ここは地球の西暦3000年の日本。
舞台は赤坂の迎賓館といったところか。華やかな舞踏会の会場に日本人のお金持ちの貴族が大勢いる。貴族は燕尾服を着た男達、ドレスアップをしてきれいにしている女達。貴族の男女がザワザワと下世話な世間話をしている。
「これからの日本はどうなってしまうのだろうか?」
男の貴族が日本の心配をしている。
「別にいいじゃないか? 日本がどうなっても。この中にいる我々は生きていけるのだから。」
年配の貴族の男性は自分のことしか考えていなかった。
「し、もうすぐ陛下がいらっしゃるわよ。」
女の貴族がつまらない会話をしている男達に注意する。
「陛下と言っても名ばかりだがな。」
男の貴族が冷たく言い放った。
「陛下が到着されました。」
その時、迎賓館の舞踏会場の扉が開き、宮内庁らしき職員が大声で陛下の到着を告げる。
「陛下だ。」
男の貴族は、舞踏会上に入場してきた凛々しい青年を見て陛下と言う。陛下は白っぽい正装で衣装は輝いていた。
「まあ、なんて素敵なの。」
舞踏会場の真ん中を歩いて進んで行く。おつきの職員2人とボディーガード2人が陛下の周りを固めている。
「あんな若造が陛下か・・・。」
年配の男性からすると陛下は高校生ぐらいの幼い年齢に見えた。
「・・・はあ。」
陛下と呼ばれる男は自分の座る舞踏会場よりも少し高い位置にある席に階段を2、3段上り自分の席に着く。陛下は周りを見渡して、ただため息を吐いた。周りの貴族たちには分からないようにである。
「舞踏会だと。こんな時代に何をしているんだ。今もたくさんの人間が死んでいくというのに、ここにいる人間は何も感じないのか。」
陛下と呼ばれている若い男は、自分の目の前で行われている舞踏会、着飾った貴族といわれる男女を見て吐き気がしていた。陛下が舞踏会場に来たのも、陛下としてのお役目でしかなかった。
「陛下、お友達がお越しになりました。」
おつきの職員が陛下にそおっと耳打ちする。
「そうか、すぐに行く。」
陛下は不機嫌な顔から嬉しそうに笑顔を見せ、席を立ち舞踏会場の裾から退場していく。