかわしていた。フィリピンは予期せぬ噂を否定した。インドは英語を教えようとしていた。そしてアメリカは、冷え込んだ場所から眺めていた。
14日、第1回東アジアサミットは「ここからまた始めよう」という声と「こんなもの見たことがない」という声が入り混じっていた。16の地域の指導者たちがはじめて集まり、アジアは来世紀を見据えて政治的シャッフルをしはじめた。
「東アジアサミットは大きな成功をおさめた」マレーシア首相のアブドラ・バダウィは最後の記者会見で宣言した。「我々は共通の関心のもとに一つの共同体であることに対する高度の理解があった」
実際のところ、そこには永遠の疑問があった。
「アジアの世紀」が始まったとき、この地域のかたちとは何なのか? それは一つの共同体なのか? 一つの共通の関心に対する同意が得られるのか?
複雑に入り乱れたそれぞれの国の利害関係のなかで、主な原動力となっているのはこの地域の覇権をめぐるニ大国、日本とアメリカ、そして急成長をとげている巨星・中国の争いである。
アメリカはこのサミットに参加することを拒否した。というのも、この地域における内政干渉を断念するという誓約書にサインするのが面倒だったからだ。
アメリカのいないところで、日本と中国が遠い昔の戦争の傷をめぐってけんかしていた。
日本の小泉首相が第二次世界大戦で死んだ日本人を祀る神社に再び訪れたので、中国の温家宝首相は彼に会うことを拒んだ。そしてこの新しい連合の二大勢力は無言の反目を演じることとなった。
韓国も、日本が戦時の残虐行為を認め充分に言及していないと認識していることをめぐって日本と仲たがいしている。
この集団の一員でいることの要件も議論の種となった。日本とともにアメリカの影響力のパイプと見られている西洋志向のオーストラリアとニュージーランドが結果的に参加することとなったからだ。
「この集団にアメリカがいないことは近視眼的にすぎる」インドネシア戦略国際学問センター長のジュスフ・ワナディはそう言った。
「私は中東での惨事を知っている。しかしよく考えてほしい」彼は電話で言った。「望むと望まざるとにかかわらず、ここは未来のためにもっとも重要な地域なのだ」
「アジアはアメリカが必要だ」とも彼はいった。「バランスをとる均衡力として、そして経済のパートナーとして」
from THE NEW YORK TIMES
http://www.nytimes.com/2005/12/15/international/asia/15asean.html
▼ファイナンシャルタイムズ 「アブドラ首相は東アジアサミットの期待を打ち砕いた」
マレーシア首相のアブドラ・バダウィは、東アジアサミットが16の国と地域の経済統合をもたらすという期待を打ち砕いた。
東アジアサミットはEUのようなこの地域の統合のための第一歩として歓迎されていた。世界の人口の半分、貿易収入の三分の一を占める地域である。
そのかわり、中国と日本の緊張関係に焦点があたってしまった。日本はインド、オーストラリアそしてニュージーランドを含めることでこの地域への中国の支配力が拡大することを防いだ。
アブドラ首相はエネルギー分配、環境問題、鳥インフルエンザ、テロについて話し合ったと語った。このような経済の話題がほとんど省かれたサミットは、アセアンプラス3の諸国が今後、経済協力をめぐって押し合いへし合いする余地を残した。
(中略)
ロシアのプーチン大統領もオブザーバーとしてこのサミットに参加していた。アブドラ首相は共同体の構成員については後に考慮すると話した。
(中略)
アブドラ首相は東アジアサミットによって中国と日本のような不和が緩和されるかもしれないという希望を表明した。しかし、直接的に関与するわけではないと付け足した。
アブドラ首相はオーストラリアとニュージーランドがサミットに参加することを支持した。前首相のマハティール・モハマドは、この2つの国は西洋の回し者なので地域の統合を転覆させるだろうと言っていたのだが。
from the Financial Times
http://news.ft.com/cms/s/e1c3dee0-6cfc-11da-90c2-0000779e2340.html
▼オーストラリア・ブロードキャスティング・コーポレーション 「オーストラリアは東アジアサミットで歓迎された」
マレーシアは東アジアサミットにおいてオーストラリアを「地域の活発な関心」となる点に注目して歓迎した。しかし東アジア共同体の構成員からは除外する考えを示した。
構成員と地域の話題がクアラルンプールで行なわれた東アジアサミットの中心となった。
建物の外で東南アジアにおける人権とビルマの軍事政権についての4人が抗議する光景も見られた。
この共同体におけるオーストラリアの役割はやっかいなようだ。マレーシアの首相はオーストラリアはアジアのなかで欠かせない関心を提供する国であると褒め称えた。一方、東アジア共同体の一員としてはふさわしくないという考えを示した。
アブドラ首相は語った。「オーストラリア人が自分たちを東アジアの一員として見ているかどうかは知らないし、ニュージーランドの場合もしかりだ。しかし私たちがいま話しているのは共同体のメンバーの話ではなく、共通の利害関係についてだ」
アブドラ首相の姿勢はオーストラリアの首相を隣に座らせたことに象徴されている。この特筆すべき行動は、マハティール前首相のもとでは絶対におこらなかっただろうことをマレーシア人は知っている。オーストラリア首相のジョン・ハワードもまた構成員についてではなく、利害関係について話した。
「私は自分が東アジア人だとは思わない。私はオーストラリア人だ。マレーシアの首相がはじめに、いかなる歴史の理解からしてもオーストラリアはアジアの国ではないと言ったことを心から歓迎するし、それは真実だ。私は私の意図で同じコメントをする。またもうひとつ言いたいことは、オーストラリアでもっとも話されている外国語は広東語と北京語のミックスであるということだ」
from The Australian Broadcasting Corporation
http://www.abc.net.au/am/content/2005/s1531397.htm
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