キャラメル・ラテ | ゆっきーの活字屋さん〜嵐とか黒バスとかその他諸々〜

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嵐とか黒バスとかの夢小説をお送りします(*^^*)♡


黒バスの日月の小説です。

アテンション!!(よく読んでね!)
・黒バスの日向さんと伊月さんのお話です。
・腐向けになっております。
・あたしの中では両片思いです。
・伊月先輩が女々しいです。
・自己満です。
・なんか色々酷いです。
・荒らしはお辞めください。

なんでもOKな人のみお読みください!


キャラメル・ラテ




キャラメルがカフェラテに溶けるように。
俺も、貴方に溶けていった。


「ひゅーがっ!」
「ん?」

部活終わり。俺の声に日誌を書いていた日向が、振り向いた。

「日誌書き終わった?」
「ん、もぉちょい。あ、そだ。伊月今日マジバ寄ってかね?練習量増えて腹減った」
「いいよ。…はっ!原さんも腹減った。やべぇキタコレ」
「うん、きてねぇよ。黙れ伊月。てか、誰だ原さんて」

日向がノートをパタンと閉じて立ち上がった。

「うし、帰るか」
「おー」

とりとめもない話をしながら、歩く。この、主将としての日向ではなく、ありのままの日向と喋っている時間がとても幸せだった。

なんて、こんな気持ちを抱いてしまう俺は可笑しいのだろう。

日向は男で俺も男だ。そういう関係にはなり得ない。だから、自分の気持ちには蓋をして。

「もう、流石に半袖じゃさみーな」

日向の呟き。9月も終わりの頃。流石に日暮れともなると秋の息吹を感じる涼しい風が吹いている。

「そーだな。そんな寒いなら俺のジャージ貸そっか?」

ニヒ、と笑って日向の顔を覗き込むと、軽く頭を小突かれた。

「いんねーよ、ダァホ。伊月の方が寒がりだろうが」
「うん、まぁね。だから、貸してって言われても貸すつもりなかった」
「ねーのかよ」

クラッチタイムの時とも、チームを引っ張っている主将の時とも違うこの穏やかな日向の顔を笑顔。

チームメイトにも…木吉にも見せたくなかった。

ここで、木吉の名前が出たということは…まぁ、つまりはそういうことなのだろう。
木吉と話さないでって思ってしまう
嫉妬心。
日向は誰にも渡したくないという、
独占欲。

木吉が誠凛に戻ってきたことは純粋に仲間として嬉しい。
けど、日向が遠くなるようで少しだけ嫌だ……少しじゃないかもな。

「ん?どしたぁ?伊月。なんか考え事か?」
「え?なんで?」
「あ、いや、急に真顔になったからよ。悩み事でもあんのか?」

もう。なんで気づくんだよ。ヘタレのくせに。
言えるわけねーじゃん。日向が木吉と仲良くすんのが気に食わないなんて。
だから、気持ちを隠すように笑って。笑顔に見えますよーにって願いながら。

「疲れてんのかな。カントク最近気合凄いし。なんか、糖分欲しい。ハッ!砂糖を3頭分!やべぇキタコレ」

なるべくいつも通りを装う。そしたら日向は小さく笑って俺の頭を軽く撫でた。

「あんま無理すんじゃねーよ?ポジション上ポーカーフェイスは得意かもしんねーけど、表にださなすぎなのお前の悪い癖。もっと俺を頼れよな。今更遠慮するような間柄じゃねーだろ」

……馬鹿。そうやって男前だから、ますます離れられない。
ヘタレのくせに。そういう時だけかっこいいなんて反則だ。

「大丈夫だよ。頼れる主将がいるからね」
「てめっ!からかってんな?」
「からかってないって。日向が言ったじゃん。頼れって」
「それはそうだけど!」

いつの間にかマジバに到着。
日向が勝手知ったる感じでカウンターに並んだのでその後ろに並ぶ。

そしたら、日向は振り向いて、目を逸らしながら言った。

「伊月、座ってていいぞ。疲れてんだろ。なに頼むんだ?」
「え?」
「奢ってやるって言ってんだよ。で
何が欲しんだよ?」

ああ、嫌だな。
優しい。優しすぎるよ。日向。
日向の優しさに溺れそうだ。

でも、声音で拒否権が俺にはないことが分かる。
本気で心配してる時の声だ。

分かる。
付き合いが長いから分かってしまうんだよ。

「じゃあ、ポテトと……キャラメル・ラテで」

目に止まった期間限定のキャラメル・ラテ。
客層は明らかに女性だろうけど。

「ポテトとキャラメル・ラテな。分かった。じゃあ、座ってろ」
「ありがと…あ、日向。荷物持ってくよ」
「ああ、悪りぃな」
「ん、いいよ」

窓側の席に腰を下ろして、外に視線を向けた。

外には学校帰りかと思われるカップルが手を繋いで歩いている。
頬杖を付いて、ぼんやりそのカップルを眺めていた。

「なんだよ、羨ましいのか?」

手を繋ぎたいなと思っていた相手からいきなり声をかけられて、心臓が飛び跳ねた。

「うわっ!びっくりした!ミスディレクションすんなよ!」
「してねーよ、ダァホ!伊月が物思いに更けてたんだろが。ったく」

どかっと日向は俺の向かいの席に座って注文通りポテトとキャラメル・ラテを乗せたトレーを渡した。

「ほらよ」
「ああ、悪いな」

トレーを受け取って、キャラメル・ラテを一口啜る。

「なぁ、伊月」
「ん?なんだよ?日向」

ドリンクを飲んでいた日向が相変わらず仏頂面で頬杖を付いた。
ただ、日向の仏頂面は別に不機嫌なわけではない。本当に不機嫌な時もあることにはあるが、違う意味の時も多々ある。

この場合は……心配だろな……

「伊月、好きな人でもいんのか?」

また、心臓がばくんと跳ねた。
考えを見透かされてる気分だ。といっても、日向の場合天然だ。おそらく。

「……なんで?」
「なんでっつか、俺と話してても、心ここに在らずだし、さっきカップル見てポーッとしてたし、気になる人でもいんのかなと」
「別にそんなんじゃ……」

ないと言いかけて俺の脳裏に浮かんだのは仲良さげに一緒に帰る木吉と日向の姿だった。
何てこと思い出してんだ俺は!

