【あらすじ】
瀬戸拓真は、いつかヒーローになることを夢見ながら地元の遊園地のヒーローショーの悪役を演じる27歳。父親は拓真が子どもの時に、階段から落ちた女の子を庇って他界した。その後は母親が趣味のジャム作りを商売にして、拓真、サトミ兄妹を育て上げた。母が開店準備中に心筋梗塞で亡くなった十ヶ月後、就職と同時にサトミは家を出た。
この夏、サトミが死んだと言う連絡が入った。農産物加工場に就職した筈の妹は、キャバクラで働いており、八歳の子供いた。サトミの子供、昌の意思を尊重し、引き取ることにした拓真だが、慣れない子育てと、ヒーローになる夢と家計の天秤が頭にチラ付き始める中、ジャム作りが二人の距離を縮めて行く。
【読んだキッカケ】
本屋さんで、背表紙に引かれて購入。
【感想】
昌の、クールぶってるけどオバケを怖がってたり、いい加減なことを吹き込む拓真の話を信じ込んじゃう所が、大変子どもらしくて可愛い。
拓真はちゃらんぽらんしてるけど、実際は凄くカッコイイと思う。めちゃくちゃ前向きな所とか、どんなことも平気ぶるとことか、めっちゃタイプ(笑)ってか私もこういう人間になりたかった。
好きな場面は、小学生の時にサトミが駄々捏ねてジャムを割っちゃった後。サトミを抱き締めるお母さんと、それまで蚊帳の外にいた拓真がお母さんにこまねかれて抱きつきにいく光景が堪らなく愛おしい。
拓真は、昌を通して自分の子供時代を思い返してて、子育てって過去の自分にもう一度出会うことなのかもなって感じた。ヒーローにこだわる理由と、ヒーローショーの先輩が引退して家庭の為にトラック運転手になった現実と。後ろ向き要素もそこそこあるのに、何か爽やか。ジャムを使った料理が全部美味しそうなのも魅力。
