二人のおまわりさんがやってきて
「ここにあった腐った丸太30本が消えて
行方を捜してるんだけど・・」
あっ、ホントだ
「先週金曜から今日までで
深夜にトラックでやってきて
持ち運ぶような物音を聞いてない?」
「まったく気づかなかったけど
腐った丸太を盗んで、
何か使い道なんてあるんですか?」
「そうなんだよな~・・・」
おまわりさんが帰った後に気づいた事で、
「深夜、トラック、物音、男」
おまわりさんは、
なぜ、深夜に物音を立てたと思い込んだか
なぜ、トラックで来たと思い込んだのか
なぜ、犯人は男と思い込んだのか
おまわりさんの思い込みで話されると、
先に情報が与えられてしまって、
その範囲でしか犯人について
考えられなくなる。
警察は、トラックのタイヤ痕を調べず、
足跡なども調べていかなかったので
私は、もう一度現場に行き、
手がかりを探してみた。
足のサイズは24㎝位までの靴サイズの痕が
いくらか残っていて、25㎝以上の大きな
足跡は見つけられなかった。
車のタイヤ痕も、幅13~15㎝以内ぐらいの
痕はみつけられたけれど、太くはなかった。
丸太は、私でも持ちあげられるもので、
板などスロープを使えば軽々と車の荷台に
積み込むことができる。
また30本を数回に分けて運べば、
トラック以外の乗用車でも運搬可能である。
ということで、おまわりさんの
「深夜、トラックで訪れた人物が
大きな物音を立てて車に運び入れた」
という話は想像によるもので、
これを元に犯人捜しをするのは危険だ。
もう1つ、警察に通報した人物について、
おまわりさんの思い込みにより、
「氏子総代」と決めつけていたけれども、
その人は、ただの近所の住んでいる人で
氏子役員さんに相談されて、親切心で
警察に通報しただけのことだったようだ。
事件と決めつける前に、氏子総代さんに
何か事情を知らないか、確認とるほうが
良かったのではないかなと思った。
もし氏子総代さんが、腐った丸太30本の行方
を知っていれば事件ではなくて、皆の勘違い
ということになる。
この話で怖いのは、
警察が犯人像を作り上げて捜査していた点で
まったく関係ない人が犯人と勘違いされて
事情聴取されかねないので、えん罪が
生じる危険があるのを感じた。