ゾンビ

 

女子高生 川田 マオ
家政婦長 デヴィ 

前回までのあらすじ。

前回を読め。


inできていない。

というより
inのしようがない。

だって、
マオは入院しているのだもの。

あれは夏休みに入りたての7月の終わり。
マオはオンラインゲームの
カリメアの奇跡の自分のコピーを回収した。

ゲーム中の自分のコピーが覚えたスキルを
現実世界に持って帰ることができる。
すばらしいゲームである。

「婦長大好き スキルレベル MAX」

そのおかげで
マオのコピーは2か月間
婦長の後ろからついて歩いた。

近所のコンビニから
遠くの惑星にまで
時を超えたりした。

血と汗と涙を流しながら
婦長と離れることができなくて
生死の境を彷徨ってきた。

そのためマオのコピーは
驚異的なスピードで
複数のスキルを覚えていった。

おまけに
ゲーム内の自分のコピーが受けたダメージも
本体が回収する時に
スキルだけでなく
ダメージも回収してしまうのだ。
恐ろしいゲームでもある。

マオは2か月の間に
いろいろな体験をした
自分コピーを回収した。

マオは婦長から
ゲームを強制ログアウトされ
現実世界に帰ってきた。

川田「ギャア!」

マオの悲鳴が白昼に響き渡る。

マオは昼間にログインして
昼間に帰ってきたので
まだ外は明るかった。

マオの姿は変わっていた。

髪の毛は2か月分伸び
爪も2cmも伸び
顔中が傷だらけだった。

マオの脳みそに
知識が語り掛ける。

「1.安全を確認
 二次災害を防ぐため、まず周囲の安全を確認する。

 2.意識の確認
 意識の有無を確認する(肩を叩きながら相手の耳元で「大丈夫ですか!?」と呼びか ける。また、証明書類などから名前がわかっている場合には、「○○さん、大丈 夫ですか!?」と言うようにするとより効果的である。

 3.応援を呼ぶ
 119番に通報。訓練を受けていない人はその場で自分で携帯から119番通報をすれ ば、何を確認してどうすればよいかのアドバイスが得られる。そのアドバイスの 中にAEDの手配、及び以下のCPRのやり方が含まれる。
  極力まわりの人を巻き込む。例えばAEDを取りに行ってもらうとか、119番で言 われた「強く早く、100回/分以上」を覚えておいてもらうとかでもよい。

 4.呼吸の確認
 見た範囲で規則的で正常な呼吸をしているか。呼吸していれば回復体位。判別不 能とか不自然な呼吸、または10秒以内に確認できなければ呼吸ナシの扱い。不自 然な呼吸、例えばしゃくりあげるようなゆっくりとした不規則な呼吸は死戦期呼 吸といい、心停止(心室細動)直後数分の間に約半数の人に起きる。これを「呼 吸有り」と安心してしまうと大切な救命のチャンスを逃してしまう。従って「呼 吸ナシ」は広めにとってよい。自信が無ければ、119番の相手にどのような呼吸か を伝えればよい。119番が判断してくれる。

 5.心臓マッサージ(胸骨圧迫)(C:Circulation)
 胸の真ん中に手の付け根を置き両手を重ねて、肘を真っ直ぐ伸ばし、少なくとも1 00回/分以上の速さで継続出来る範囲で強く圧迫を繰り返す。推奨は「少なくとも 5cm以上沈むように」であるが、その場で測れる訳ではないので、継続出来る範囲 で「強く」で良い。訓練を受けていない救助者はAED、または救急隊到着までハ ンズオンリーCPR[2]、つまり胸骨圧迫だけを続ける。
  極力ほかの人を巻き込む。それが出来るかどうかは天国と地獄ほどの差がある。 秒単位で12345と数えてもらうとかでもよい。5秒の間に8回以上なら100回/分以 上を満たしている(後述)。それに応じてもらえれば疲れたときに代わってもら える可能性が高い。疲れてきたらまわりの人に1分間だけでも代わってもらう。  「強く早く」を維持するためにも交代は必要である。

