某イラストレーターVTuberの配信でオススメされた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をやっと読んだ。
原作者のアンディ・ウィアーは、映画『オデッセイ』の原作小説『火星の人』の作者らしい。

▲読んだのは日本語版。ハードカバーの本は久しぶりに読むけど所有感というか読んでる最中でも手触りが良さが魅力かも。帯のコメントに岡田斗司夫がいるのが胡散臭い(偏見)。まぁ純粋なSFとかについての知見は信頼が置ける人か。
映画化されます
ちなみにこの作品は映画化されるらしく、トレーラーも発表されている。かなり言われてるけど普通に重大なネタバレが含まれるのでトレーラー見るために原作履修したほうが良いという本末転倒。
あらすじ(ネタバレほぼ無し)
最序盤は、何も分からず宇宙船の中で目覚めた主人公が、周囲の手がかりから、何故宇宙船に乗っているのか、そもそも自分は誰なのか、ということを考察しながら、時折手がかりに誘発されて思い出す自身の記憶によって、目覚める以前の出来事や情報が開示されるというもの。
ネタバレというかこの作品の構造を先に話さないと何も語れないので話すと、太陽に異常が起き、それを解決するために主人公は宇宙へ旅立つ……という大筋がある。その過程で様々なトラブルや発見を繰り返し、最終的には……というお話。ちなみにこれらは上下巻あるうちの上巻の2割くらいで判明する内容なのでネタバレにも配慮している。
めちゃオススメ
これは人に薦めたくなる。とにかく、ずっとおもしろい。次々に新事実やトラブルが起きるのだが、どれもお互いに関連していて、物語の都合や作為を感じず、次はどうなるのか、どう解決していくのかハラハラしながら読むことができた。
翻訳もバッチリ
原書は英語なので日本語版は翻訳されているが、たまにあるエキサイト翻訳のような文意や雰囲気を大きく損なうようなものではまるでない。むしろ英語圏らしいウィットもしっかり伝わる翻訳で、読みやすかった。
また、科学描写が多いのだが、高校生レベルの知識があれば具体的な数値計算はできなくとも、何が起こっているかはわかるので、そういう点でも読みやすかった。
以下、
ネタバレアリ感想
突如宇宙人が出てきて横転。
ここで「横転」しないといつ横転するんじゃい!!という横転適合レベル。 てっきり、人間が知恵を駆使していく、『オデッセイ』のようなものだとばかり。ロッキーが登場してからはもう読むのか止まらない止まらない。知的生命体との交流から始まり、お互いの星を救うために協力する展開はアツすぎる。グレースもロッキーも優秀ではあるけど、1人では問題を解決できないうえに、それぞれ仲間を失っているという共通点やそもそもメンタリティが似ているのもあって、普通に会話ができるようになった後半はひたすら2人のバディものとしての話が気持ちいい。ロッキーもグレースもいい奴すぎる。いい奴らが協力して苦難を乗り越える物語は本当に最高だな。
とくに好きなシーンは、エリディアンと人間の共通性を考えているシーン。時間感覚や可聴域、同じ時期にタウ・セチに来たこと……どれも理屈で説明できることだけど、お互いのルーツに思いを馳せる(いうほど馳せてないけど)ことで絆が深まった……ような気がする。
そして、機材に挟まれたグレースをロッキーが助けに来るシーン。これは泣きそうになった。ここは紛れもない友情。
そして最後にグレースがロッキーのために引き返すシーン。その少し前で、グレースは意思に反してヘイルメアリー号に乗せられていたことが判明するわけだけど、それに対する反感や生きて帰りたい気持ちがありながらも最終的には自分の意思で、生きて帰るチャンスを捨て、自らを犠牲にしてもロッキーというバディを助ける選択をすることになった。ここもとても好きなところ。というのも、こういう流れ自体は昔からよく使われているけど、大抵は家族だったり、もっと広い人類みたいなものに対しての自己犠牲になりがち。具体例を挙げるとキリがないけど、例えばインターステラーとか?。でもグレースの場合は、人類を救うという目標は恐らく達成できるという状況で、直前までの悲願である地球への生還も、そのままなら叶うだろうというシチュエーション。助けるのはミッションで知り合ったばかりの異星人とその文明。エリディアン文明が滅んでも、グレースには実害が無いので、自身の死か、ロッキー(とエリディアン文明)という本当の意味で、二者択一の状況。そこでロッキーを助けに行く選択をしたことが、とても尊い。それまでの行為も偉業だけど、純粋に自身を犠牲に友人を選んだ瞬間にグレースは真の英雄になったと思う。こういうシーンがぶっ刺さった。
科学的に問題を解決していく様を楽しませてからの、最後はやっぱり人情なのよね。人の善意が誰かを救うのが大好き。イチャラブ最高。違うか。いや違わない。
ということでこんな素晴らしい作品を世に届けてくれたアンディ・ウィアー氏と、たぶん原文の雰囲気を可能な限り日本語に翻訳してくれた小野田和子氏、そして配信で我々ゴミ(語弊があるがリスナーネームの自称)に広めてくれたしぐれういには感謝。
ありがとう…
おわり。