レヴューの3人目は夢追い人さんです。
夢追い人さんは4回に亘って「沙羅と明日香の夏」をめぐる思いを記事にしてくれました。
あまりに膨大な量ですので、その中から、作品に直接関わる部分だけを拾わせていただきました。
全文をお読みになりたい方は、夢追い人さんのブログ http://blogs.yahoo.co.jp/fwix4967/35600250.html
をお訪ねください。
(1回目)
まずカバーが明るいです。
で推薦人の言葉を読み、教育長、学校長、と私には縁のない方の言葉、経歴がかなり私と違うので後で読もうと思いつつ、頁をめくりました。
そして直ぐ100頁まで一気に読んでしまいました。
イジメられる側の展開にひかれました。
更に女性ならではの細やかな視点に新たに気付くことがありました。
ここで書かれているイジメの表現で初めてイジメの辛さや実態を知ったといったら笑われるかもしれません。
私自身幼い頃からイジメにあっていますが、私自身はそれ以上に「無視される、相手にされない」という環境の中で、周囲で何が起こっているかなど考えることもなく、周囲との会話や関わり無しに殻にこもり、自分のことだけを思って生きてきました。そしてこの本で、こういうイジメがあるのだと知りました。
私の学校(男子校の中高一貫校)では私のように無視の対象ではなく、イジメの対象になってしまいそれが原因で退学してしまったと思われる生徒もいました。
私はただひたすら這いつくばって勉強も体育も校内最低の成績で卒業し、「一体何のために通ったのか」分からない時代でした。
長くなりましたが、微妙な表現がよく伝わる描写だと感じました。
「自然はこんなにきれいで植物も動物もありのままに生きている」という表現がありますが、これには賛同できない部分があります。
田舎の景色として観た場合には同意できるものもあるのですが、自然、例え森であってもその中は厳しい生存競争で太陽を求めて植物は争い生き残った植物だけが森を形成し、争いに敗れた品種は衰退し、森から姿を消してしまいます。
そして日があたらなくても成長する植物がその中を形成していると理解しているからです。動物はもっと分かりやすく食物連鎖を繰り返しています。
人間だけが同種の中で争っているのではないと理解しています。
現実にはイジメには様々な理由があり、結果として悲惨な事態を招くことも少なくありません。それを思うと最後の展開は作者の優しさが問題解決に向かわせたのだと感じました。
主題となる夏休みの展開は丁寧な取材で楽しく読むことができました。
世話になった家の様子や親の世代の戦争体験等は作者の実体験ともラップする描写のように感じました。
(2回目)
この本を読んで改めて自分は今まで何をやってきたのだろうと考えさせられてしまいました。
自分でやりたいことがなく、ただ、生きることだけで精いっぱいだと思っていた人生。
何かを懸命に学んだこともない人生だったように思います。
自分が今迷いに迷っているのも童話のアリとキリギリスのようなもので、一生懸命だと思った自分の人生がはたから見るとただのキリギリスだったのかもしれない、と思えてしまうのです。
「今からでも遅くはない」とは良く言われることですが・・・。
(3回目)
著者が表現した「見えない空気によるイジメ」について改めて考えさせられました。
というのはニュースで放射能汚染が伝えられているのを見てハッとしたからです。
原発の近くから来たことでタクシーの乗車拒否をされたり農産物や魚介類が受け入れを拒まれたりするのも作者が言う「見えないイジメ」だと思えたからです。
改めて斬新な視点だと感心しました。
(4回目)
命の足跡を残したい。
沙羅と明日香の夏で語られる主人公の生きることに対する強い思いです。
男性一般と言っては言い過ぎになると思いますので、男性の一人としてこの言葉について思うところがあります。
それは目に見えるものを残したい。
例えば私が勤務していた建設会社では「○○の橋梁を作った」「新幹線の○○のトンネルを作った」という会話がありました。建設業界に限らず、技術職の方であれば、その方が開発した技術が人に役に立つ事に喜びを感じて自分が生きた証を残せたと思うのではないか、と考えています。
私は文系なのですがやはり後世に残るものを残したいという気持ちがあります。
今は私なりの宇宙観を問いかけたいという気持ちがあります。
本当に海岸で一粒の砂を探すような作業に思えますが、もう少し頑張って自分の「命の足跡」を残せるよう色々考えてみます。
夢追い人さんの4回に亘るレヴューを読ませていただいて、著者としての幸せをしみじみ感じました。
ブログの友人セネカさんが言っておられました。「読むということは、その人自身を書くということだ」と。
そのとおりだなぁと思いながら、読ませていただきました。
同じ作品を読んでも、読む人ごとに響く箇所は違うものなのですね。 そして、その響く部分を掘り下げて考えていく時、それが、その人自身を書くことになるのだと思います。
同じ作品を読んでも、読む人ごとに響く箇所は違うものなのですね。 そして、その響く部分を掘り下げて考えていく時、それが、その人自身を書くことになるのだと思います。
こうして、読者さんは作品を通して著者の思いを読み、自分自身を書き、著者はレヴューを通して読者さんの思いを読む。 ブログというツールのお蔭もありますが、楽しいことだなぁと思います。
夢追い人さんのレヴューに背中を押されて、これからも、ほんのちょっぴりでも誰かの明日につづく作品を書き続けていこうと思う緋野でした。
夢追い人さん、ありがとうございました。
「沙羅と明日香の夏」 緋野晴子著 (リトル・ガリヴァー社) 1,470円
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