昼下がり、やや焦げたトーストを頬張りつつコーンスープを一口、口に含む。うむ、美味い。

美味い。

美味い、が目を少し細めて、やや鬱陶しい物を見る様で、ジトリとコーンスープに視線を落とした。

スープは器の7割方を粒のコーンが占領しており、器の中へ深めにスプーンを入れればズッシリと重く、否応なくコーン達がその存在を主張してきてうるさく、ビロードを切り裂くようなため息を促した。

「……これは、多いな」

スープに缶詰のコーンを入れたのは良かったが、残すのもなんなので、なんて軽い気持ちで一缶全部を入れたのだ。

出来上がった物のスープとコーンの比率は3:7、コーンの占有率が明らかに異常な代物になってしまい、その上澄みをすすっている内にコーン達はどんどんと顔を出してきた。

「コーンの煮付け……か」

私は静かに愚痴り、コーンの山に手をかけた。

♪♪♪♪♪♪

調度その時、ビロードを切り裂くような着信音が鳴った。

「もしもし」

友人から。

もう2ヵ月程になるだろうか。愛用のPCが壊れたのは。

この友人はPCに詳しく、PC自作が趣味という奴で、PCクラッシュして困っていた私に余っているPCを譲ってくれたイイ奴だ。

『よう。そろそろPC返せや~』

うむ。貸してくれてただけのようだな。恐いものだ、すれ違いと言うものは。鬼か。いや貸してくれたんだもんな。うん。

頭の中でカシャリと、イイ奴→鬼→イイ奴だった。に変わった。

「あ~、オッケ~」

返事をして、少し話をした。

『じゃあ、だいたい2万チョイでやってみるわ』

電話を終えた。

友人は余ってるパーツを使って、あと足りない部分は注文して、それで約2万円でPCを作ってくれる、まぁそういう話になった。

なんだ、アイツすげー。

頭の中でカシャリと音がして、イイ奴だった→2万でPC作ってくれる奴、あとまずまずイイ奴。に印象が変わった。

いや、ホント感謝します。

捨てる神あれば拾う神あり。

やはり、日頃の行いは良くしておくものだな。具体的には説明できないが、結果的には良かったのだろう。うむ。

そして、私は目の前の冷めきったコーンの山を見つめ、スプーンを握るのだった。

ビロードを切り裂くようなため息をついて。

終。



月曜にPCを組むらしいので、何かネタになりそうならそれで更新したいと思います(^o^)/