弾ける笑顔と生活感溢れるマニラゲームショップ特大レポート大型モールからスラムまで、あらゆる所にゲ | SCE PS3 PS4 ニュース速(まとめブログ)

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マニラレポート第2弾は、マニラゲームショップレポートをお届けしたい。
マニラ滞在中、メーカー訪問の合間を縫っては街を歩きまくり、マーケットで汗だくになっては、ショッピングセンターで涼み、スラムに迷い込んでは、子供や若者達とつかの間のお友達になるということを繰り返した。
そのおかげで短い滞在だったにも関わらずかなりディープなマニラゲーム情報を仕入れることができた。
エリア毎に、特色が異なっていたので、エリア別にお届けしていきたい。



■ まずはマニラ都心部でフィリピンゲーム事情の基本を把握する
フィリピンの首都であり、政治、経済、文化の中心地であるマニラ。
今回歩き回ったのは、通称メトロ・マニラと呼ばれ、16市、1町で構成されるマニラ首都圏だ。
まずはメトロマニラの心臓部にあたるマニラ市の都心部から紹介していこう。

マニラ都心部は、北は世界遺産に認定されている旧市街から、南はローカル向けのショッピングセンターハリソンプラザあたりまで、南北に細長いエリア。
大手企業のオフィスや、富裕層向けの高層マンション、海沿いの超一等地にはアメリカ大使館、その北側に、かのダグラス・マッカーサー元帥が長期滞在したマニラホテルがある。

日中は、市民の足である乗り合いタクシー「ジプニー」や、オートバイの横に座席を付けた三輪車「トライシクル」、そして通常のタクシーに、今回多用したUBERのバンなど様々な車両が街路を行き交い、エンジン音にクラクションやかけ声が合わさり、独特の喧噪を生み出している。
日が暮れると、車両が減る代わりに、日本人駐在員を相手にしたクラブやレストランの客引きの声がかまびすしくなり、昼夜を問わずメトロマニラの中でももっとも猥雑なエリアといっていい。
タイミング的に大統領選挙の直前だったということもあり、街の至る所に候補者のポスターが貼られ、宣伝カーが大音量で爆走しており、猥雑度も50%アップといった印象だった。

このエリアでは、大型のショッピングモール「ロビンソンズプレイスマニラ」、フィリピン有数の財閥SM(シューマート)グループが展開するショッピングモール「SM CITY MANILA」、そして旧市街に点在するネットカフェで、ゲームに遭遇することができた。

「ロビンソンズプレイスマニラ」は、都心部にあるだけあって、後ほど紹介するほかの郊外型ショッピングモールと比較しても、かなり品が良く、清潔でエアコンもよく効いていた。
他のアジア圏と同様に、モールと直結する形で高層マンションが建っており、そこに住めるような富裕層向けに作られた施設といっていい。

テナントも高級ブティック、貴金属、家電、スマートフォン、PC、DVD、映画館、レストラン、ネットカフェそしてゲームショップとひととおり入っている感じで、ゲームセンターは、アジアで覇権を競う台湾系のTOM'S Worldと、東南アジア系のTimeZoneの両方が店舗を構え、さらにホビーショップの王様トイザらスまである。
ここまで全部入りなのは東南アジアでもなかなかない。
マニラでエンタメにアクセスしたければまずはここに行けば間違いがない。


ゲームショップやDVDショップは、一見クリーンで正規版のみを扱っている風だが、隅々まで見ていくと海賊版も扱っている感じで、表向き政府の取り締まりに従いつつもこっそり売り続けている面従腹背ぶりが透けてみえる。

ゲームセンターでは、アジアで定番のリデンプションマシンやダンスゲーム、釣りメダルゲーム、アップライト筐体によるアーケードゲームのほか、ここ最近の新たなトレンドとなっているスマートフォンアプリのアーケード版が人気だった。
スマホ版同様縦長液晶を採用しているのが特徴で、「TEMPLE RUN」、「CROSSY ROAD」といった著名タイトルのアーケード版から、「Flappy Birds」のパクりっぽい「FLYING TICKETS」まで様々なタイトルが稼働していた。

インターネットカフェは、1分1.08ペソ(約2.5円)、もしくは1時間50ペソ(約120円)の従量制で、「さすがフィリピンは安い!」と思ったが、この感想は間違っていて、後から考えればもっとも高かった。



もう1つのショッピングモールSM CITY MANILAは、旧市街の東側にあり、ロビンソンよりも幾分ローカルな感じで、ロビンソンが富裕層のデートスポットなら、SM CITY MANILAは市民の憩いの場という雰囲気だった。

