この時は遠藤周作氏は出演していないけれども

昔、本物は誰かを当てるクイズ番組があった。

ほんものは誰だ

 

     「ほんものは誰だ」に登場したヘッドドレス

     当時、日本では浸透していなかったフラワーヘッドドレス

     今では一般の人が生花で髪を飾り楽しめる時代になっている

 

 

遠藤周作の『影に対して』文庫本が新潮社から

今年2月25日に発売されたので読みたくなった。

単行本は2020年に発売されていたのを知った。

 

遠藤周作という作家を知ったのがテレビで、

『ほんものは誰だ』というクイズ番組の解答者として

柴田錬三郎と共に出演していたと思うけれども、

いつも話が長い面白いおじさんだな~と思っていた。

 

中学生頃にクイズ番組を見ていた時に、親から

「あの人はタレントではなく作家だ」と教えられて

名前を覚えていたので、高校進学で電車通学が始まると

どんな小説を書いている作家かなと興味があったので

買って、電車の中で読んだらハマった。

 

高校時代から太宰治と並行して読み漁った作家で、

狐狸庵閑話(こりあんかんわ)が面白すぎてハマり、

『ぼくは好奇心のかたまり』『海と毒薬』『哀歌』

『沈黙』『どっこいショ』『大変だぁ』『ピエロの歌』

『わたしが・棄てた・女』『悲しみの歌』など、

思い出せるだけでも、このくらいは読んだと思う。

 

小説に登場する女性たちは、けなげで物悲しい。

自分のことは顧みずに水商売で稼いだ金を

ひたすら男性に貢いで傷ついて報われなくても

駄目な男に翻弄されながらもしがみつくような、

そういう女性が出てくるのが面白くて、、、

どこまで落ちれば気がすむのかな~と、

マリアさまのような心の美しい女性に惹かれて

ついつい読み進めてしまう、小説の面白さ。

 

また、戦犯として目立たないよう暮らす婦人科医を

ジャーナリストがどこまでも追いかけて暴いていき

過去に国が犯した戦争犯罪の責任を、一人の医師に

背負わせてしまうのは正しい事なのかを描いた

作品だったりと、、色々考えさせられたことがあった。

 

 

1923年3月27日-1996年9月29日(73歳没)

 

 

 

遠藤周作の母は、岡山県笠岡市出身で東京音大に学ぶ

ヴァイオリニストを目指す学生だったそうで、

遠藤周作自身を回顧した作品に、幼少時代から

母がいつも楽器の練習をする姿を眺めていたのを

描写した本を読んだことがあった。

遠藤周作の両親は幼少時代に離婚したそうで、

カトリックを信仰する母の影響を受けながら育った。

 

遠藤周作は12歳で洗礼を受けたクリスチャンで、

遠藤周作の心には、常に宗教が深く横たわっていて

母親をマリアさまのように偶像化して見ていたのが

小説に投影されていたと思う。

ちなみに、母の洗礼名はマリアだったという。

 

未発表だった『影に対して』という作品も

母親をテーマにした作品だそうで、

久しぶりに読んでみたくなった。

 

 

 

『影に対して』試し読み

 
 

私のおすすめする一冊

 

新潮文庫(文庫本649円)

電子書籍584円

 

 

 

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