ムバラク大統領の次男ガマル・ムバラク氏45才
ガマル・ムバラク氏(Gamal Mubarak)、米政権と中東問題を語る
ホスニー・ムバラク 大統領は、エジプトにおいて長期的に独裁的な政治を
行っていると考えられており、次男ガマル・ムバラク(Gamal Mubarak)(45)氏に
大統領の座を譲り世襲政治を続けるのではないかと、今、アラブ世界では
注目を集めている重要人物である。
この番組の中では、次期大統領に就任するかどうかは触れていない。
ロンドンの投資銀行に勤めていた経験を持つ。
そのガマル氏が、アラブ地域でのエジプトの立場やパレスチナやハマス、
ガザ地区問題、イランとの関わり方などについての考え方を述べた。
アメリカのイスラム世界へのやり方については過激すぎると感じる。
アメリカがイスラムの宗教をハイジャックすることに対して、
イスラムも暴力ではなく、対話で抗議するべきではないかと考えている。
今、アルカイダのような過激な考え方を持つ人々の中に、
自爆テロ行為は、高貴な考え方と思われているところがある。
なぜ、このようになってしまったかといえば、不満や憎しみが
増幅されてしまい、暴力や対立で解決しようとしているからだ。
エジプトは、数千年の歴史を持つ誇り高い国だった。
過激な暴力主義に対しても指導していかなければならない立場とは考えるが、
欧米社会も刺激をせずに、好意的に対応して欲しいと願っている。
オバマ氏は就任直後にイスラム世界に対して、何らかのメッセージを
伝えようとしていたようだが、あまり良い印象を持たなかった。
相手に敬意を表すことが必要ではないかと思う。
イスラムに対して恥をかかせるようなことをして欲しくはない。
(アメリカでは、ヒラリー国務長官は、イスラム寄りの考えを持つ人物と
みられているところがある。そのヒラリー氏の印象は・・・?)
ヒラリー国務長官に対しては、ガザ地区への復興や支援の決意について感謝している。
彼女の言葉は、広範囲の問題に触れていた。これまで、アメリカは和平プロセスや
2国家共存の課題など中東問題に積極的に関わったことがなかったので、
オバマ新政権になって、まだ間もない時期に国内問題よりも中東に関心を向け、
特使を現地へ送り込み、話し合いをしてみて包括的な考えを用意していることを知った。
中東問題の緊張を緩和していこうと気持ちを理解して良い事だと感じている。
エジプトとしては、これまで色々と試みて失敗もあったが、アメリカ同様に
2国家共存は、唯一の選択肢であり、パレスチナの国家を作ることは
必要不可欠ではあると思っている。
しかしながら、今、その扉は閉じられようとしていると感じている。
ブッシュ政権では、9・11の直後に、理解や同情が深まった。
エジプトとしても支援をしようとしていたが、時間が経過すると共に
対イラク戦争に走り、これが多くの摩擦を生む結果となった。
「エルサレムへの道」という言葉があるが、歴史から多くを学び
中東地域での多くの問題を打開をしなければならない。
ただ、今ひとつ、はっきりとしていることは、イラク戦争は、最優先課題では
なかったといえるだろう。結局、憎しみや緊張を生み出しただけにすぎない。
そして、アメリカも、多額の無駄な出費をすることになっただけだ。
ブッシュ政権時代には、この問題を無視され続け、目を背けられてきた。
今、ようやく目を向けられ始めたことは良いことだが、遅すぎたのではないか。
先日、イスラエルでは選挙が行われた。その時に政治家達はエジプトに
ついても多くを語っていたようだが、エジプトのパレスチナに与える影響力は、
難しいものがある。
ガザやパレスチナについては、エジプトからみても解決がみえてこない。
普通の関係を保とうにも、それができない状況にある。
宗教の心境から説法を試みることはできるかもしれないが、
様々な考えを持つ人々の心を開くことは難しいものだ。
パレスチナ地区との話し合いについても、なぜ、こういう状況になってしまったのか
を考えてみる必要がある。大変に難しい地域の問題である。包括的に、また
広範囲の視野を持たなければならない。色々と手を尽くしても何の和平も進まない。
これまでも何度も交渉を続けてきたが、決裂するばかりで何もなかった。
ハマスとエジプトとの間に話し合いを持っているように見られているようだが、
これまで、全ての派閥が集まり、昨年も10月に、その会合を持つ予定があったが
土壇場にきてハマスはキャンセルしてきた。最近、ようやく会合をもつことができ、
様々な派閥の代表者からの話を聞くことはできた。
Q エジプトは、アルカイダ出身者が多い。それは、なぜか・・・
エジプト国内では、1990年代にアルカイダ組織とのテロとの戦いが起きていた。
そして現ムバラク大統領はアルカイダ組織について、いずれ世界全体が直面する
ことになると、ずっと警告をしてきたが、これまで過小評価されてしまった。
Q イランについての懸念は・・・
大変に深い溝がある。和平へのプロセスについても意見の相違がある。
内々に話し合いを持つことはあったが、公的な話し合いは持ったことがない。
イスラムとパレスチナの2国家共存についても、現ムバラク大統領が70年代に
イスラエルへ向かい国交正常化を図った。
Q イランに対して、アメリカは軍事的な攻撃をすると思うか?
過去8年のことを考えても、イラクでの経験をふまえて
イラクもアメリカも、また世界中が戦争に突き進むような余裕などないと思う。
正しいやり方で、イランを正常化してほしいと願っている。
イラク戦争が過激派を増やしてしまい、イスラム社会は複雑化しただけだ。
変革のためには、外交を通して行うのが最善であると考えている。
そして、この先、イランへの関与は必要だと考えている。
Q パレスチナとイスラエルの問題について、希望はあるか?
どんなことにも希望を失ってはいけないと考えている。
政治を行うものが失望感を持ってしまい、それを反映してしまえば
前進できなくなる。将来の共存のためには、努力を惜しまないことだ。
ガマル・ムバラク プロフィール
Gamalムバラク(アラビア語: جمال مبارك)、またはGamalエルディーンマホメットホスニ
Sayedムバラク∥(アラビア語: جمال الدين محمد حسنى سيد مبارك)、
1963年、ホスニー・ムバラク大統領とスーザン夫人(ファーストレディー)の間に出生した次男。
兄Alaaと対照的に、弟のガマルは国の政治世界に対する影響を与える人物である。
彼は、エジプト内や海外でも、父の後継者として選ばれているのではないかと思われている。
ガマルは、18歳まではカイロのセントジョージズカレッジに通った。その後、カイロにある
アメリカ人大学を卒業した。現在自民党議員の小池百合子もこの大学の卒業生である。
その後、現在MBAを取得し、エジプトのその支店のBank of Americaで働き始めた。
その後、ロンドン支店へ転勤し、経営陣としての経歴で終えている。
主に投資バンキングの分野を担当していた。
その後、Medinvest Associates社(それは企業投資ファンドを管理する)を設立して
幾つかの企業財務コンサルティングを、数人の同僚と拡張していった。
Future Generation Foundation(FGF)議長でもある。
そして、NGOの職業訓練を専門としている。
2007年4月28日にアメリカ人大学(カイロで)卒業生のKhadiga El Gammal、
エジプトのビジネスマンマームドEl Gammalの娘と結婚した。
2009.3