 6.気道確保(A:Airway)
 訓練を受けていない市民救助者は行わなくてよい。訓練を受け、自信のある市民 救助者の場合は、仰向けに寝かせた状態で片方の手で額を押さえ、もう片方の人 差し指と中指で顎を上に持ち上げる(頭部後屈顎先挙上法)ことにより行う。口 の中に異物があれば除去する。

 7.人工呼吸(B:Breathing)
 訓練を受けていない市民救助者は行わなくてよい。訓練を受け、自信のある市民 救助者の場合は、鼻を押さえ胸部がふくらむよう息を約1秒吹き込む。この際、感 染病防止の観点から専用のポケットマスク等を患者の口に取り付けることが望ま しい[4]。人工呼吸を行う間隔は胸骨圧迫30回毎に2回が目安。ただしこのための 胸骨圧迫の中断は10秒以内とする。

 8.AEDによる除細動(D:Defibrillation)
 AEDが到着したら使用する。体が濡れていれば拭き取る。それ以外の手順はAED の音声ガイダンスに従えば良い。公共の場に配備されているAEDは一般の人でも 使えるように操作を自動化しており、電気ショックが必要であるかどうかもAED が自動的に判断する。」

(心肺蘇生法 wikiより。)

マオの使っていない脳みそでは
2か月の間
婦長の後を追いかけてついていって知った
膨大な量の知識は
マオの脳みその記憶の容量を超えていた。

体も外見の変化だけでなかった。

婦長について
宇宙空間に行った時に
酸欠になり
お目めがキラキラの放心状態になったダメージ。

婦長について
エーゲ海にバカンスに行った時に
日焼け止めを忘れた
お肌の紫外線のダメージ。

その他
額から血が噴き出したり
腕には恐竜に噛まれた跡があったり
足は凍傷にかかっていたり
頭に猫耳や
おしりから尻尾が生えていた。

結果として
マオは気を失った。

「ピクピク・・・。」

手足が痙攣している。

マオの悲鳴を聞きつけた
マオのおかんがやってきた。

母「うるさいわね~
  なにしてるのよ・・・」

マオのおかんは
倒れているマオを見つけた。

母「マオ!?」

マオのおかんは
慌てて救急車を呼ぶ。
119電話に電話をかけた。

母「救急車!
  救急車!」

119「落ち着いてください。
    まず名前をお願いします。」

母「む、娘が死んでる!
  早く救急車!」

119「落ち着いてください。
    お名前と住所と電話番号をお願いします。」

母「川田です!
  大阪!
  090・・・!

  早く来てください!」

119「近所の救急病院から
    救急車が出発しましたから
    安心してくださいね。」

母「はぁ・・・
  よかった。」

マオのおかんは
床に崩れ落ちた。

それから近所の病院から救急車がやってきた。
マオは気を失ったままタンカーで運ばれていった。


マオは意識が戻らなかった。

医師「お嬢さんはこのまま
   意識が戻らないかもしれません。」

母「マオ!」

父「マオ!」

マオは集中治療室にいた。
絶体絶命のピンチであった。

眠っているマオの体が光る。


川田(こ、ここは・・・どこや?)

1週間後
マオは目を覚ました。

母「マオ!
  わかるか!?
  おかんやで!」

父「マオ!
  おとうやで!
  よかった!
  意識を取り戻した!」

おかんは喜びのあまり
泣き崩れていた。

川田(あれ・・・れ!?
   体が・・・動かへん?
   なんでやろ?)

