もう、届かず会うことのないあなたは何を思っているのでしょう。
会えぬあなたに会うことができない私は何を感じたのでしょう。
『愛してくれていたのか』答えはない。
『私は愛していた』でも届かない。
ならば届けよう。
空に宇宙に彼方へと覚めぬ夢に溺れあなたに会うまで。
さぁ、私も落ちよう。夢の彼方へ。
そこからはかかれぬ物語。
青い空に広がる雲
肌に刺さる冷たい風
分け目があるのに付かない前髪
古びた待合室
打ちが擦れて白くなっているローファー
そこから続くものがたりが見つからない。
電車を待つ時間に自分の頭を使ってものがたりを綴っていくが
なかなか進むことができない。
それと同時に物語の時間がとまる。
私が書かなければものがたりは海の中へと沈んでしまう。
そう、私は物語と呼吸をしている。
だから、進まなければ私も苦しいし、どちらが止まれば両者苦しい。
アぁ、私の頭の中は言葉の海だ。
言葉と言葉がぶつかり合い積み上がりしながら、
波が押し寄せ浮き沈みする。
その海の中に生き物がいてその生き物たちはその言葉を飲み込んで、
体内に取り込んで取り込んで、それがいずれと進化する。
人へと進化する。
そして動き感情を持ち息をする。
そして私と息をする。
そう考えながら私は一つ一つの小説と息をするのだ。
考えているうちに電車に乗らなければならない時間が来てしまった。
まだか学生の私の通っている学校は遠いところにある。
人ごみは嫌いだ。
うつろな顔をしながらこうつぶやく。
「これからひとのごみになるのか」
と思ったとき一つ隣のドアに立っている人がいた。
私のいるところと少年が立っているところとは、
まるで同じところにいるとは思えないほど違っていた。
その時その人はこうつぶやいた
「これから物語の一つになりにいくんだ」
なんて言っていた。
そんな姿を見た私は意表につかれ、その少年は私に微笑みかけた。
さっきの言葉を聞いたからだろう。
改めてその言葉に感さえさせられる少年の言葉としぐさであった。
いつも自分がそれを当たり前と思っていてことが恥ずかしくなった。
だってそれもそうかもしれない。
ものがたりにはいろいろな種類があるが、自分がいて色々な人がいて
そのたくさんの人と出会いそこから新しい物語が始まる。
一人じゃ何にも始まらない。
人は色なのだ。
色が混ざり合って一つの絵になるように関わりあって話をする。
その信号を受け取って私たちは言葉を綴る。
そんな書き方をする人がいる。
私の書くものがそうではないか。
私はこのことを言葉にしたくて電車の中で言葉にした。
自分なりにとてもよくかけた。
そのものがたりの続きを書くにはあの少年に会わなければならない。
けれど、もうあの少年に会うことはなかった。
その小説は止まったままだけれどきっと色あせることはなく、
ずっと息をし続け、輝き続けるだろう。