ローカル感が覚えたエピソードとしては、やけにゲームセンターがうるさいと思ったら、カラオケがオープンスペースで行なわれていたこと。
もう1つは、フィリピンで大流行している電子タバコ屋がモール内にあり、その場で白煙をくゆらせていたことだ。
はじめて遭遇すると驚いてしまうが、文化の違いを感じたエピソードだ。

ゲームを扱うショップもいくつかあったが、DVDやCDの次ぐらいの扱いで量も少なく、それよりは1時間50ペソ(約120円)程度でPCやPS3/Xbox 360でゲームが遊べるゲームカフェのほうが盛んで、現地の人々にとってゲームハードやソフトはまだ高嶺の花のようだ。



■ マニラ郊外で日本製PCの再生工場を発見!「サヌアン/マカティ編」
お次は、マニラ都心部からUBERを走らせ、マニラ郊外のショッピングモール、ITモールを訪れた。
最初に紹介したいのは、マニラの東、サヌアン(San Juan)市にある大型のショッピングモールグリーンヒルズショッピングセンターだ。
異なる年代に建てられた複数の建物が中で1つに繋がっており、今回訪れた中では最大規模だった。
すべて丁寧に見て回ろうと思ったら1日は欲しい広さがある。
若干余談になるが、アジアにおけるショッピング/ITモールのグレードはだいたい4段階に分けられると思う。
1つは正規品しか扱わないグローバル水準のモール、これは残念ながらマニラには1つもなかった。
次に表向き正規品のみを扱っている風だが、テナントが小遣い稼ぎのために海賊版もこっそり扱っているケース。
これは先ほど紹介したロビンソンやSM CITYが該当する。
玄人が見れば一撃でわかるが、デートに来た若い地元のカップルがそれに気づくことはないというレベルだ。
3つ目は正規品と海賊版が仲良く混じり、改造や修理も行なっているケース、これは後述するMAKATI SQUAREや168 Shopping Mallなど、郊外型ショッピングモールのほとんどがそうだった。
このあたりから、粗悪品や偽装新品(参考記事を掴まされる可能性があり、素人には手に負えない領域に入ってくる。
そして4つ目が海賊版しかないモールだ。
今回のケースだと、キアポのNew Barter Trade Mallやその周囲にあった無名の海賊版モールが該当するが、売る方も買う方もそれとわかった上で売買をしており、観光客にはまず縁のない空間だ。
外からはそれとわからず、スモークガラスの扉を抜けると、扇風機のファンの音だけが響く独特の静けさをたたえた異空間が広がる。
話を戻すと、グリーンヒルズショッピングセンターは、増築増床を繰り返して巨大化したためか、2つ目のケースと3つ目のケースが混在するという非常に珍しいモールとなっている。
ゲームショップで言えば、ロビンソンにもあった「DATA BLITZ」のような超優良店が大型店舗を構える一方で、PS3やXbox 360、スマートフォンの改造、修理を行なう店や1枚50ペソ(約120円)で海賊版を投げ売りする店まで、様々な形態、規模のショップが並んでいる。



また、グリーンヒルズには深センの模造スマホモール「明通電子市場」を彷彿とさせるような、小規模なスマホ/PCショップが何百件も密集しているエリアもあり、そこでは新旧入り交じる形で、様々なスマートフォンのリファービッシュ品(修理再生品)や中古品が売られていた。
10店に1店ぐらいの頻度でゲームを扱う店もあるが、ゲームは海賊版もしくは中古が前提で、改造とセットになっているお店が多かった。
ゲーム以外にも、アニメグッズやフィギュアを扱うホビー系のショップもあったが、こちらも海賊版が多かった。
中国の広州や深センなどのように偽物が正規品と同じ価格で売られており、ショップが客を騙しているのか、業者がショップを騙しているのかはわからないが、罪深いビジネスが大手を振って行なわれている。