マオが奇跡的に助かったのは
現代医学の進歩ではなかった。
コピーのマオが
ある意味がんばったおかげだった。

コピーのマオが習得した
いくつかのスキルが役にたった。

自然回復スキル。
これによりマオは意識なく眠っている間も自然回復した。

HP意識不明から
HP意識ありまで
回復することができた。

「婦長大好き スキルレベル MAX」

と同じく特殊スキルで

「死んでも蘇る (ゾンビ)スキルレベル MAX」

を習得していた。

コピーのマオは
自動で婦長の後を追いかける。

マオ「婦長~!
   どこまでもついていくで~!」

そのため
自動車に引かれ
海で溺れ
火山の火口に飛び込み
宇宙でさまよい
恐竜に食べられた。

マオ「ギャア!」

そろれでも死ぬことは許されず
ひたすら婦長の後を追いかけた。

マオ「ふ・・・ちょう・・・
   待って・・・や・・・。」

そしてコピーのマオは
ゾンビスキルを手に入れたのだった。

コピーのマオを合体して回収したマオは
現実世界に帰ってきた。

直ぐに死んだ。
1回だけではない。
約20回は死んでよみがえったのだ。

川田「ギャア!」

肉体から魂が出てくる。
魂のマオは自分の体を見た。

川田(うちは死んだんか?
   ああ・・・
   天国にいくんやな・・・。

   もっと
   あんこを食べておけばよかった・・・。)

マオは死んでも食い意地が勝っていた。
マオが諦めた時だった。

川田(なんや!?
   なにごとや!?)

マオの魂は体に引き釣り込まれた。
マオは息を吹き返した。

川田「復活!」

しかし次の瞬間

川田「ギャア!」

マオはまた死んだ。
マオの魂が肉体からでてきた。

川田(やっぱり
   うちは死んだんやな・・・。

   おかんとおとうは
   悲しがるな・・・。)

またマオの魂は肉体に引き釣り込まれる。

川田(うわぁ!)

マオの魂は肉体に戻る。

川田「復活!」

直ぐに

川田「ギャア!」

マオは
死んだり蘇ったりを
繰り返したのだった。

こうしてマオは特殊スキル

「死んでも蘇る (ゾンビ) スキルレベル MAX」

のおかげで
マオは死なずに済んだのである。

マオは声を出せるようになった。

川田「おかん・・・。
   おとん・・・。」

母「マオ!」

父「マオ!」

感動の再会を果たした。
しかし
ほぼギャグなので感動のシーンはカット。

マオは徐々に体が動くようになった。

川田「あんこは最高や!」

マオは大好きなあんこを
缶詰ごと食べていた。
・・・
もう7缶目である。

川田「あんこ様のおかげや!

   ありがたや!
   ありがたや!」

マオにとっては7福神よりも
あんこ様である。

マオの体は
8月の約1か月の間に
奇跡的なスピードで
ほぼ完治したのだった。

歯を除いて・・・。

川田「いやや!
   歯医者こわい!」

母「あんた
  あんこの食べ過ぎよ!」

川田「あんこに罪はない!」

母「虫歯を治さないと
  あんこを食べられへんで!」

川田「そりゃ困る!

   でも歯医者いやや!」

マオはおかんに引きずられて
病院の歯科に向かう。

川田「ギャア!」

「キュイイン!
 ガガガガガ!」

マオは歯科に来た。
虫歯の治療をしている。
歯科の先生が機械で
マオの歯を削っていく。

川田「ギャア!」

マオの歯の治療も
8月の夏休みの間
毎日かかった。

歯科の先生いわく

「川田さんの歯は
 全ての歯が虫歯になっています。
 
 口の中でバイキンが
 キャンプをして楽しく暮らしています。

 虫歯を治しても治しても
 次の治療に来るときには
 歯と歯の間に
 あんこの小豆の皮がはさがっています。

 こいつほんまに治す気があるのかと
 疑っています。

 2度と来てほしくない
 患者のタイプでした。」

歯科の先生の苦労が伝わってくるようだ。

「キラーン!」

マオの歯が白銀に光っている。
こうしてマオの歯は
特殊超合金ホワイト加工になったのであった。

川田「よっしゃ!
   これであんこ食べ放題や!」

マオは調子に乗って
あんこを毎日食べ続けた。

川田「うまいな!
   あんこ!」

特殊超合金ホワイト加工の歯に
バイキンさんが新たにやって来たのも知らずに・・・。

バイキン「こんにちわ。」

マオが
また歯医者に行く日は遠くはなかった。

つづく。