1月15日(木)
花子ちゃんがピアノのレッスンを始めたのは保育園の年長さんの時。当時はブリブリ共働きだったから、とにかくレッスンを受けさえすれば、ってな感じで、同じマンションに住む声楽の先生につきました。夜7時過ぎにバタバタと家に帰って来て夕飯を食べて、8時からのレッスン、練習もちゃんと見てあげられなかったし、声楽家の先生は音楽が好きになるのが一番、っていうポリシーだったし、花子ちゃんのピアノのいろは、はそれはもう適当に始まってしまいました。1年もしないうちにカリフォルニアに移転して、最初の一年はピアノどころではなく、2年目になって見つけた先生はアメリカのとても有名な音楽大学を出たピアノの専門家だったのだけれど、なぜだかロシア人のカバロフスキーという作曲家の、とても繊細で悲しげな曲ばかり頂いて、花子ちゃんの性格とは正反対なので、練習させるのに苦労しました。しかも、日本に帰ってついたピアノの先生には「あら、バイエルやっていないの!」って言われてぐんと後戻りしてバイエルから始めることになり、ますます花子ちゃんは気乗りしなくなっちゃいました。日本にいる間は取りあえず続けていたけれど、今回の渡米の際には、親も子もせいせいして、うん、ピアノをやめるいい機会だね、せっかくパパのサックスがあるし、NYはジャズの本場だし、これからはサックスだよね~、ときっぱりピアノに別れを告げたのでした。
花子ちゃんには内緒ですが、花子ちゃんがピアノの練習に打ち込めなかったことは完全に親の責任だと思っています(反省・・・)。でも、それでも、どんなに練習が嫌いでも、花子ちゃんは小さなころから舞台好き。こちらの学校に、月に1回、ランチタイムに、ミーティングルームで、ランチを食べに集まってくる子どもたちの前で、何人かの子どもたちが得意な演奏を披露する、という企画があるのを知った花子ちゃんは黙って見てはいられません。まずは、音楽の先生に放課後音楽室でピアノを弾かせてもらう 交渉をして(「日本から来たばっかりで家にはピアノがないんです~。ピアノがなくて寂しいです~。」と訴えたそうです)、次に、もう絶対パパだと知っているくせに、サンタさんにキーボードをお願いしてゲットしました。そして渡米直前の日本でのコンサートで弾いた「エリーゼのために」を猛特訓。とうとう、今日、クラシック・カフェで演奏するチャンスを得たのです。
何事もお祭り騒ぎの好きなアメリカ人は、こういうことの企画が本当に上手です。入口には、ジャズ・バーの入口によくあるように、演奏する子供の顔写真とプロフィールがボードに飾ってあります。この日は、特別にポップコーンとアイスクリームが観客全員にサーブされるのですが、サーブするウェイターとウェイトレスもみんながやってみたい役割で、選ばれた子どもたちはちょっぴりおしゃれして、少し気取って、「ポップコーンはいかがですか。」と各テーブルをまわります。演奏する子供のparentsが特別ゲストで招待されて、子供たちのランチ席の隣に特別席を与えられます。今日は、花子ちゃんの友達のタビーとレイチェルも演奏するので、parents席も和気あいあいです。教頭先生が、"Boys and girls!"と司会を始め、一人ひとり演奏者を前に呼んであたかもスター演奏家のように紹介してくれます。なるほどね、何回か聞く側でクラシック・カフェに参加した(もちろんウェイトレスはとっくにやってます)花子ちゃんが、指をくわえて見ているはずがないわ、と納得です。演奏自体は、間違えないようにテンポを落としすぎて、しかもいくつもミスをして、「どう、これ恥ずかしいよね。」というような出来でしたが、唯一良かったのは、間違えても平然と引き続けたところでしょうか。ラッキーなことに、日本では「エリーゼのために」はピアノを始めて数年のバイエル終わったか終らないかの子供が弾きますが、こちらでは、「ベートーベン」の「エリーゼのために」ですから、かなりピアノを一生懸命何年もやっている子供が弾く、ということ。少し、はったりがきいたかな。でも、実際に演奏を聴けばお里が知れますよね。
まあ、とにかく少々の失敗はアメリカ人も花子ちゃんもちっとも気にせず、最後は教頭先生から真紅の薔薇の花を一輪ずつ手渡されて、皆晴れやかな顔をしていました。この演奏は、学校のホームページにアップされて数年の間、おいておかれます。良い記念になりました。苦しみながらもピアノやっておいてよかったね、って、今度こそピアノと本当の「「さようなら」です。