続いて訪れたグリーンヒルズショッピングセンターのすぐ北にあるギルモアITモールは、PCおよび関連デバイスを専門に扱うモール。
ITモールは、ITのメインストリームがPCからスマホに移行してから衰退する一方だが、ここマニラでもITモールと言えそうなのはここだけだった。
ちなみにITモールというと、昨年訪れたインドネシアバンドン(参考記事)では、停電が多いため、バッテリー駆動が可能なノートPCばかりを扱っていることをレポートしたが、マニラではデスクトップPCが多かったのが印象的だった。
もちろん、停電はゼロではないため、無停電電源装置も併売していたが、インドネシアでのPCケースも、ビデオカードも、モニターもなく、ノートPCだけという異様な光景と比較すると、日本の秋葉原と変わらない普通の光景だった。
ただ、日本と大きな違いは、中古品が異様に多いことだ。
所得の面で新品のPCを購入するのは厳しいためか、型落ち品の中古ばかりを扱うショップが多かった。
調べていくうちに気づいたのは、それらの中古品はすべて日本から来ていることだ。
何故そう言い切れるかというと、キーボード表記がすべて日本語だったからだ。
中には「非番助役から当務助役に確実な引継ぎを行おう」と大書された、鉄道会社のリース品の払い下げらしき中古品もあり、日本の中古PCは、ここフィリピンで再利用されていることがわかる。
今はなき、20インチ前後の4:3モニターも大量にあり、数千円程度の安価で売られている。
これら中古PCの使い道は、家庭用や業務用として使われるほか、PISONETにも使われる。
PISONETとは、お金を入れると一定時間利用できるPCシステムで、そのほとんどはインターネットに接続でき、かつ1ペソで利用できることからPISONETと名付けられた。
なお、PISONETについては、生産現場から利用シーンまで一通り取材してきたので別記事で詳しくお届けするつもりだ。





■ パシグ川の向こうにマニラ最大規模の海賊版拠点を発見「キアポ/ビノンド編」
最後は、今回訪れたエリアの中ではもっともディープだったキアポ/ビノンドエリアを紹介したい。
マニラ市を南北に分断しているパシグ川を渡ると、一気にアジアらしい庶民的なエリアとなる。
カラフルなパラソルの下に、リヤカーで持ち込んだ品々が並び、狭い通路を買い物客や荷物を抱えた業者など多くの人が行き交う。
マニラ有数の熱気と喧噪に満ちたエリアだ。
このエリアの見所は3カ所ある。
1つはマニラライトレール カリエド駅からキアポ教会の間に広がる広大なマーケット。
市民の胃袋となる食事処から、衣服、雑貨、偽ライセンス売り、PISONET屋まで、日本の秋葉原のようなエリアだ。
2つ目はカリエド駅から西に少しいったビノンドエリア。
ここはマニラのチャイナタウンで、広州、深センを彷彿とさせるギッシリすし詰め卸売マーケットと、香港の今は亡き九龍城を偲ばせる魔窟エリアが広がっている。
住人は中華系はそれほど多くないようだが、中国語が溢れ、商売の仕方も中国風だ。
3つ目は、キアポ教会から大通りを挟んで東側に広がるエリア。
位置的には1カ所目のキアポエリアのすぐ隣だが、ここには全人口の9割以上がキリスト教徒というASEAN最大のキリスト教国にあって、圧倒的少数派となるイスラム教の拠点ゴールデンモスクがあり、同じキアポエリアでもまるで雰囲気が異なる。
ここはマニラの中でもとりわけ治安が悪いことでも有名で、キアポ市民たちも異教徒に対する抵抗感もあるのか、モスク周辺には近寄らず、危ないため行かないことを強く勧められた。
ただ、ゲームショップレポート的には、ここがもっともおもしろいエリアだった。
キアポマーケットには、駅前のパラソルエリアを抜けて少し北側に行くと専門店街があり、そこにゲームの改造や修理を行なうショップや、PISONETを製造販売するショップが集まっていた。
ボロボロのビルの奥にあり、薄暗い明かりのなか、上半身裸の人々が、修理品に向かっている。
ジャカルタで遭遇したゲームコンソールの修理、改造を行なっているショッピングモールPasar Glodokに雰囲気が近いが、Pasar Glodokは郊外にあったのに対して、こちらは都心部にあるところが凄い。
店の床には、持ち込まれた大量のXbox 360が積まれており、複数人で修理にあたっていた。
なぜXbox 360が集まっているかというと、ここでPISONETのXbox 360バージョンを製造販売しているためだ。
PISONETのPS3やPS4バージョンは「ない」という。
何故ないのか重ねて質問したところ、店のオヤジはそんな質問をするのはおまえが初めてだという口ぶりで、「ディスクを入れなければ遊べないから、欲しい人がいないんだ」と真顔で答えてくれた。
つまり、PS3やPS4は、HDDのみで遊べるように改造できないから売れない、売れないものは扱うわけないだろ、と言っているわけだ。
街で遭遇したゲームコンソールが稼働しているPISONETはすべてXbox 360だったが、人気なのはそういう訳だったのだ。