最近______正確には木吉が誠凛に戻ってきてから、日向と一緒に帰る回数はめっきり減っていた。
前は毎日のように一緒に帰りくだらない話から真面目な話までしていたのだが、最近はぱったりなくなっていた。
帰り道、相田も混じることがあったから、多分バスケの話なんだろうけど。

一応、副キャプテンの番号を背負ってはいるものの、俺にはイーグルアイ以外対した取り柄はない。

不安にならないわけがない。
試合で勝っても眠れない夜だってあった。

「……あ、悪い。別に言いたくないなら言わなくていいから。そんな顔すんな」
「え……?俺どんな顔してる?」

言葉の意味が理解できず、思わず訊き返すと、日向は小さく笑った。
……すごく寂しそうな顔で。

「俺なんてダメだよなみたいな不安気な顔」

さっきから、どうして日向は俺の考えてることが分かるんだろう。

「ごめん……心配かけて。大丈夫だから……なぁ日向ぁー」
「うん?」
「日向ってさぁ、好きな人っているの?」
「はぁ?まあ、どうだろうな。いたとしても叶うことはないだろうからな。それに、俺バスケ優先させて恋愛とかできなそーだしな」

それって、どう意味だろう。
叶うことはないって。少なくとも日向から浮ついたような雰囲気は伝わってはこなかった。

なんとなく、沈黙が訪れた。なんか気まずくてキャラメル・ラテを啜ってみる。

「なぁ、伊月。それ美味い?」

日向がラテを指差す。

「んー?甘いけど、まぁ美味しいよ
。女子が好きそうな感じだな」
「一口寄越せ」

日向は当然のように俺の手からラテを奪ってストローに口をつけた。

ま、マジすか……日向さん…
そんな躊躇いもなく回し飲み……
いや、部活では普通にスポドリの回し飲みとか、水の回し飲みとかするけど!!

飲み物があまりに女子過ぎて変に意識するっていうか……
キャラメル・ラテのせいだ!全て!
こんなんなら、いつも通りコーラとかにしときゃよかった!

「甘い。なんか…………だな」

日向が何か呟いたが、低くて聞き取れなかった。

「え?何て?」
「何もねーよ!ダァホ伊月!」
「ちょ、何でいきなり暴言吐かれてんの?バカ日向!」
「やっと笑った」
「え……?」

また、日向の言葉が理解できなかった。今日はちょいちょいキャパシティを超えるな。
笑ったって……?

「俺、今まで笑ってなかった?」
「ん?いや?でも、凄い無理してた感じがした。さっきは自然に笑ったから」

キャラメル・ラテの中の氷がからんと溶けた。

「伊月のムリして笑う顔は見たくねぇよ。だから1人で抱えんな、笑ってろ」

ひゅ、日向……
それはかなり……

「言ってて恥ずかしくない?かなり男前だけど…」
「うるせぇよ、ダァホ!仕方ないだろ!本当のことなんだから」

日向は仏頂面でそっぽを向いた。頬が僅かに赤いのは多分気のせいではない。

「ほら、伊月帰るぞ!」
「ちょっと待ってって!」

俺は慌てて残っているキャラメル・ラテを飲み干した。

もうほとんど日が落ちて影が濃くなった帰り道。
食べきれなかったポテトをつまみながら、日向の半歩後ろを歩く。
俺より少しだけ高い肩。体格は俺とほとんど変わらないはずなのに、逞しく見える背中。
そんな背中に憧れ追いかけているのは1年だけじゃない。
俺だって。
腐った時もあったけど、それでも今の日向は頼れる主将。

「なぁ、伊月」

いきなり日向が止まったもんだから
思い切りぶつかった。

「痛っ!危ないな。なんでいきなり止まるんだよ」
「ウインターカップ」
「は?」
「ウインターカップまで、待ってくれ。ウインターカップ終わったらきちんと伝える」

心臓がドキドキし始めた。
それって……
それって……?
心臓の音が聞こえたらどうしよう。

「ひゅ……が……」

声が掠れた。口の中はカラカラだ。

「帰るぞ。家まで送るから」

日向は俺の手首を握って歩き始めた。全身が熱い。でも…日向の手もめっちゃ熱い。
ふっと力が抜けた。男前な日向ばっかり見てたから忘れてたけど、基本ヘタレだ。
多分この動作だけでも緊張してるはずだ。

「絶対なろうな、日本一」
「当たり前だダァホ。全裸なんてゴメンだ」

1年前の屋上の出来事を思い出して苦笑した。

「明日は伊月の奢りだからな。先帰んなよ」

そう言ってもらって嬉しくて家に帰って少しだけ泣いたのは一生の秘密だ。
キャラメル・ラテは恋の味って言ったら、俺結構恥ずかしい?

まぁ、いいや。

「分かったよ。日向だって木吉と帰んなよ」
「わあってるよ、ダァホ!」

日向は握ってない方の手で俺の頭を軽くはたいた。

夜の風が頬を撫でる。
空には一番星がきらきらと輝いていた。


END