チャイナタウンは、ラッキーチャイナタウンモールや、New Divisoria Mallなど、ここ数年で建てられたショッピングモールが多く、街全体がリノベーションの真っ最中という印象だった。
チャイナタウンには川と表現するには細すぎる水路がいくつも流れているが、水面が見えないほどゴミで溢れていたり、水面から腐臭を漂わせていたり、環境は極めて悪い。
このエリアでITを扱っているのが、中国語で“一路發”と同じ発音で縁起が良いとされる168ショッピングモール。
ここも先ほど紹介したグリーンヒルズと同じように、複数の建物が中が繋がっており、モール歩きが楽しい。
心なしか天井が低く、様々な色やデザインでコーティングされたiPhone用イヤフォン(の模造品)など、中国らしいアイテムがあちこちに並べられている。
ゲームショップもいくつかあり、PS4やXbox Oneなどの最新ハード、「ファイナルファンタジーXV」の予約受付を含む新作ゲームも取り扱っており、逆に商売にならないためか海賊版の取扱はほとんどなかった。
「儲からないことはやらない」という華僑の抜け目の無さを感じさせた。
その一方で、携帯電話に関しては、1,000円程度から購入できるフィーチャーフォンの取扱が多く、iPhoneやXperiaなどはほとんどない。
この中間層から富裕層までを対象にしたごった煮感がおもしろい。
やはりチャイナタウンは外れがない。




最後に紹介するのは、キアポ東部、ゴールデンモスクエリア。
教会の周囲にマーケットがあるなら、モスクの周囲にもマーケットがあるのではないかと当たりを付けて訪れてみた。
キアポ教会近くの鉄橋から東側に渡ると、グッと人の往来が減り、ベッドタウンの雰囲気が強くなる。
期待したマーケットらしきものはなく車も通れるほど道は空いていた。
仕方がないのでそのままモスクに直行して参拝し、子供たちとのふれあいを楽しんでからカリエド駅に向けて来た道を戻ろうとしたところ、街の風景が不自然なことに気づいた。
空ディスクやディスクケースを扱う店はあるのに、肝心のDVDショップがひとつもないのだ。
そういえば、入り口のガラスにはスモークが貼られ、中が見えないビルがいくつもある。
海賊版レーダーがビンビンに反応した。
覚悟を決めてその1つに入ったところ、驚きの風景が広がっていた。
ジャカルタで見つけた海賊版の卸売マーケットJEC Electronic(参考記事)を凌ぐ規模の海賊版モールだったのだ。
細い通路以外、視界は海賊版で埋め尽くされている。
予感はあったとはいえ凄いところに踏み込んでしまった。
落ち着いて辺りを見回すとパイプ椅子にだらっと腰掛けていた警備員が鋭い眼光でこちらを見ている。
うっかり迷い込んでしまった観光客を装うとそのまま追い出される可能性があるため、ここは初めて訪れたプロの業者を装い、まっすぐ踏み込み質問を重ねてみた。
海賊版の価格はお店によるが、1枚30ペソ(約68円)から60ペソ(約140円)ぐらい。
大量に買えば安くして貰える。
全部で何店舗あるかは入れ替わりが激しいので誰も把握していないが、このエリアだけで数百店舗ある。
扱っているのは映画やアニメ、音楽CDがメインで、ゲームはない。
アダルトについては「このビルでは扱っていない。
向かいの店に行け」とぶっきらぼうだが、実に多くの有益な情報を教えてくれた。
実際に向かいのモールに行くと、さらに広大な海賊版モールだった。
警備員が語るようにアダルトDVDの専門店もあり、さらにTVドラマのDVDでよくあるようなスチールケースに入れられたシーズンパックの海賊版ばかりを扱うお店などもあり、本物を偽装した海賊版パッケージが大量に作られており、JEC Electronicより洗練されている。
奥ではシュリンク作業を行なっている従業員の姿も確認できた。
店員はごく普通の半袖姿の男性もいれば、全身黒ずくめのブルカを被った女性もいて、その子供らしき姿も散見される。
家族単位でこの海賊版ビジネスを手がけていることがわかる。
あらためてこのエリアを観察すると、モールタイプのビルはすべて海賊版を扱っており、ディスクの仕入れから、焼き込み、シュリンク、販売まですべてここで行なわれているようだ。
ビルに止められた路駐の車は業者の車で、ここで買い付けて今回訪れたショッピングモールやマーケットに送られるのだろう。
ポイントなのはゲームの海賊版がないところ。
もちろん、モールやマーケットではゲームの海賊版も見られたため、絶滅したわけではなく、こことはまた別の場所で処理されているのだろうが、これはチャイナタウンでも感じたことだが、ゲームの海賊版は確実に以前ほど需要がなくなりつつある。
PS4やXbox Oneといった現行世代のゲームプラットフォームが、海賊版をシャットアウトしているところも大きく影響しているだろう。
個人的には、海賊版の終わりの始まりを見た気がした。